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特別連載コーナー

2007年08月23日 17:24

寄附・会員集めのABC(4)「日本アニマルトラスト」仲内美幸さん

コーナーのご紹介:

このシリーズでは、上手に寄附や支援的な会費を集めておられる日本のNPOをインタビューし、少しゆっくりめのペースで6回ほどご紹介していきます。シリーズのなかには、寄附をくださる企業側の方のお話も入れる予定です。どうぞ、ご期待ください。

なお、このシリーズをホームページに掲載するにあたっては、「日本オラクル有志の会」よりご支援をいただきました。


第四回「日本アニマルトラスト」仲内美幸さん

連載第四回目は、大阪府豊能郡にある特定非営利活動法人「日本アニマルトラスト」(http://www.happyhouse.or.jp/)の受付担当、仲内美幸さんにご登場いただきます。

「生きとし生けるものすべての命の重さは同じ。絶対に殺さない。殺処分はしない。」

これが日本アニマルトラストの活動理念。捨てられたり、飼い主の都合で飼えなくなった犬や猫の保護、飼育、里親探しなどの活動を行っています。

同会が運営している動物のシェルター「ハッピーハウス」は、大阪府豊野郡の最北部の丘陵地に立地しています。1600坪の広大な敷地のなかには、スタッフの働くセンターハウスを中心に、パドックや犬舎40スペースが設けられ、動物診療所も併設されています。犬と猫をそれぞれ200匹以上、また、どうしても保護の必要のあったアライグマ、にわとり、キツネ、タヌキなども飼育しています。

阪神淡路大震災では、全国の動物愛護団体とネットワークを組み、文字通り東奔西走して里親探しを行いました。また、1997年に富山県の動物血液センター・(株)ブルー十字が倒産した際、何百匹という犬や猫が放置されましたが、同会ではスタッフを現地に派遣し、不妊手術をして里親探しを手伝いました。こうした活動は広く知られているところとなっています。

現在は飼い主の老齢化、死亡などの理由によって飼育が困難になった犬や猫の契約による終生預かり、飼い主の入院時の預かり・ショートステイのほか、動物に関わる人々への普及・啓発にも力をいれており、近隣の動物訓練学校の生徒を受け入れ訓練士の育成に一役かっているほか、子供たちへの命の教育、ペットとその飼い主のしつけやふれあい宿泊体験なども随時開催しています。

同会の活動を支えているのは、ユニークな募金活動です。受付担当の仲内美幸さんに、活動の意義や募金活動についてお話をうかがいました。


<活動の経緯と現在の規模>

私たちの活動は、1976年に創設者の甲斐理事長が自宅を開放することからはじまりました。捨て猫60匹捨て犬10匹から始まったのですが、そのうち、どんどん・・という感じに膨らんでいきました。これはやはり不妊去勢手術の普及をしなければならないということで、動物病院とかかわりをもつようになり、理解のある先生に出会ったりして運動へと発展していったのです。

組織的には、1988年には動物のシェルター「動物の孤児院・ハッピーハウス」を開設し、2000年には「甲斐アニマルトラスト」としてNPO法人化、2004年に寄付者が所得から寄附金を控除できるようになる「認定NPO法人」として認められました。また、同年には名称を「日本アニマルトラスト」に変更しています。

88年に今の豊能郡にうつったときは、こんなに整備された状態ではありませんでした。事務所なんかは掘っ立て小屋。くいで囲っただけという感じの手づくりの犬舎で犬を飼育していました。理事長以外にスタッフは2人。理事長がほかで働いた分の給料をこちらの運営費にまわすようなかたちでした。

ここに移ったのは、環境がいいというよりも、街中ではできないからという理由が大きいのです。今はスタッフも30名をこえ、全員有給です。募集をすると全国から応募があります。若い人が多いですね。職員用の寮もあります。寮があるNPOは珍しいかもしれないですね。

受け入れる犬はどんどん増えます。定員オーバーなのに、相談を受けてしまうと、やはり受け入れざるを得なくなります。だって、断ると「じゃあ、保健所につれていく」といわれたりしますから。今は全部で450匹以上の動物を保護しています。

サクラ昼寝写真

ハッピーハウスの住人(犬)サクラのお昼寝風景

<効果のある街頭募金>

収入源のなかでも寄付は大事な柱です。事業収入と寄付が半々くらいです。特に、動物の保護・飼育事業は一番お金がかかるにもかかわらず、それに対する対価がほとんど得られないため、寄付でまかなうことになります。行政からの補助は一切ありません。本当はこのような活動に行政も必要性を感じてくれたらいいのに思うときはありますが。約1000人の会員と、1万人以上の協力者で支えられています。

もちろん、保護の際には、不妊手術代と病気予防の混合ワクチン代、それとできれば月に1万円くらいの養育費をお願いするのですが、それをちゃんと支払い続けてくださる方は多くないのが現状です。そのため、寄付は重要な収入源なのです。

当会に入る寄付の多くは振込みですが、街頭募金でも多く集まります。

街頭募金は、1997年のブルー十字事件の後ぐらいからはじめました。もういよいよ運営が立ち行かないという局面にあったのです。

街頭募金は週に3~4回。夏は犬への負担が大きいため頻度が少なくなりますが、年間平均すると150日ぐらいは街頭にでています。土・日も活発に行います。募金には犬を連れていくんですよ。私たちは募金犬と呼んでいます。人に対して愛想のいい、構われることが大好きな犬を選んで一緒に連れていくんです。若い健康な犬は私達と一緒に働いてくれます。夏はこの街頭募金の回数が少なくなります。暑い中で立っていると、人によっては動物虐待だと思う人もいますから。だからといって、人間だけで募金活動をしてもなかなか集まりません。「今日は犬いないのね」とかいって大半の皆さんは通り過ぎていくだけです。

なかには、気に入った犬を追いかける「追っかけ」もいます。「次はどこの街頭にでるの?」なんて聞かれたりもします。場所はたいてい駅前で、川西や、高槻、豊中、千里中央などで行います。たいていスタッフ2名が犬を1~2匹連れていきます。犬は大きいタイプと小さいタイプがいます。人によって好きなタイプがちがいますので、どちらにも追っかけがいるんです。

猫よりは犬の方が募金活動に向いているようです。猫は見知らぬ人とのふれあいはストレスになります。

街頭募金活動は、もちろんお金を集めるのが目的ですが、啓発活動にもなります。知ってもらって、チラシをみてもらって、しつけの相談にも結びついていきます。里親募集や、寄付の使い道を円グラフなどにした立て看板、腕章、のぼりなどの街頭募金セットが力を発揮しています。

国税庁の「認定」を受けるにあたっては、収入のうちに寄付が占める割合が大きくないといけないのですが、1000円未満の寄付と匿名の寄付はこの中に入れられません。なので、街頭募金のときも1000円以上寄付してくれた人には、「お礼状を送りたいから!」といってスタッフが追いかけていって、名前や住所などを教えてもらいます。そうじゃないと匿名の寄付になってしまいますから。だから、匿名の寄付額は合計しても20~30万円にしかなりません。(今は個人情報保護法の施行にともなってシステムを変更しているところです。)

募金風景の写真

中学生ボランティアも街頭募金に協力

<会報での寄付呼びかけ>

会報誌でも積極的に寄付を呼びかけます。いたるところに「お願い」とか「お礼」とかをちりばめています。かわいいネコやイヌの写真もたくさんいれます。

人気があるのが、「こんなものが不足しています」のコーナー。ここには足りない物品を書くのですが、ネコの離乳食やドライフード、米や毛布、新聞紙といったものを掲載しています。ここに一度試しに「車」って書いてみたんですね。ここは車がないとやっていけませんし、保護活動や里親に届けるのに車は欠かせませんから。そうすると、通信がついたその日に電話がかかってきたんです。もうひっくり返りました。(笑)今は車も支援者の方々の提供でまかなっています。A4のコピー用紙というのも書いてみたら提供していただけるものなんですね。おかげさまでコピー用紙も購入せずにまかなえています。

物品寄付というのは、支援者も応援しやすい方法なんだと思います。企業にもこの方法では随分と支援してもらっています。認定NPO法人になってからは、フードを大量に寄付してくださった企業には、確定申告で損金算入できるよう、年間でいくらという領収書を発行しています。

<いのちの大切さを伝える活動を展開>

インテックス大阪(大阪市住之江区)というところで毎年開催されるペットの博覧会があります。これは要するにペット業者が集まって展示し、犬猫を一般の人に買ってもらうイベントです。そのようなところにも私たちは出展しています。里親募集と募金がすることが目的です。募金箱をおいて、協力を呼びかけます。ハッピーハウスの存在を知っていただくチャンスでもあります。

しかし、業者とタイアップしているのかというクレームも頂くことがありますが、お金で売買される犬・猫達が、もしかしたらうちの子になるかも知れないと言うことを皆様にわかってもらえるように、命への責任を持ってもらえるように、呼んで頂ける時は積極的に参加させてもらっています。

でも、周りのペット業者にしたら迷惑かもしれませんね。何しろ「動物の売買はするな」というんですから。彼らとは私たちとでは基本的な考え方がちがいます。でも、結局は、責任をもって飼ってくれる人が増えればいいんです。現実は、彼らのような業者が無責任に人気種を生ませて増やし、そして捨てられる犬が増えているのですから非常に悲しいですね。生体販売をするペットショップがない国もありますから、根本的に考え方を変える時期がきているのかもしれません。

猫部屋床掃除の写真

猫部屋の床掃除風景

最近はペットショップのなかでも私たちの活動に共感して募金箱をおいてくれるところも増えてきましたが。

学校教育も私たちが力を入れている部分です。子どもたちに命の大切さを知ってもらいたいと思っています。今は総合学習のカリキュラムがあるでしょう。小学校や中学校からそこで授業をしてくれないかと頼まれたり、私たちの機関誌をみたという教師から依頼がきたりしています。

動物訓練学校の生徒さんを受け入れてもいますが、彼らに対する教育は、将来訓練士になるわけですから、あくまでも動物をどう訓練するかという視点で行っています。でも、学校の教育はちがいます。動物と人間との接し方や命の大切さを、触れ合いながら学んでもらうようにしています。そのため、触られてもいやがらない犬や猫を連れていきます。あたたかさとか、かわいさを感じることが大事なんです。

さらに、まだ試験的な段階ですが、地域猫活動(※)もはじめています。去年からの試みです。野良猫の相談があまりにも多いので、「地域ねこ大好きネットワーク」を作り賛同者を募っています。猫を好きな人も嫌いな人も活動に関われる地域ネコ活動は、野良猫ゼロの荒涼とした町ではなく、野良猫のトラブルがゼロの町、猫も一緒に住める優しい町を目指すものです。こんな活動が全国に広がるお手伝いができればと思っています。

※ 地域猫活動=地域住民が協力しあい、野良猫のエサあげ・ふんの始末等を分担することで、野良猫による地域被害を小さくする活動。野良猫には避妊去勢手術を施し、むやみに増えないようにする。東京都などでは行政と地域のボランティアが連動し、成果を上げている。


日本アニマルトラストでは、常時寄附を募集しています。寄附は、次の郵便振替口座までお願いいたします。

郵便振替番号 00970-2-24204
振替口座名義 ハッピーハウス

仲内美幸さんプロフィール

日本アニマルトラストで働き始めて5年目。受付で電話応対や接客を担当。肩書きは情報局長。にこやかな笑顔と柔らかい人当たりの裏に隠された、動物たちへの情熱はかなりのモノ。街頭募金に出ていたことも。

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