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2002年の報告

2007年08月29日 12:34

制度改正の口火をみちのくで切る!!(仙台)

NPO法制度・支援税制改正

2002年度キャンペーン・みちのく秋の陣 報告

日時 2002年10月31日(木)16:05~17:55

会場 仙台市情報・産業プラザ 5階 多目的ホール

 NPO法制度・支援税制改正2002年度全国キャンペーン、仙台では10月31日午後、「制度改正の口火をみちのくで切る!!みちのく秋の陣」と題して開催された。「NPOパワーアップフォーラム in 東北」(主催 (財)住友生命社会福祉事業団、(特非)日本NPOセンター、当センター)の一枠としての開催である。当日は、NPO関係者や東北のNPO支援センター関係者、地方議会議員、行政関係者など約100名の参加があった。

 はじめに、主催者の1つである日本NPOセンター事務局長の田尻佳史氏よりあいさつがあった。そして、当日ご欠席の国会議員の皆様からのメッセージを紹介し、松原明氏(シーズ=市民活動を支える制度をつくる会 事務局長)の講演「NPO法制度・税制度改正の現状について」へと移った。

NPO法制度・税制度改正の動き

 1998年のNPO法成立以来、今年9月末時点で全国で8,315のNPO法人が設立され、毎月約300法人が新たに生まれている。また、一定の要件を満たすNPO法人に対して税制支援を行う「認定NPO法人制度」も昨年10月に導入された。このような制度は、今後の日本社会の中でNPOをどう位置付けていくかということを端的に示すものとして重要である。

 現在、NPOに関するこれらの制度改正について、3つの動きがある。1つは、NPO法の見直しである。法の見直し作業は昨年から始まり、法案の準備もできているが、個人情報保護法案の審議の関係で、委員会審議がまだ始まっていない状況である。2つ目の動きが、認定NPO法人制度の見直しである。現行の認定NPO法人制度は、その認定要件の厳しさから、ほとんど使えない制度になっている。全国8,315のNPO法人のうち、認定の申請をしたのが18件、認定を受けた法人が9法人であり、認定率0.1%という惨状になっている。

 さらに、NPOに関する制度改正のより大きな流れとして、行政改革の一環として進んでいる公益法人制度改正がある。現行の公益法人(社団法人・財団法人)制度とNPO法人制度の統合といったことが議論になっている。

 NPOが財政的に安定・自立していくための方策として、(1)行政からのアウトソーシング、(2)事業化(新しいコミュニティビジネスの起業)、(3)寄付の拡大の3つがあるといわれる。事業型NPOと企業との競争関係が問題になりつつあるなど、NPOの発展の方向性は、寄付税制の議論に多いに影響するものである。

認定NPO法人制度の現状と課題

 認定NPO法人になるには「日本版パブリック・サポート・テスト(以下、日本版PST)」「広域性要件」「共益団体の排除」「運営組織・経理の適正性」「事業活動の適正性」など9つの要件を満たす必要がある。そもそもこれらは、行政の恣意性を廃して、客観的な要件から適切な活動をしている団体を判定し認定しようとしたものであったが、実際のNPOが満たすには非常に厳しいものになっており、その緩和が課題になっている。

 これらの要件の中でも、特に厳しいのが日本版PSTである。制度制定時の政府の国会答弁では、5割の団体がPSTをクリアできるとされていたが、実際には0.1%にとどまった。政府でもこのような状況を受けて要件の緩和を検討している。

 シーズでは、認定要件の問題点を抽出するため、今年夏にNPO法人向けのアンケート調査を行った。その結果、全ての認定要件をクリアし、認定申請の意志があるのは全体の0.4%にとどまり、制度の欠陥が明確になった。また日本版PSTについて見ると、事業収入や補助金収入が不利に働くテストになっており、市民や行政から資金を受けて市民にサービスを提供するような事業型のNPOはほとんど対象にならない結果となった。

 また新聞報道によると政府内では、認定要件の緩和として、日本版PSTの1/3要件を1/5等にすることを検討しているようであるが、このような部分的な緩和だけでは、認定団体数には大きな変化が生じないこともアンケートからわかった。

 本来、認定要件の見直しは、NPOの実態や、NPOが今後の日本社会の中で果たす役割などを見据えた上で、それを支える税制を、という観点から議論していかなければならないはずであるが、現状では「ただ認定数が少ないから若干緩和しよう」という政府の考え方が透けて見える。NPO側からの運動の方向性としても、このような深い議論を経て提案をしていく必要がある。今回の支援税制の議論は、その後にくる公益法人制度改革の議論に直結することもあり、重要である。

 松原氏の講演の後、会場からの声を受けた。○税務署の対応に不審な点がある、○国会議員だけではなく、地方議員も巻き込んだ議論も重要ではないか、○日本版PSTについて、寄付の割合だけが公益性を決めるのはおかしいのではないか、などの質問・意見が出た。

 これを受けて、後半では、松原氏、岡崎トミ子氏(参議院議員)、田尻氏、加藤哲夫(当センター代表理事・常務理事)の4氏をパネリストとして、パネルディスカッションを展開した(コーディネーター 当センター理事 黒澤学)。以下、各氏の議論の要点を整理して示す。

  • NPOについての無理解・誤解
    • NPOが直面する大きな問題の1つに、NPOに対する誤解・無理解がある。NPOが広まれば広まるほど、部分的にNPOを理解しただけでNPOに接する人も増えてくる。そういう人に対しては、NPO側から、NPOの意義・必要性を訴えていく必要がある。
    • 多くのNPO関係者が、所轄庁や役所に伺いを立てる、という姿勢になっている。制度というのは、一定の解釈の幅があるものであり、NPOの側で解釈の基準をつくり、働きかけによりそれを認めさせるようなことも必要である。
    • NPOが行う収益事業についてのバッシングも出てきている。企業が行う事業とNPOが行う事業がどう違うのか、その必要性を訴えていく必要がある。
    • このような啓発は、各地域のNPO支援センターに期待される役割であろう。

  • 地方議員との関係
    • 地方議員のNPOへの無関心は、全国的な課題。地域を代表する地方議員にきちんとNPOを理解してもらうことが必要。
    • せんだい・みやぎNPOセンターでは、超党派の宮城県議会議員と一緒に、年4回意見交換会を開催、地域のNPOや、NPO制度改正の現状などについて意見交換を行っている。このような機会づくりが各地で進むようになるといい。

  • NPO法改正の現状
    • 先の通常国会では、担当の内閣委員会が個人情報保護法案の関連で審議ストップになっていたことの影響で、NPO法改正案が審議に入れなかった。法案はすでにできており与野党が合意しているので、委員長提案ができれば、1日で国会を通過する状況にある。本国会に入って委員会の状況が変わりつつあるので、努力していきたい。

  • NPO支援税制について
    • 日本版PSTは、行政が恣意的に良い法人と悪い法人を分けるような基準にならないような客観的な基準として、NPO側から導入を求めた経緯があった。
    • パブリックというと日本では国家になってしまうが、アメリカのPSTでは、(1) 国・自治体のような政府機関、(2) 広く薄い大衆・市民、(3) 市民の支持を仲介する助成財団の3つを「パブリック」としてとらえている。その結果、ほとんどの団体がPSTをパスする。このような多様な公益の概念を取り込んでいく必要がある。
    • 支援税制改正を求める署名運動を展開中である。約7,300法人に署名のお願いをしたが、まだ約2,750団体分しか集まっていない。このような運動にぜひ協力いただくとともに、11月の決起集会にもぜひご参加いただきたい。

 議論は白熱し、残念ながら時間切れ終了となった。最後に、法制度・支援税制改正へのカンパを会場から集め、「秋の陣」は閉会となった。集まったカンパ金(¥21,390-)は、シーズへの寄付金として提供された。


■ 国会議員の皆様からお寄せいただいたメッセージ(メッセージ到着順)

衆議院議員 安住淳様 (民主党)

 これまでの「役所と民間」という関係から、「役所プラスNPOプラス民間」の関係へ。パブリックな仕事を垂直から水平へと変えていく為にがんばりましょう。

衆議院議員 井上義久様 (公明党)

 本日お集まりのNPOの皆様、皆様の日頃の熱心な活動に深く敬意を表します。時代は大きな変わり目にきています。新しい時代にNPOが期待されている役割は大きなものがあります。しかし社会全体のNPOに対する認識はまだ十分ではありません。法制度や支援税制も現状では不十分です。わが公明党も本年度党大会の重点政策として税制支援の拡充などNPOの設立、活動がしやすい社会環境の整備に努めていく方針です。今後も皆様と連携を深めながら法改正に向けて取り組んでまいります。皆様のより一層のご活躍を祈念しご挨拶とさせていただきます。

参議院議員 市川一朗様 (自民党)

 認定の隘路の1つになっております「3,000円未満の小口寄付は、寄付金総額に算入できない。」という制約などを検討し直し、眞に税制上の優遇措置がとられ、伸び伸びとした活動が展開されるような制度の改正に尽力いたしますことをお約束申し上げ、応援のご挨拶といたします。

参議院議員 櫻井充様 (民主党)

 この度は認定NPO法人制度改正2002年度全国キャンペーン・みちのく秋の陣のご開催おめでとうございます。21世紀の社会では、行政でもなく、会社でもない、NPOの果たす役割というものが、各分野で益々必要とされています。政府が定めた認定NPO法人制度は、NPOの活動や、NPOへの支援というものに資するものであったはずですが、認定要件が厳しすぎてほとんど活用されていません。今回のキャンペーンが現行の制度をよりよいものに変えていくための大きな力になることを心より祈念しております。

報告:せんだい・みやぎNPOセンター 高田
2002.11.14

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