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特別連載コーナー

2007年08月23日 17:25

寄附・会員集めのABC(5)「米国インディアナ大学フィランソロピーセンター研究員」大西たまきさん

コーナーのご紹介:

このシリーズでは、上手に寄附や支援的な会費を集めておられる日本のNPOをインタビューし、少しゆっくりめのペースで6回ほどご紹介していきます。シリーズのなかには、寄附をくださる企業側の方のお話も入れる予定です。どうぞ、ご期待ください。

なお、このシリーズをホームページに掲載するにあたっては、「日本オラクル有志の会」よりご支援をいただきました。


 第五回「米国インディアナ大学フィランソロピーセンター研究員」大西たまきさん

寄附・会員集めのABCシリーズの第五回は、カーネギーホールや全米公共テレビ放送など、米国の非営利団体で実際にファンドレイザー(資金調達担当者)として活躍されてきた大西たまきさんにご登場いただきます。

大西さんは、現在、インディアナ大学フィランソロピーセンターで、さらに非営利部門の資金調達などについて研究を深めていらっしゃいます。

米国と日本では、歴史も制度も大きく異なりますが、寄付の文化が成熟しているといわれる米国の事情について、帰国時にお話を伺いました。

寄附者を育てる社会的仕組みや、新しい寄付のトレンド、米国寄付税制による寄付文化の促進、また日本の課題などについてのお話をご紹介します。

刺激的かつ新鮮なお話をどうぞ楽しんでお読みください。


<はじめに>

私は、ファンドレイザー(資金調達担当者)として米国で仕事をしてきていましたから、実は日本のことはあまり知らなかったんです。でも、カーネギーホールに勤務していた時に、日本人の個人寄付者が結構多いのを見て、日本人は寄付をしない訳ではない、つまり寄付文化の問題だけでなく、環境に問題があると感じていました。昨年、東京財団から助成を受けて、米国のファンドレイジング(資金調達)戦略と、日本における課題と可能性についての研究事業を行う機会を得て、今年4月にその報告会を東京で行ったのですが、その研究を通して日本のことを知れば知るほど、NPOの資金調達に関するインフラというか、環境はまだまだ整っていないのだな、と実感しました。

この研究は、主に(1)NPOの運営に関する課題、(2)NPOの寄付者や地域との関係構築に関する問題(寄付者とつながるチャネルや、NPOの信頼に向けた努力)、(3)取り巻く社会的要因、の3つについて調査をしたものでした。

今日は、これらに関連して、米国のトレンドなどを紹介しながらお話をしてみたいと思います。

<寄付者を育てる>

米国では今、青少年対象の「フィランソロピー教育」の動きが10年ほど前から大きく起こってきています。NPOやユース・サービス団体、財団、学校など様々なところで取り組み、ボランティア活動参加、サービス・ラーニングときて、さらにフィランソロピー、つまり寄付者を育てるということにかなり力を入れています。

コミュニティに出て実際にプロジェクトを設計して動かす方法から、学校での授業による教育スタイルなど非常に多様なモデルがあります。例えば「フィランソロピー・イン・アメリカ」という辞典の、ある統計によれば幼稚園から高校まで、全米の三分の一の公立小中学校、また約半分の公立高校で取り入れられていて、民主主義、市民社会(シビルソサエティ)、社会支援活動(フィランソロピー)、そして資金調達(ファンドレイジング)が、どう成り立って、どう機能しているかという、トータルな見方を教えるんですね。

例えば、アメリカの建国の歴史を例に取れば、みんなが一生懸命にお金を集めて橋を作って、学校を作って、そうやって、みんなが支援してきた結果として、自分たちの国ができたんだということを理解する。その過程で、資金や労力を支援するという意味がわかるんですね。

といっても、幼稚園とか小学校の低学年では難しいことは分かりませんから、授業では、例えばイギリスから移民としてやってきた時の歌の原曲を歌ったり、助け合いの文化を持つインディアンの楽器とか織物から学んだり。

高校生くらいになると、地元のNPOの調査をして、自分たちが支援したいのはどの団体で、どうしてその団体を支援したいのか、ということなどをレポートにまとめたりするんですね。そうすると、実際に子どもたちの意識がとても変わるらしいです。

他には例えば、子どもたちがまず、地域でどういうNPOがあって、どういう活動をしているかを調べてリストにする。一方で、そのコミュニティ財団の助成金支援プログラムに参加し、ここだというNPOのいくつかに行って、その財団の助成金支援プログラムを説明するんです。結構反応があって、実際にそうしたNPOから助成金申請の応募数は増えています。応募があったら、もちろん審査には大人も加わりますが、子どもたちもいっしょに、子どもの視点で、「ここの団体はここが良かった」とかいいながら助成決定に参加するんです。そして、助成をしたら、今度は実際にどういう結果になったかを子どもたちが調べるんです。

低所得者層の荒廃したような地域で、子どもたちも荒れているようなところでこれをやったら、子どもたち自身がずいぶん変わったという結果がシカゴ大学の調査で出ました。だからNPOのためだけでなく、子供の成長にも非常によい。日本のセンター試験の様なSATという試験の点も上がったと言われています。自分たちがリーダーシップを持ってやることで、コミュニティの役に立つ、それで普段は気づかなかった自分の役割や力、才能を実感したそうです。コミュニティにも感謝されて。

こういうことをやってきていると、大人になってからもNPOに協力するとか、NPOに寄付をするっていうことは、普通のことになるんですね。助成金審査にも関わりますので、寄付者を育てるだけでなく、日本の市民社会で必要とされている職業の1つ、助成のプロ=プログラムオフィサーを若いうちから育てる、という事にもつながるのでは、と思います。

アメリカが今になって何故こうした事をしているか理由は様々ですが、一つにはかつての建国時代の精神が今の世の中になって変わったことが指摘されています。つまり、NPOが市民の生活に提供している様々なサービスが当たり前になってしまい、それが本当は市民の支援によっているという事実を忘れがちになる。だから、アメリカ人もフィランソロピーの精神を世代ごとに伝えていくために必死の努力をし、その結果、寄付文化が育っているということです。社会支援のニーズを体験をとおして心からきちんと理解できるような機会が市民にないと、いくらNPO側だけが支援の必要を訴えていても大変です。寄付マーケットがない、と言われる日本だからこそ、フィランソロピー教育は必要だと感じています。

<新しい寄付の仕組み>

次には、社会システムのなかに寄付の仕組みが作られてきている、ということです。

そのひとつは、プランド・ギビング(計画的寄付)とか言われるものです。デファード・ギビング(据置き寄付)と言う呼び方がされることもあるのは、この種の寄付の多くが、すぐに換金化されず、ある年月を経て据え置かれた結果NPOが実際の資金的支援として計上できるからです。

実は、アメリカも急激に高齢化社会に変わってきています。で、子どもがいないという人も多いのです。そうすると、生命保険は掛けていて、自分が亡くなった時にはお金がいっぺんに降りるのだけれど、今はそれほど多額の寄付をする余裕はない、という人も多いのです。

こういう場合、その生命保険の受取人をNPOにすることができるんですね。私がファンドレイザーとして働いていた公共放送テレビ局では、その金銭的資源は寄付だったのですが、「毎日、おたくのTV番組を楽しんで見ていたから、私の生命保険の法的相続人をおたくにします」ということができる訳です。そうすると、その人は、生前に「寄付をします」と確約した段階で税制上寄付したことになり、その保険の掛け金は免税対象になるのですよ。

つまり、所得から控除できるんです。一回で所得控除できる額というのは、所得のある一定額(調整後総所得や年度などによって変わる)とか決まっていますから、もしその保険からの寄付額がそれより多ければ、向こう5年間とか繰り越して控除できるんです。でも所有権を保持すれば、保険のサービスはそのまま使うことができます。

それから、不動産の寄付でも、似たようなやり方が適用できます。例えば、日本だったら、たとえ認定NPO法人に家を寄付するというような場合も、普通は、寄付するという段階でその家からは出ることになると聞きました。でも、アメリカだと、生きている間はその家に住める。それで、亡くなったらNPOにその家が手渡される。寄付の約束をしたら、寄付者は生きている間に寄付者として扱われて、その資産価値を推定してその分を自分の課税所得から控除できるんです。不動産関係の税金、例えばキャピタルゲインにかかる税金もかかりません。つまり、自分が死んだら、家や土地を寄付するという約束しておけば、生きている間は大きな顔をして住んでいられて、しかも税金が安くなるんです。

それ以外に、銀行口座や株、退職金用口座からも、非常に数多くの個人資産が寄付できる制度がある。これはどういう事かというと、現金などのフローの収入が少ない人でも、大口の寄付ができるという事です。

だから必ずしもビル・ゲイツとか、ロックフェラーとか、億万長者じゃなくても、大口の寄付はできる。アメリカの‘やや大口’の寄付者の中には、お一人暮らしの女性の学校の先生、が非常に多い。一生懸命働いて、自分の人生で残した財産をお気に入りのNPOに寄付して、死んだ後もそのNPOを支えたい。その人の想いを永遠に残すために、税制度が貢献した結果です。

<金融機関の寄付商品>

信託も、日本だと、受託された側である信託銀行とかが、いろいろな運用をするのでしょうね。アメリカだとチャリタブル・リードトラストとか、いろいろな形があります。しかも日本の公益信託と違うのは、個人がある特定のNPOに寄付する形で信託設定することが結構多いです。たとえば、利子なり配当金はNPOに行くようにしておいて、自分が死んだ時はその元本は子どもに行くようにしておくとか、あるいは反対に、生きている間は利子や配当金は自分が受け取って、自分が死んだ時には、元本をNPOに寄付するようにするとか。いろいろと、自分のライフスタイルにあわせてうまく作れるんですね。

こういう仕組みを推進してきたのも、非営利セクターですよね。たとえば、National Committee on Planned Givingという、こうしたプランド・ギビング(計画的寄付)の非営利の全国協会のようなところがあるんです。ここには、プランド・ギビング担当のファンドレイザーの他、弁護士さんや会計士さんが多く所属していますが、こういう人たちがアドボカシーをして仕組みを変えてきました。そして、金融機関は、これはビジネスチャンスだということで乗ってきたようなイメージですね。

実は、金融機関は、以前は寄付なんて儲からないものだと思っていたようなのですが、今、どんどん変わっています。というのも、ボストン大学の先生と私の所属しているインディアナ大学の先生たちといっしょに調査した結果、ベビーブーマー世代の持っている資産が41兆ドル、つまり日本円だと、1ドルが100円という計算でも4100兆円だという結果が出たのです。そして、1998年から2052年までに、これだけのお金が、次の世代に移っていくと。この41兆ドルというのは、控えめに計算した数字だそうです。だから、金融機関も動いてきているんですね。少子化もありますから、こういうお金が非営利セクターにかなり流れると見ているんです。

例えば、スミスバーニーという証券会社や、フィデリティという投資信託会社は、免税資格をとって、そこに個人の顧客がお金を信託できるようにしているんですよ。ドナー・アドバイズド・ファンドという簡易的な信託が特にのびています。そのお金は、もちろんどこかのNPOに寄付することになる訳で、その顧客がどのNPOにするかの決定権を持っているんです。

けれど、いろいろな問題もあります。金融業界の人は、どのNPOにしたらいいかについては良く分からない、だから例えばインディアナ大学とスミスバーニーは昨年協働事業をしていました。それに、顧客は、お金をドナー・アドバイズド・ファンドに信託したら、その分は免税になりますが、ドナー・アドバイズド・ファンドの方は、今の段階では毎年一定割合を寄付しなくても問題にならない。これが人気の秘密でもありますが、行政、特に上院はこの問題を捉えて、ドナー・アドバイズド・ファンドに財団と同様、例えば年間資産高の5%を寄付するなど何らかの規制を作ろうとの動きがあります。財団の精査も始まり、エンロン等営利企業の問題が非営利にも影響して、これから一層問題になってくるように思います。

<基礎としての寄付支援税制>

いろいろ紹介しましたが、ともかく、寄付を促進する仕組みは、寄付税制がしっかりしていることが前提です。実は、アメリカ人だって、税が安くなるから寄付をしているなんてことを言うのは恥ずかしいんですね。だから、税が軽くなることが寄付のインセンティブになっているという調査結果はあまり出てこない。でも、こういうデファード・ギビング(据置き寄付)とか、プランド・ギビング(計画的寄付)が今一番伸びているのは、寄付税制があるからなんですよ。

アメリカって、たとえ息子とか娘がいても、遺書を書いていなかったら、財産は州に取られてしまう。だから、遺書を書かないといけないんです。で、子どものいない人には、州に行っちゃうのだったらNPOに寄付したらどうですか、となるわけです。プランド・ギビングだったら、さっき言ったような税の優遇措置もありますから。銀行に置いておいたら、それだけで利子に税金がかかりますから、その方がいいんですね。

私が働いていた所でも、12月が最も多く寄付を集める月だった。特に大口担当部署の場合、下手をすると年間収入の半分くらいを12月の一ヶ月で稼いでいました。なぜか。それは12月が個人が税金申告する年度の最終月だからです。つまり12月31日までにした寄付を翌年に提出する税金申告書に含められるわけです。寄付額が多ければ項目別控除の中に寄付額を入れて、課税前所得から引けます。だから皆、年末に間に合わせるので必死。12月31日なんて、財務担当者は大変ですよ。アメリカ人はお正月を日本ほど祝わないので良いのですが、日本で同じだったら担当者はかわいそうですね(笑)。

アメリカでファンドレイジングの教科書のようなものを書かれたケリーという学者さんがいるんですが、彼女は、「税制は寄付に関係ない、という人もいるけれど、実際にファンドレイジングやっている人は、税制が寄付に多いに貢献していることを知っている」と言っています。私は、日本でも寄付税制がうんと進んだら、寄付が絶対にしやすくなると思います。お金の面だけでなく、そういう税の環境を変えるということは、国も応援しているということで、NPOの信頼も増します。税の制度や法律を良くしていくことは、一般市民の非営利セクターに対する信用を上げることにもつながりますよ。

だから、日本でシーズさんがやっていらっしゃることは重要なんです。税制を変える、良くしていくということですが、それによっていろいろな寄付の仕組みを作り、新たな寄付マーケットを開拓することもできますからね。特にプランド・ギビングは貯蓄型の日本人に結構合うと思うのですが、税制上の違いで実践が難しい。米国やカナダなど、伸びている所をみるとそのための税制がしっかりしている。シーズさんには、もっともっと頑張っていただきたいと思います。

<事業型NPOも寄付集めの努力を>

もちろん、個々のNPOの努力も大事です。日本のNPOの場合、事業型が多くて、コミュニティビジネスがトレンドになっていると聞きました。寄付がまだ日常的でない日本で、団体が資金的に独立できる道を開拓していることで、それは非常に良いことだと思います。が、同時に社会的な事業を展開する限り、通常の市場原理どおりにはいかない。だから異なる資金の導入、つまり寄付支援は必要になる、それを確認する時もくると思います。

アメリカの、社会的事業を行う団体、つまり事業型NPOを支援する財団ロバーツ・エンタープライズ・デベロップメント・ファンドという財団の幹部の方は、事業型であっても、社会的なことをミッション(目的)に置くのであれば、寄付を集める努力も必要だ、と言っているんです。よく事業型NPOの人たちは、事業で資金を回してやっていけるのなら寄付は必要ないだろう、というけれど、それは間違いだ、と。最近でたハーバード・ビジネス・レビューの記事では、もっと厳しいことを言っていました。ほとんどの事業型は結局成功していない、って。これはいささか物議を醸し出す見方で全面的に賛成は出来ないのですが、要は事業収入も寄付も両方とも大切、より資金的な安定を目指すために色々な資金調達の方法を開拓するということです。

何故かというと、簡単なことで、事業型であってもNPOであれば、営利を全面に押し出して運営すると必ず無理がくる。例えば、障害を持っている方たちが働いているようなところだと、儲け主義に走る訳には行かない。目の見えない方たちのための特別な本を作って売るような事業だと、目の見えない方からたくさんお金を取って売る訳にはいきません。だから、営利企業とは同じようにやれないのですよ。その差額を、きちんと寄付を募るなり、ちゃんとファンドレイジングしていかないと事業を持続できないんですね。ミッションに沿った事業をやろうとすれば、絶対にどこかで差額ができてしまうから、それを埋めるためのファンドレイジングが必要になる。

アメリカで成功していると言われる事業型NPOの多くは、例えばレストラン事業で社会的弱者の更正プログラムを組むフェア・スタートも、ファンドレイジングと事業をうまく組み合わせているし、ハーバード・ビジネススクール出身者が始めたフェアトレードのコーヒー事業を展開するNPOも、後になってファンドレイジング担当者を雇いました。ベンチャー・フィランソロピーを推進する団体、ソーシャル・ベンチャー・パートナーズも、事業型NPOを資金とテクニカル・アシスタントで支援するのですが、その中にファンドレイジング手法の支援があります。財源をいろいろ増やすことが、持続的な経営の安定に必要だからです。

<日本の課題>

だけど、日本の状況を調べてみると、概念として寄付を集める努力は必要だし、そのための職員もいたらいいとは思うけれど、NPOの多くはまだ小さなところが多いですよね。実は、私たちがやった調査の結果として、寄付をもらってきちんとお礼状を出している日本のNPOって、半分もなかったことが分かりました。アメリカでは基本中の基本。でも日本では事務局長1人が頑張っているようなところが多くて、資金調達のために職員を置けないんですよね。ファンドレイジングの方法がわからないというよりも、それをする時間や手間がない。

またファンドレイジングや寄付がアメリカのように盛んでない日本では、事業をやって、ファンドレイジングもやって、というのも大変。だからファンドレイジングを支える社会の仕組みが必要です。アメリカにはファンドレイジング活動や担当者を支援する組織が多く、教育とアドボカシーを続けてきました。

たとえば、もっとボランティアの方に動いてもらえないか。アメリカではファンドレイジングにボランティアが関わることはごく当たり前です。ボランティア制度を、ファンドレイジングの担当ボランティアに特化して拡大できないものでしょうか。企業で働いてこられて、今は退職されているような方は、資金調達に発揮できる能力をたくさんお持ちのように思います。それから、もっと企業のCSRと連携して、企業のノウハウやデータベースの作り方、メーリングのアウトソーシング・サービスなどをお金をかけずに取り入れていくとか。考えれば、やれることはいくらでもあるように思います。

<ファンドレイザーという仕事>

最後になりますが、私は職業としてファンドレイザー(資金調達担当者)をやってきました。この職業というのは、アメリカではきちんとプロフェッショナルなものとして社会にも認識されています。新聞での求人欄のNPO関連で圧倒的に多いのはファンドレイザー。特に大口相手のファンドレイジング担当だと理事と一緒に働くので、出世もしやすいと、私のクラスメートも制作畑から移ってきました。笑い話みたいですが、実際私の元職場も含め、多くはファンドレイジングの出身が団体のトップになることが非常に多い。同僚にはゴールドマンなど投資銀行など営利セクターから来た人が結構いました。

でも、日本に帰ってきて、この仕事を説明すると、なんだかお金をもらうために頭を下げて歩いているように思われるんですね。とっても可愛そうな職業のように思われてしまって、残念でならないのです。こんな環境では、日本のファンドレイジング担当者は大変です。

ファンドレイザーという職業は、社会に必要なNPOの事業に対して、より良い社会の実現を望む個人や企業、財団などを寄付という形で結びつける仕事なのだと思います。今回の帰国で、若い方々がファンドレイザーとして働いている例を見て、日本もだいぶ変わってきたと嬉しく思いました、私がもともとアメリカに来ようと思ったのは、10年ほど前、日本でファンドレイジングの事を話しても全く理解してもらえなかったことが1つのきっかけでしたので。

個人的にはお金のことを話すのはとても苦手、でも大学の同級生達の中で、才能があって高い志をもっているけど親がいなく良い先生につくお金がなく、水商売からなにから必死でアルバイトした結果、身体を痛めて演奏ができず挫折。そういう例を見て、芸術はきれいごとだけではない、彼らの夢を支えるファンドレイジングは必要だと思っていました。

日本でも、そう理解してもらえるような社会が早く実現することを望んでいます。そのためには、NPOがもっと寄付を集める、つまりファンドレイジングする、という努力をして、寄付をするという行為を普通のことにしていく努力が必要ですね。


大西たまき(おおにしたまき)さんプロフィール

インディアナ大学フィランソロピーセンター研究員。
東京芸術大学音楽学部楽理科卒、コロンビア大学院芸術経営学科修了。自動車会社勤務後渡米。ニューヨーク・フィルハーモニック、オルフェウス室内管弦楽団、カーネギーホール企業スポンサーシップ部を経て、1999年から2004年まで全米公共テレビ放送ニューヨーク局資金調達部勤務。讀賣新聞文化欄「海外の文化」にて、ニューヨークのクラシック音楽界に関するコラムを定期執筆。

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