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2006年の報告

2007年08月29日 16:11

自民党NPO特別委員会報告

 2006年12月14日(木)の午後1時30分から、自由民主党が「非営利組織(NPO)に関する特別委員会」(政務調査会に設置、以下「NPO特委」)を開催した。当日は、内閣府からの報告ののち、シーズ(松原明事務局長)から委員会への要望事項を伝えた。また、参加したNPO10団体(以下参照)からは、現場の状況に則した制度およびその運用面の改善について訴え、出席議員との間で積極的な意見交換を行った。

■9名の議員が出席・NPOの活躍に期待

 開会にあたり、委員長の鴨下一郎衆議院議員から「昨年、認定NPO法人に関する要件緩和を行ったが、利用状況などをみると、まだまだ使い勝手のよいものとはなっていない。また、いわゆる寄付文化が根付いていない状況もある。NPO特委では、これらの状況を両面から改善していき、NPO社会的ステータスを上げるために努力する」との挨拶があった。

 顧問の加藤紘一衆議院議員からは、認定NPO法人の数が少ないとの指摘のほか、「地域コミュニティ再生にはNPOの活躍が不可欠である。今後の環境整備に積極的に取り組みたい」との挨拶があった。

 当日の進行は、NPO特委事務局長の西村康捻衆議院議員により行われたほか、今井宏衆議院議員、清水清一朗衆議院議員、阿部俊子衆議院議員、伊藤信太郎衆議院議員、赤池誠章衆議院議員、上川陽子衆議院議員(以上、発言順)からは、自身のNPOとの関わりについての紹介とあわせ、今後の制度改善にそれぞれの立場から取り組む旨の発言があった。

■認定NPO法人数は49団体

 当日は、内閣府の廣川市民活動促進課長から、今年9月に取りまとめられた国民生活審議会総合企画部会の中間報告「特定非営利活動法人制度の見直しに向けて」について説明した。公益法人改革のなかで引き続き存置されることとなったNPO法人制度の課題(信頼性の確保、非営利法人制度全体のなかでのNPO法人制度のあり方)、今後の法規定および運用の見直しや環境整備の重要性などのポイントとともに、同報告に対するパブリックコメントは38件の意見が寄せられたとの説明があった。また、認定NPO法人数が49団体(昨年同時期に比べて10団体の増加)であるが、全国14カ所で研修会を開催するなど、認定法人数の増加に努力しているとのコメントもあった。

■11団体から活発な意見

 「NPO特委」には以下11団体が出席した。

  • NPO事業サポートセンター
  • 芸術家のくすり箱
  • 国際協力NGOセンター
  • ジャパンプラットフォーム
  • 世界の子どもにワクチンを 日本委員会
  • 難民支援協会
  • 難民を助ける会
  • 日本NPOセンター
  • 日本国際ボランティアセンター
  • ヨットエイドジャパン
  • シーズ=市民活動を支える制度をつくる会

 まず、「シーズ」事務局長の松原明が、NPO法人制度の現状やNPO特委への要望事項について、以下の通り説明した。

  • NPOは、比較的都市部での活動が目立っていたが、最近になって地方でもその活動の意義が理解され、活動事例が増えている。しかし都市部同様、人材や資金面での課題は多い。

  • NPO法の改正に関しては、制定時と同様、引き続き議員立法による改正手続を行っていただきたい。

  • NPO法人制度の定着に伴い、NPOの課題はその「設立」に関するものから「運用」の問題へと移行しつつある。例えば過度な行政指導が行われるなど、所轄庁によってはNPO法制定時の立法趣旨(行政の恣意的判断の排除など)と異なる厳しい運用が行われているとの指摘が増えた。このような点は、適切な運用が行われるよう国会等で明示していただきたい。

  • 認定NPO法人制度に関しては、PST(パブリック・サポート・テスト)の分子への一定額までの補助金・会費の算入、あるいは小規模法人の特例などの認定要件の緩和が行われたが、一方で「制度が複雑になった」との印象が持たれ、認定申請は進んでいない。実態に即した認定要件の緩和、申請書類の簡素化をさらに求めたい。

  • 物品の寄付に関連し、NPOが寄付された物品を現金化する際に「物品販売業」(収益事業)だとして課税された事例があった。また、企業が棚卸製品を寄付しようとする場合に損金算入限度枠が適用され、むしろ廃棄処分が全額を損金算入できるようになっているなど、寄付を行いにくい状況が指摘されている。引き続き寄付しやすい税制の実現を求めたい。

  • NPO法人も、障害者自立支援法の認定事業者になる事例や地域活性化に関連して地方自治体との契約した協働事業などが増えてきているものの、小規模な団体が多く、資金繰りなどで苦労しているケースが多い。この点、中小企業に対する施策のうち、NPO法人にも適用できる制度枠の拡充をお願いしたい。

 また、出席した各団体からは、それぞれの具体的な活動状況に沿って起こった具体的な問題点の説明や要望が寄せられた。その要旨は以下の通り。

【NPO法人制度の運用の問題】

  • NPOの法人化申請は、書面を通じた申請により所定の要件が満たされていれば認証が行われるべきものであるが、所轄庁によっては、それを踏み越えた判断を行い、認証を認めないケースが出てきている。市民活動の広がりを阻害しないという趣旨を明確にしてほしい。

  • 所轄庁の担当窓口の異動によって、手続きは引き継がれても、NPO法の理念が引き継がれない場合が多い。これが厳しい運用を生んでいるのではないか。例えば、事業報告書の提出に際し、「様式を所轄庁のものに合わせてほしい」との要求がくることがある。

【認定NPO法人の要件、運用】

  • 認定NPO法人になるための要件が一部緩和されたものの、相変わらずそのハードルは高いと感じる部分がある。企業をはじめとする民間からの寄付のインセンティブが働くよう、この分野の税制改正に是非取り組んでほしい。

  • 認定NPO法人は、正会員の名簿を税務署で閲覧することが可能となっており、人権擁護を行っている団体などでは、個人情報を保護することとの兼ね合いで問題が生じているケースがある。改善を求めたい。

  • 比較的規模が大きくなったNPOであっても、いざ認定NPO法人の申請を行おうとすると、例えば親族についての要件を示す書類の提出など、重箱の隅をつついたような細かい指摘があって、次々とクリアすべき問題が生じてしまう。このような手続き面の改善を図ってほしい。

  • 認定NPO法人の更新を行う際、最初に申請したのと同じぐらいの手間がかかってしまう。これを2年に1度行うのは相当事務負担の増大を生む。また、申請要件が緩和されたものの申請書類の様式に変更があり、かえって事務負担が増えてしまう事例もあった。

【その他寄付に関する問題点】

  • 物品の寄付に関し、寄付者側が思いがけず課税されるケースが出ている。また、課税するかどうかの判断が、税務署によって異なる場合がある。改善を求めたい。

  • PST(パブリック・サポート・テスト)の要件に関し、例えば「ダイヤルQ2」による寄付の募集が「事業収入」であると判断され、また、提供された未使用切手を繰り返し換金することが「物品販売」にあたと指摘され、高額な追加納税を行う必要が生まれてしまう。税制面では、このような個別の点に関しても改善を図っていただきたい。

  • 活動のほとんどがボランティアで支えられている団体の場合、認定NPO法人の事務手続きは非常に手間がかかり、本来行いたい活動あるいは自身の本業を阻害するほどの時間を取られてしまう。ボランティア活動の常識、実態を踏まえた制度運営に努力していただきたい。

 これらの発言を踏まえ、出席した委員と団体の間では、

  • 概ね3カ月を目途に行われている海外緊急援助にかかる政府資金の支出の問題点と民間寄付の重要性

  • 寄付文化一般の問題はあるが、税制の改善は特に企業の寄付インセンティブを高めているということ

  • 企業の業績で寄付額が大きく変動してしまう寄付税制の問題

  • 内閣府のポータルサイトの位置づけや情報量の不足に関する指摘

  • 税に関する個別の問題については、極めて細かい問題に立ち入って改善する必要がある。個別議員の積極的関与、体力と時間が必要

  • NPOバンクの活動継続に関する要望

など、積極的な質疑応答や意見交換が行われた。また、個別具体的な税制運用上の問題点などについては、早急に担当部署に問い合わせることが確認された。

文責:田中康文(シーズ)

2006.12.26

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