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2004年の報告

2007年08月29日 14:47

シーズ・キックオフ10周年記念イベント

どこへいく? NPO / 振り返り、そして行動しよう!

 2004年4月24日午後1時半から4時半、東京新宿の「全労済東京都本部会議室」に於いて、シーズ・キックオフ10周年記念イベント「どこへいく? NPO / 振り返り、そして行動しよう!」と題するシンポジウムが開催された。

 主催はシーズ=市民活動を支える制度をつくる会。協力は NPO法人東京ランポ。

 このイベントは、「シーズ=市民活動を支える制度をつくる会」の発足が決まった1994年のシンポジウムから、この4月でまる10年が経ったことを記念して、これからのNPOの向かうべき方向性を考えることを目的として開催された。

 当日はNPO関係者を中心に約90名が集い、NPOの現場からの課題提起とパネリスト達の意見に熱心に耳を傾けた。

 総合司会はNPO法人ヘリテイジ・トラストの池本桂子氏。


 はじめに東京ランポ事務局長の辻利夫氏から、次のような開会の挨拶があった。

 今から10年前の1994年4月23日、有志の実行委員会によるシンポジウム「市民活動を支える制度を考える」が、この会場で開催された。定員90名のところに200名以上が集まり、大変な熱気だったことが思い出される。そのシンポジウムで、NPOのための新しい制度と立法運動が提案され、「市民活動を支える制度をつくる会」を発足させることが本格的に決まった。当時「市民活動を支える制度をつくる会」準備会の事務局を担ったのが、東京ランポ。半年後には「シーズ=市民活動を支える制度をつくる会」が発足した。今日は、いわば「シーズ・キックオフ10周年」。現在、NPO法人がその数1万6千を超えたことは一定の成果と言えるが、今、あらためてNPO法人の自立性、独自性、信頼性などが問われてきている。今日は、現場の事例なども参考にしながら、NPOを取り巻く現状や今後について皆さんと考えていきたい。

第1部 いま何が問われているのか

 第1部では、シーズの松原明によるNPOの現状報告に続いて、現場からの問題提起がおこなわれた。

<現状報告>

松原明(シーズ事務局長)

 10年前のシンポジウムでは、市民団体が簡易に法人化できる「市民活動推進法案」の提案や、寄付税制の必要性を訴え、立法運動を起こしていこうと呼びかけた。会場からは、「議論の時期は過ぎた。運動を起こすべき」という力強い反響があり、主催者である私たちは、立法運動団体としてのシーズを立ち上げる決意を固め、その年の11月5日にシーズが発足した。

 この10年を振り返ると、NPO法や認定NPO法人制度もでき、事業報告などの情報公開の仕組みもできた。そのことから、シーズのミッションは一定の達成を見たと言える。

 10年前は、制度をつくることで市民活動の抱える課題の解決を図ろうとした。法人制度をつくることで資産の保全や契約が可能になり、寄付税制や事業課税の軽減によって活動の発展が約束されたと考えた。

 しかし、現在、NPO法人数が1万6千を超え、社会の注目を集めるなかで、新しい問題が生まれている。寄付や会費が集まらないことによる経済的な基盤の脆弱さ。事業型NPOがたくさん生まれ、企業との競合すら生じる中でのNPOとしての独自性の喪失。また、問題のあるNPO法人が新聞紙面を賑わすなかで、NPO全体の信頼性が失われ、それに対応するべく所轄庁の監督強化の動きも出てきている。

 信頼性に関しては、10年前には情報公開などによって個々の団体の信頼性を確保することを考えた。しかし、現在は、NPOの法人制度自体の信頼性が問われているのではないか。市民社会を確立するための新しい制度としてのNPO法、NPO法人に集まった期待を裏切るわけにはいかない。そのためには、市民活動を取り巻くこのような新しい環境の中で、再び、市民活動が発展していくために新しい運動を起こすべき時期が来ていると感じている。

 今後、NPOは二つの方向に分かれていくと考えられる。ひとつは、利用者から収入を得ながら活動を展開して社会を変えていこうとする「非営利目的事業者」。もうひとつは、支援者からの寄付や会費で収入を得ながら活動を展開していく「市民参加型団体」。それぞれに自立性、独自性、信頼性の確保の方法が異なるだろう。現実には多くの団体はこの2つの要素を併せ持つことになるだろう。ただ、どちらに軸足を置くかが問われてくる。発足10周年を迎え、シーズは後者の「市民参加型団体」に軸足を置きながら、その発展に寄与する活動を続けていきたい。

<課題提起>

1)NPOによる消費者被害

宇都宮健児氏(弁護士・東京市民法律事務所)

 昨今、弁護士会や消費者センターなどの適切な相談機関を知らない多重債務者が、スポーツ新聞やチラシ、ダイレクトメールなどを見て紹介屋・整理屋等を訪れ、二次被害にあうケースが激増している。

 紹介屋の手口は、多重債務者に別の金融業者を紹介して、高い手数料を取るもの。あらたに金が借りられ、他の業者から借りている金の返済の一部にあてられると、一息ついたことになるが、結局は、紹介屋に払う手数料分をよけいに払うことになり、その返済のために、さらに別なところから金を借りるという自転車操業になる。借金は雪ダルマ式に増えていく。

 整理屋は、先の紹介屋から紹介されたり、自らおとり広告を出すことによって、訪れた多重債務者から高額の手数料を取って債務整理を専門的に行っている業者。弁護士法では、弁護士以外の者が多重債務者のために業として債務の任意整理をすることは禁じられている。そこで、弁護士が整理屋に名義を貸し、まるで弁護士がしているように債務整理をして、債務者から金をとるというケースが多い。しかし、こうした整理屋の債務整理はずさんで解決には程遠く、実際は手数料を騙し取るだけを目的としている業者も多い。名義を貸す「提携弁護士」については、自分は積極的に告発活動をおこなっているが、東京の3つの弁護士会を中心に120人は存在すると言われている。

 最近、こうした悪徳業者の中には、NPOを騙るものが増えてきている。中には、実際にNPO法人の認証を得た上で多重債務者やヤミ金融被害者を食いものにしている者もいる。これらのNPO法人のいくつかは、各地の消費者センターにチラシやポスターの配置を依頼しているものすらある。また、被害者の会を装ったNPO法人で、実際は紹介屋、整理屋だというケースも出てきている。

 こうした悪徳業者は、「困っている人たちを助ける」といった、一般の人たちがNPOに抱いているプラスのイメージを利用したものと言える。また、NPO法人が所轄庁の認証を得て法人化することを「お墨付き」と思い込んでしまう心理を逆手に取ったものでもある。

 NPO法には「暴力団の排除」が規定されているが、現実には暴力団が裏に控えて法人化しているケースもあり、この規定は有効に機能していないのが現状ではないだろうか。よって、何らかの対抗措置を講じる必要があると思われる。

2)内閣府の「市民への説明」で起きた事件

 大野直之氏(自薦ヘルパー(パーソナルアシスタント制度)推進協会)の発表に先立ち、総合司会の池本桂子氏より「事件」の概要が紹介された。


 NPO法人の所轄庁のひとつである内閣府は、昨年12月から「NPO法の運用方針」のひとつとして、市民から内閣府認証のNPO法人について情報が寄せられた場合や、事業報告書の提出がない法人などの場合、当該NPO法人に対して「市民への説明を要請」し、それに対して当該NPO法人が「自主的に」説明をするよう求める措置を開始した。

 内閣府は、この「市民への説明要請」を実施するに到った経緯について、「NPO法人の不祥事が新聞で報道されるなど、健全な活動を行っている他のNPO法人に対する信頼にも悪影響を与えるおそれがでてきたため」とシーズからの質問に答えている。

 内閣府は昨年12月25日に最初の情報をホームページに掲載。そこには、「市民から活動を懸念する情報の提供等があった法人」、「事業報告書等の書類の提出がない法人」などとともに、「事務所の実体について疑義がある法人」として、あたかも重大な問題のある法人であるかのように、60の法人の名称などをホームページに掲載した。この法人は全て、大野直之氏が所属する「自薦ヘルパー推進協会」とネットワークを持つNPO法人。

 これらのNPO法人は全て、従たる事務所を小平市の「自薦ヘルパー推進協会」と同じ住所においていたため、内閣府の職員が事務所の実体に疑義があるとみなしたもの。しかし、「自薦ヘルパー推進協会」は、ネットワーク団体を支援する部署を小平市に置き、実際にネットワーク団体の事務をサポートしている。この内閣府のホームページに掲載されたことによって、これらの60法人のなかには信用できない団体ではないかと思われるなど、深刻な被害が出ているとのこと。


大野直之氏(自薦ヘルパー(パーソナルアシスタント制度)推進協会)

 2001年に最重度の障害者に対する生活支援をおこなう都内の8つの自立生活センター・全国自立生活センター協議会・全国障害者介護保障協議会・DPI日本会議の協力によって自薦ヘルパー(パーソナルアシスタンス制度)推進協会が発足。地方で新規に自立生活センターを立ち上げる団体の立ち上げ支援や、すでに自立生活センターとして活動している団体の介助部門のNPO法人化の支援を「従たる事務所」として行ってきた。

 2003年12月25日、突然、内閣府のホームページ内「市民への説明要請」ページに推進協会が支援している60団体が疑義のある団体として掲載され、各60団体に市民への説明要請の文書が内閣府から届いた。

 1月から3月にかけて、推進協会と60団体は内閣府に、従たる事務所が実際に機能している旨を説明をするとともに、ホームページからの削除を重ねて要請した。しかし、「疑義ある団体」としての掲載は続き、各団体に問い合わせがきたり、チャリティ募金の助成先から外されたり、県がヘルパー研修の指定を遅らせたりと、いわゆる風評被害が生じた。

 ようやく、4月13日、内閣府がホームページ上に「『疑義がある』とは、合計61の法人(設立認証申請中のものも含む)が同一所在地に事務所を設置しており、NPO法上の『事務所』として実体を有するものか疑問が生じたことから、これを『疑義がある』と表記したものであって、当該法人の目的や事業内容等について法令違反その他の問題があると指摘したものではありません。」と掲載。しかし、世間では「疑義」の内容が従たる事務所の実体への疑問にすぎないということが理解されるには至らず、職員採用に影響が出るなど風評被害は拡大してきた。

 その後、話し合いを重ねた結果、4月16日に内閣府ホームページから削除された。

 「従たる事務所」として何ら問題が無いにもかかわらず、突然、内閣府のホームページに「疑義ある団体」と掲載されたことから生じた風評被害は、チャリティ募金の助成先から外されるといった目に見える被害だけでなく、団体がこれまで積み上げてきた信用を失墜させるものであり、大変遺憾に思う。

3)パートナーシップにおけるNPOの自立性

根本悦子氏(NPO法人ブリッジ エーシア ジャパン・理事長)

 ブリッジ エーシア ジャパンは、93年よりインドシナ諸国を中心に社会的に困難な状況にある人々の自立のための支援活動をおこなってきた。95年、UNHCRの要請で、ミャンマーにおいて、バングラデシュに流出したイスラム系の人々の難民帰還事業・帰国定住事業を開始し、UNHCRや外務省からの多額の補助金が入ってきた。突然の要請にこたえる形で始めた事業だったため、国内での十分な周知をする間もなく、帰還民や地域青年を対象とした職業訓練や技術訓練に取り組んでいった。さらに、98年からは地域のインフラ整備活動として、橋梁の建設も始めた。

 2003年、アウンサン・スーチー氏の拘束に抗議する形で、日本政府は一時ミャンマーに対する支援を前面ストップした。ブリッジ エーシアの現地での支援活動は日本政府の資金に頼るものだったため、資金を絶たれたのは大きな打撃となり、活動の存続が危ぶまれた。幸い2003年末には人道支援が再開され、中断を余儀なくされかけた橋梁建設などは達成したが、その折りに、政策の変化がNPOの活動に与える影響を実感し、政府資金に頼ることの危うさが教訓となった。

 この教訓を生かして、ブリッジ エーシアは国内での寄付収入を拡大するための努力を始めた。具体的には国内組織、とりわけ管理部門を強化して支援者の拡大に取り組み、海外支援活動における「自己資本率」を高めることをめざしている。

 また、海外支援においてNPOとコンサルタント会社が競合する場面も生じており、資金力、人材面などで劣勢になりがちなNPOが企業に負けないためには、NPOだから出来ること、NPOの蓄積してきたノウハウなど、その独自性を明確に打ち出していかねばならない。

 ここで、第1部をまとめる形で、シーズの松原明より下記のコメントがあった。

 NPO法は当初登記のみによって設立できることを目指して立法活動をおこなったが、最終的にNPO法では所轄庁の認証による法人化となった。その認証を「お墨付き」のように喧伝することで問題のあるNPO法人が悪事を行いNPO全体の信頼性を傷つけている。問題のあるNPO法人について認証した所轄庁の責任が追及されると、監督強化ということになってしまう。

 NPOの経済的な自立に関しては、行政の資金に頼ると単年度主義の予算に振り回されることになり、継続性のある活動にじっくり取り組んでいくことが出来なくなってしまうという問題があるだろう。

第2部 パネルディスカッション

 第2部では、今後のNPOの進むべき方向性やNPOを発展させていく運動のあり方について考えるパネルディスカッションがおこなわれた。

 パネリストは次の4名。

  • 山北洋二氏(あしなが育英会・理事)
  • 宇都宮健児氏(弁護士・東京市民法律事務所)
  • 根本悦子氏(NPO法人ブリッジ エーシア ジャパン・理事長)
  • 松原明(シーズ・事務局長)

 コーディネーターは辻利夫氏(NPO法人東京ランポ・事務局長)。

山北洋二氏

 あしなが育英会は交通遺児育英会から独立する形で、交通遺児だけではなく、全ての遺児に対して救済活動をおこなう目的で設立された任意団体。設立以来16年間、全ての事業が寄付金でまかなわれている。寄付集めに際しては、しっかりと目的別に支援を募る。また、寄付者に対してのフィードバックも大切にしている。具体的には、寄付によって建てられた施設には寄付者の名前を壁に刻印して感謝の念を表したりする。あわせて、寄付がしやすいような配慮もしている。送付する郵便振替用紙に名前や住所を印字しておくことはもちろん、自動引き落とし、コンビニからの送金など寄付の方法も多様化して用意している。さらに、寄付者と遺児をつなげる工夫も欠かせない。季節の挨拶、卒業などの節目での遺児からの手紙は寄付者に喜ばれる。

 寄付者の動機を調査したところ、「他人の役に立ちたい」が7割以上でトップ。寄付後の感想としては参画の喜びをあげる人が6割以上いた。こうした気持ちに応えるよう、責任を持って事業を行い支援者拡大につなげることに努めていきたい。

 任意団体でいることについては、かつて財団化を検討したことがあったが、煩雑な事務手続きを求める主務官庁の監督、人事面での干渉など、あしなが育英会に対する寄付者の意思を事業に反映するにはデメリットとなることが予想されて止めた。契約関係での不自由さは否めないが、それ以外に不自由は感じていない。

 あしなが育英会の独自性を支えているのは、支援者からの信頼。それに尽きると考えている。

根本悦子氏

 国内に支援者の基盤を強化するために、国内事業も展開していきたい。ミャンマーでの裁縫指導が成功してきているので、製品をフェアトレードしていこうと考えている。フェアトレードの製品には「物語性」を持たせることで、一般の商品との差別化をはかり、NPOの独自性をもたせていきたい。

 また、支援先のコミュニティに深くかかわっていくこともNPOの独自性だと感じている。そうしていくことで、政府の調査などでは見えない地域のニーズが自然と伝わってくる。たとえば、ミャンマーでは地元PTAから老朽化した小学校の再建が求められたが、その場合でも、各宗教の小学校のバランスなど、現地の事情を熟知、熟慮した上で取り組まなかったら成功しなかっただろう。

宇都宮健児氏

 NPOの信頼性の確保については、社会的なルール、特に法律を守ることが不可欠。法律には解釈のグレーゾーンも多いので、不明な点は法律の専門家にアドバイスを受けることも必要だろう。

 また、悪徳弁護士については、その資格を剥奪できるのは弁護士会のみ。これは国の関与を受けない自主的な自浄作用と言える。NPO法人に関しても、「良し悪しの選別」をして「悪しきを駆除する」機能をもった機関が必要かもしれない。自浄作用が無いとみなされると国の監督強化につながってしまうのではないか。

松原明

 市民活動は新しい段階に入っているのではないか。NPOは社会的課題解決のコーディネーターになっていかねばならないと思う。困っている人たちの支援活動を通じて、周囲の市民を変えていくということだ。市民活動の最大の敵は「無関心」であるから、課題解決への関心を持ってもらうための働きかけが必要。これからは、その働きかけのルート、仕組みを考えていきたい。

 その仕組みのひとつに「寄付市場の創造」もあるだろう。これまではNPOと支援者の個別の寄付交換だったものを、より合理的な募金が可能な社会システムを構築することでお金を介在させた社会的関心の拡大につなげられないだろうか。寄付市場構築のためには、NPOの信頼性担保の手法、寄付製品の開発手法などNPO自身が取り組んでいくべきこと、支援者側への寄付者教育、啓発といった働きかけ、集金チャネル、寄付税制、情報公開など社会制度に関する改革など多くの課題があるだろうが、そういうことに戦略的に取り組んでいくべき段階にきていると思う。

 最後に参加者との意見交換がおこなわれた。

 参加者からは次のような意見が出た。

  • シーズのホームページ「NPOWEB」で、米国の寄付市場に関する記事を読み、日米のお金に関する考え方の違いを感じた。寄付集めに際しても、お金は不浄という発想を転換しなくてはならないだろう。
  • 寄付者、支援者が求める「見返り」があるとしたら、どう応えていけばよいのか。
  • NPOと企業の協働について、寄付以外にも企業がNPOを支援する方法はあると思う。
  • 事業型のNPOが増えると企業との競合などがますます問題になってくるだろう。
  • 市民活動への関心を高めるためには積極的に政策提案をしていくことが大切ではないか。
  • 変則的な公的な補助金に頼るのではなく、安定収入としての会費・寄付の重要性を再確認した。
  • 市民が管理運営するファンドがもっとできるといい。

 こうした意見を受けて、パネリストから下記の発言があった。

松原明

 あしなが育英会の寄付者の感想から考えると、寄付者の求める見返りは社会を変えることに参加したことへの満足感だと思う。その満足感を提供するためには支援者とのコミュニケーションが不可欠。コミュニケーションを通して、目的を明確にした寄付集め、成果の伝達などに留意した寄付集めをおこなう必要があるだろう。

山北洋二氏

 企業の総務課から出るような「会費」は少ないが、100件以上の企業からの支援の申し出を受けている。その多くが企業の社会貢献活動の一環としての申し出だ。最近では阪神タイガースがヘルメットに「あしなが育英会」のステッカーを貼って試合に出てくれて、広報のみならず遺児たちの励ましにもなった。ただし、「あしなが」のブランドイメージを守るために、商品の販促に関わるものは全て断っている。

根本悦子氏

 支援者への見返りということについては、たとえばベトナムの障害者に来日してもらい、支援者に対して実状を訴えてもらって、支援の意義を実感してもらうといったことをしている。

 企業の支援は景気に左右されるので、ワンタイムのボーナスというようにとらえている。その点、安定して継続的に支援してくれる個人会員は大切な存在だ。ただ、誰もが会員として継続して一定額を納めることが出来るわけではない。会員になること以外でも支援できる寄付の機会を設けるなど、いろいろな支援方法を用意する必要があるだろう。

宇都宮健児氏

 NPOの活動は大切なものだが、多重債務者の救済活動の経験から実感するのは、活動で救える人はごく一部の人に限られるということ。残りの人たちを救済するには、政策変換、法律改正が必要だと思う。「ヤミ金対策法」の制定には、日弁連と「全国クレジット・サラ金問題対策協議会」が連携したことが効を奏した。政策提案のためにはNPOと連携する法律化集団を形成する必要があるだろう。弁護士会の各委員会、弁護士への呼びかけなどを積極的におこなってみてはどうだろうか。

松原明

 NPOのためのファンド作りは優先順位としては低いものと考えている。すでに関心のある人たちからお金を集める以上に、これからは関心の薄い人たちへの働きかけに重点をおきたいからだ。小口でも、個人のお金を集めることが市民活動にとって重要なことだと思う。無関心層への働きかけが、自立性、信頼性、独自性といったNPOの課題の解決につながるだろう。

 最後に、辻氏より「最近、NGO活動などで、政府が推奨しない活動については一般の人たちが理解を示さないという場面を散見する。そういったことに対する働きかけもNPOの課題だろう。また議論の場を設けて、さらに議論を深めて市民活動の発展を目指していきたい。」と閉会の挨拶があり、シンポジウムは終了した。


 10年前と同じ「全労済東京都本部会議室」を会場にして開催されたシンポジウムには、当時の参加者も数多く来場し、閉会後もNPO黎明期を懐かしみつつ、NPOの今後について熱心に話し合う姿が見受けられた。

 なお、会場では、3日後の4月27日に控えたシーズ事務局移転に対する「引越し募金」への呼びかけがおこなわれ、多くの参加者から心温まる募金が寄せられた。ご協力くださった方々に、この場を借りて心よりお礼申し上げたい。ありがとうございました。

文責:シーズ 徳永洋子

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