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2003年の報告

2007年08月29日 13:23

変わる?!公益法人制度改革(福岡)

-緊急学習会開催-

~会費・寄附金も課税対象に?!?!~

 第29回ふくおかNPOサロン(2月サロン)は内容を急遽変更し、2003年2月20日(金)午後7時より、公認会計士の赤塚和俊氏をゲストに迎えて、「変わる?!公益法人制度改革緊急学習会」を開催した(主催:特定非営利活動法人NPOふくおか)。

 開催2日前からのメール、FAX、新聞記事などのよる緊急の呼びかけにも関わらず、会場となった「あいれふ」(福岡市立婦人会館)には、NPO関係者を中心に県内各地から他分野にわたる23人の参加があり危機感と関心の高さをうかがわせた。

 今回の緊急学習会は2月17日に「シーズ=市民活動を支える制度をつくる会」のホームページに掲載された「堀田氏が反原則課税に『支援求む』」の記事を受け、現在の公益法人制度の理解と政府・行革推進事務局が進めている「公益法人制度の抜本的改革」の概要について読み解き、内容について少しでも多くの方に理解していただいた上で、(財)さわやか福祉財団理事長・堀田力氏が求めている意見募集に応え、今後の取り組みを探ろうとして開いたものである。

 また、今回の問題は「公益法人制度」と「税制」や「認可・認証についての事項」などいくつものポイントが絡まっており、そのことが分かりにくくしていることにも注目していただきたい。

 はじめに、(特活)NPOふくおか新理事長・濱砂圭子より開催の挨拶があり、(特活)NPOふくおかの加留部貴行事務局長の進行により学習会はスタートした。

 まず、ゲストの赤塚和俊氏より、今回新たな「非営利法人」として同じ枠組みでくくられようとしている公益法人(財団法人・社団法人)と中間法人、NPO法人について、現在の公益法人制度上の違いを法人の種類および根拠法に則して資料に基づいて説明がなされた。

 日本においては明治29年(1896年)の民法制定から平成13年(2001年)の中間法人法制定までに多くの法人制度が誕生している。設立要件や最高議決機関、利益の配分、解散時の残余財産の分配について、それぞれの法人制度に違いがある。今回同じ枠組みでくくられようとしている公益法人、NPO法人、中間法人についても元々大いに違うものである。

 公益法人とNPO法人は「公益法人」だが、中間法人は「共益」を主とする法人である。また、中間法人だけが解散時の残余財産の分配が可能となっている。

 税制に関しても、公益法人、NPO法人は原則非課税であり、法人税制上の収益事業(限定列挙33業種で定められたもの)を行う場合には課税されることになっているのに対し、中間法人はそもそも原則課税である点にも注目いただきたい。

 しかし、今回の行革本部及び財務省が考えている「非営利法人制度」は、性格の異なる公益法人と中間法人、さらにはNPO法人をもひとまとめにして「非営利法人」としようとするものである。準則主義によって届け出で法人設立を認めるとするが、非営利法人は全て「原則課税」としようとしているのである。これは会費や寄付金にも課税しようとするものである。

 また、非営利法人のうち、「社会貢献性を有する」法人を「登録法人(仮称)」とし、国(特定の省)又は都道府県に登録するというものである。さらに、社会貢献性を有する事業活動を行う法人で、組織運営の適正などの要件を備え、残余財産を社員等に分配しない法人は、原則非課税とした上で、収益事業(対価を得る事業)による所得に課税し、過大な内部留保金は制限される。収益事業に課税する理由は、営利事業と同様の扱いをするということにあり、内部留保金制限の理由は、過大な留保金は給与やフリンジベネフィットの形による実質的利益分配につながり、また、法人の支配者による任意の経済活動を行うことを可能とするから、課税しなければ営利法人とのバランスを失するというものである。また、登録法人のうち、現行認定NPO法人に相当するものと、現行特増法人に相当するものについては、寄附優遇税制を認めるらしい。

 現在NPO法人は、特定非営利活動促進法で準則主義ではなく「認証主義」で設立されており原則非課税である。NPO法上での「社会貢献性」についてはその第1章第2条第1項において「この法律において「特定非営利活動」とは、別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。」とあり、また、第2項で「この法律において「特定非営利活動」とは、特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、次の各号のいずれにも該当する団体であって、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。以下、省略」という定義のもとで設立され、社会貢献性については国や第3者機関が判断するのではなく、市民が判断するという仕組みで運営されてきたという現状がある。

 また、フリンジベネフィットに関しても最高議決機関が「社員総会」であるNPO法人は、「理事会」が最高議決機関である財団法人と異なり、お金の流れに関しても、「社員総会」において議決権を持った「正会員」にきちんとチェックを受けているという現状がある。

 赤塚氏の説明および現在の状況を図に表すと以下のようになる。

行革本部及び財務省の考える非営利法人制度の概要

 
      認定法人?           ・寄附についても税制上優遇 
     (国税庁が認定) 
     認定は誰がおこなうのか? 
        ↑ 
      登録法人(=社会貢献性が必要・原則非課税) 
     (財務省?・都道府県に登録)   ・収益事業 
                      (=対価を得て行う事業一切?)は課税 
      第三者機関がチェック?     ・内部留保金 課税 
      どういった仕組みで誰がおこなうのか? 
        ↑ 
      非営利法人(=届出により成立・原則課税) 
       +-----------+--------+---------+ 
       |公益法人       |中間法人    |NPO法人    | 
       |(社団法人・財団法人)|        |         | 
       |原則非課税      |原則課税    |原則非課税    | 
       |残余財産の分配不可  |残余財産の分配可|残余財産の分配不可| 
       |約2万6000団体  |約100団体  |約1万団体    | 
       +-----------+--------+---------+ 

 2003年2月には全国のNPO法人が1万を突破しているのに対し、全国に約100しか存在していない中間法人と新たな「非営利法人」という枠組みの中にNPO法人が一緒にされることで、原則課税や残余財産の分配が可能とされる中間法人制度に引きずられてしまい、いままで社会システムの中で評価されてきたNPO法人の社会貢献性が一定の第三者機関に委ねられる事になってしまいかねないという恐ろしさをはらんでおり、NPO法人制度が後退することは必至である。今回の公益法人制度改革では公益法人、中間法人とNPO法人を切り分けて制度改革のあり方を求めていかないといけないのではないかということと、法人制度と税制を切り分けて議論し、公益と非営利をきちんと整理して考えていくことが重要である。

 続いて、会場からの質疑を受けた。ここからは進行役でもある(特活)NPOふくおか常務理事・事務局長の加留部貴行も加わりみなさんからの質問に回答をしてもらった。

■ おもな質疑および意見内容 ■

1.障害者の作業所のお手伝いをされている方からの意見

 自分がいる福祉作業所は将来NPO法人や社会福祉法人になることを目標に活動している。その財政は行政からの補助金がほとんどで職員の人件費と作業を行う時の費用にほとんどを使い切ってしまう。また、作業を行うことで発生する工賃はみんなで分配し内部留保金はないのが現状である。内部留保金があれば次の活動に繋がっていくが、課税されるのでは次の展望が開けない。また、内部留保金課税を避けるため結局全てを使い切るという発想では行政と同じ予算主義となってしまい、次年度の予定や予算も立てにくくなる。せっかく今回の特定非営利活動促進法の改正で「予算準拠主義」が撤廃されたのにこれでは予算準拠主義に戻ってしまうのではないかという危惧がある。

2.介護系NPO法人理事長の意見

 なぜ、内部留保金に課税されなければならないのか?私たちはグループホームを持つ夢を実現させるために倹約して頑張っているのに、これではその夢も打ち砕かれてしまう。

3.NPO法人とフリンジベネフィットに関してどのような考えか?

◇赤塚

 そもそも、これまでの公益法人の運営は理事会に絶対的権限があり、役員手当や福利厚生といったところでたくさんのお金が役員へ流れてきたという背景がある。天下りした役人の中には3年間で何度も退職金をもらいその総額が1億円を超えるような人もいたようだ。

 しかし、NPO法人の運営は基本的にその団体の自治に任せられており、最高議決機関が「社員総会」をとっているものが多く、内部でそのようなことをしていたら会員からの共感が得られず、会の存続そのものが難しくなってくるだろう。

 個々の差はあれ、NPO法人は情報公開が義務付けられてその透明性を確保しているが故に、内部留保に関しては現在の公益法人よりはずっと健全に運用されていると考えている。

4.今回の公益法人制度改革においてNPO法人の意見を反映させていくためにはどれくらいの時間が残されているのだろうか?

◇赤塚&加留部

 非営利法人課税ワーキンググループ会合が2月21日と3月4日にあり、3月中に大綱が策定されると言われている。大綱はその後閣議決定される。閣議決定されるということは基本的に政府サイドはそれを遵守していくこととなる。改革に関する基本的な流れができてしまうということだ。最初の勝負はここ1ヶ月間と思っている。

 しかし、その後何年間かかけての国会審議という形になっていくので、まだ流れを変えるチャンスは残されている。その際は議員立法で、という考え方もある。がそのためには今一度NPO議員連盟所属議員の先生方に頑張っていただかなくてはならない。

 これから地元選出の国会議員の先生方やマスコミ、新聞への投書などでみなさんの意見や感想、活動実態(どんな活動をしていて今回の改革では具体的にどう困るか)をNPO法人自身が伝えていくことと、今回参加していただいたみなさんが知り合いのNPO法人や関係者へ口コミでお伝えしていってくださることに大変意味がある。

 「知らない」という状態から「知らせていく」動きをつくっていくことだ。

■ 参加者記入カードより ■

  • 今回の公益法人改革+税制改革の話については、もっと広くPRして底からの声を大きくする仕掛けが必要だと思います。
  • 危機感を抱きました。今後できることをやっていきたいと思います。
  • 今後も学習会等あればお知らせください。これからも参加していきたいです。

文責 (特活)NPOふくおか 佐野由希
2003.02.24

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