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2002年の報告

2007年08月29日 12:32

臨時国会 変えよう!NPO制度(東京)

どうなる?NPO法改正・NPO支援税制改正

~NPO支援税制の実態調査の結果を踏まえて~

 2002年10月29日(火)午後7時から9時まで、東京ボランティア・市民活動センターにて、シーズ主催の報告会を開催した。

 この報告会は、認定NPO法人制度改正のための全国キャンペーンの一環として行ったもので、今後全国15ヶ所で各地のNPO支援センターが主催するイベントが実施される予定。

 先の通常国会で見送りとされたNPO法の改正と、12月に向けて本格化してくると予想されてNPO支援税制の動きについての最新動向を報告するとともに、シーズが行ったNPO法人実態調査結果も発表した。

■ はじめに

 まず、松原明事務局長が、現在検討されているNPO法の改正点、認定NPO法人制度について簡単に解説し、この調査の意義について説明した。

 NPO法の改正について、今年の1月から7月まで行われていた通常国会では、NPO法の改正について審議される予定になっていたが、他の議案の審議などが障害になり、とうとう法案提出まで至らなかった。

 臨時国会は、10月18日から12月13日となることが10月初旬に決まり、今日は継続審議となっているNPO法の改正がどのような状況になっているのかを報告できると思っていた。しかし実際は、今日現在では何も明らかになっていないのが現状である。

 NPO法改正の内容については、NPO議員連盟の資料「NPO法の一部改正に関する要項」をご覧いただきたい。この内容は各党がすでに了承しており、内閣委員会の状況さえ整えば、審議なしで国会を通過することとも可能だが、まだどうなるかは予断を許さない。

■ 認定NPO法人制度について

 さて、認定NPO法人制度は、昨年2001年10月にスタートした。一定の要件を満たして国税庁が認定した「認定NPO法人」に対して、寄附をした個人または法人が所得控除(法人の場合は損金算入)できるしくみである。

 これは、寄附者がより寄附をしやすい環境を整えるためにつくられた制度である。しかし現在のところ、2002年9月末までに認証を受けた法人が約8300法人であるのに対し、今までにわずか9法人しか認定されていない。申請は18法人で、そのうち申請したものの後に取り下げたのが5法人となっている。

 制度がスタートする前から、NPO側はこの制度では3%くらいしか認定されないと予測していたが、現実は約0.1%とさらに厳しいものになっている。

 認定NPO法人になるには、次の9つの要件を整えなくてはならない。

  1. 日本版パブリックサポートテスト(以下、日本版PSTと略す)
  2. 広域性の要件
  3. 共益団体の排除
  4. 運営組織・経理の適正性
  5. 事業活動の適正性
  6. 情報公開
  7. 不正な行為の禁止
  8. 設立後の経過期間
  9. 所轄庁の証明

 これらの要件を2事業年度、しかも各事業年度ごとにクリアしなければならない。このうち、一番厳しいのは日本版PSTをパスすることであることが、今回の調査で明らかになった。

 認定NPO法人制度の改善を各方面に呼びかけている際によく指摘されるのは、「申請しないから認定されないのではないのか」といったものだ。

 ところが、今年の国会において大臣の一人が、「日本版PSTは半分くらいの団体がクリアできるのではないか」とも発言しており、このことは政府の見解と実態がかけ離れていることを示していると思う。

 そこで今回の調査は、NPO法人の実態を明らかにし、本当の問題はなんであるのかを明確にするために実施したものである。さらに、連絡会が提示している改正を加えた結果、どうなるのかについても、さまざまなシミュレーションを実施した。

■ 調査報告

 次に、轟木洋子(シーズ・プログラムディレクター)が調査結果の報告を行い、NPO法人の実態と現行のNPO支援税制の問題点を整理した。

 また、NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会の「認定NPO法人制度の改善に関する要望書」に掲げられている改正点について、その項目ごとにシミュレーションを行った結果を発表した。

 調査期間は6月から8月、2001年3月末までに認証された3800法人を対象にした。解散法人7法人、認定NPO法人6法人、住所不明など196法人を差し引いた3591法人に対して746法人からの回答があった(回答率20.8%)

 以下は、調査結果のポイント。

  1. 現行NPO支援税制の問題点
    • 前事業年度、現行の日本版PSTをパスできたのは、3.4%(24法人)だけ。2事業年度とも全ての要件をパスでき、認定申請の意志があるのは0.4%(3法人)だけ
    • 前事業年度、「地域性」の要件をパスできない法人は、33.3%(151法人)も
    • 前事業年度、「共益性」の要件をパスできない法人は、21.0%(148法人)も
    • 9割以上の法人が「組織運営」の要件はパスできる
    • 「保健・医療・福祉」分野は、とりわけ認定が受けにくい
    • 7割以上の法人が、支援税制が改正されれば認定申請を検討すると答えている
    • 改正の要望は「日本版PST」「煩雑な申請書類」「2年毎の申請」の順に多い    
  2. 改正のための試算
    • 日本版PSTの右辺を、1/5や1/10に変えるだけでは、あまり効果はない
    • 日本版PSTの総収入金額から、特定非営利活動の事業費を控除するだけでは、パスできる法人は3.4%から6.5%にしか増えない(3.1%増)
    • 日本版PSTに、3千円未満の寄附を算入できるようにするだけでは、パスできる法人は3.4%から3.6%にしか増えない(0.2%増)
    • 日本版PSTの分子に、社員からの会費を寄附として算入できるようにするだけでは、パスする法人は3.4%から4.1%にしか増えない(0.7増)
    • 日本版PSTの分母と分子に、国・地方自治体からの補助金を算入できるようにするだけでは、パスする法人は3.4%から9.2%にしか増えない(5.8%増)
    • 日本版PSTの分子に算入する寄附金の基準限度額を2%から5%に変えるだけでは、パスする法人は3.4%から6.0%にしか増えない(2.6%増)
    • 公益法人からの助成金の全額を日本版PSTの分子に算入できるようにするだけでは、パスする法人は3.4%から12.4%にしか増えない(9.0%増)
    • NPO側が要望している全事項を改正すると、346法人(49.1%)がパスする
  3. NPO法人の実態について

    (略)

■ 連絡会の要望事項に関するシミュレーションの結果

 再び、松原が実態調査の結果を受け、次のような呼びかけを行った。

 シミュレーションを行って明らかになったことは、提案したすべての改正事項をセットで検討してもらわないと、たとえ改正されたとしても意味がないということだ。つまり、抜本的な見直しが必要だ。

 現段階では、日本版PSTの右辺の3分の1を、5分の1に変えてはどうかといった議論に集約されそうな雰囲気もある。しかし、このテストの問題は、右辺の値ではなく、左辺の要件にあるということを、ぜひご理解いただきたい。

 連絡会としては、日本版PSTが米国のPSTを手本に導入したものであるならば、米国の認定要件に日本版のPSTの要件をできるだけ近づけるようにしてほしいと要求している。

 たとえば、米国版PSTには、仮認定制度がある。設立当初は、総収入金額に対する寄附金の総額が3分の1以上にならなくても、このテストをクリアできるというものだ。

 仮認定を受けた5年後に、過去4年間の平均の総収入金額に対する寄附金総額の割合が3分の1を超えていれば、本認定が受けられることになっている。「スタートしたばかりの団体は寄附を始めから受けられる訳はないのだから、まずは寄附集めをがんばってください」という意味もあって、こうした制度になっているようだ。

 さらに、たとえ5年後にPSTをクリアできなくとも、会員に広く薄くサービスをしている、理事の選任が民主的に行われているなどのいくつかの要件を満たしていれば、3分の1要件を10分の1に置き換えて判断されるなどのシステムもある。

 シミュレーションの結果、連絡会の要望内容のすべてを改正した場合、5割がパスできることが分かった。ただし、シミュレーションに含まれていない認定要件、たとえば、認定後の義務である海外送金の事前届出や、一定金額以上の寄附者名簿の税務署での閲覧など、他の要件がそのままだと、実際に申請する法人はこのほぼ半分になるだろう。

■ 今後の運動展開について

 その後、今後の運動展開に関して、シーズの松原から説明があった。

 現在、NPONGOに関する税・法人制度改革連絡会では、二つの大きな運動展開をしている。

 一つは、「認定NPO法人制度改正のための全国キャンペーン」である。今日のイベントを皮切りに全国16ヵ所でのイベントを予定している。いくつかのイベントには、地元選出議員の方々の参加も予定されている。東京では11月18日に星陵会館で決起集会を予定しているので、皆さんにもぜひ参加いただきたい。

 今後、改正の検討にあたっては、細かい個々の要件について、さまざまな議論がなされることが予想される。検討の結果、変わらないこともあるだろう。

 「変な法人が税制を悪用したらどうするか」ということを心配する人もいるようだが、これに関してシーズは、プライバシーの問題はクリアにした上で、団体のお金がどういうところに使われたのかといった情報公開をきっちりとしていくことを提案していきたいと考えている。

 続いて、署名運動について、日本NPOセンターの李さんから報告がなされた。

 現在、日本NPOセンターが集約元となって、全国のNPO法人に向けて署名運動を展開中である。

 2002年6月末までに認証された法人を対象に、1法人につき1名の代表者からの、連絡会の要望書に対する賛同署名を募っている。こちらへのご協力もよろしくお願いしたい。

 最後に、松原が、会場に以下のように協力を呼びかけて、報告は終了した。

 とにかく認定NPO法人制度を、NPO法人が使えるしくみに改正していきたい。署名運動、集会に来ていただくことが重要になってくるので、重ねてご協力をお願いしたい。

■ 質疑応答

Q 署名運動はNPO法人にのみ呼びかけをしているようだが、NPO法人でもなくても、こうした運動に参加する方法はないのか。

 NPO法人のうち、どのくらいの法人が、これらの改正を求めているということを伝えるのが、今回の署名運動のねらいであることをご理解いただきたい。NPO法人以外の方には、たとえば、こうした集会に参加して、議員さんに対してどんどん意見をいうなどしていただきたいと考えている。

Q みなし寄附金制度の導入は、今回の改正に含まれていないのか。また、認定を受けないと、みなし寄附金は認められないのか。

 連絡会としても、みなし寄附金制度の導入について要望は出している。

 今、お伝えできることは、みなし寄附金は、認定NPO法人に適用されることになる。ところが、現行の認定NPO法人制度では、事業型のNPO法人は日本版PSTをパスすることが難しい、クリアできない。

 そこで、連絡会の戦略は、まず第一に日本版PSTのしくみを緩和し、事業型のNPO法人がパスできるようにした上で、みなし寄附金制度の導入をというものになっている。

文責:治田友香

2002.11.13

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