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NPOの信頼性に関する意見

2007年08月23日 17:41

12人の意見(11)松島なをみさん(NPO法人なぎさ虹の会理事)

<この特集について>

NPOという文字が新聞に出ない日はないくらい、NPOは私たちの生活に身近な存在となってきました。ユニークな活動をしているNPOが、地域にどんどん増えています。

平成17年の内閣府大臣官房政府広報室の「NPO(民間非営利組織)に関する世論調査」でも、NPOという言葉を「知っている(意味もわかる)」あるいは「意味は分からないが見たり聞いたりしたことがある」という人は、85.2%にものぼります。

しかし、同じ調査で、NPOを「信頼できる」と答えた人はたった6.5%。「おおむね信頼できる」の24%を加えても30.5%に留まります。

確かに、新聞やニュースをよく見ていると、NPOのすばらしい活動が紹介されている記事も多い反面、なかにはNPOによる不祥事、時には詐欺事件なども目にします。もちろん、これらはほんの一部のNPOの事例ではありますが、社会のために役立つはずのNPOが、社会を困らせる存在になっているという事実が、全体のNPOのイメージをダウンさせている結果となっています。

シーズ=市民活動を支える制度をつくる会では、NPOの信頼性を高め、情報を流通させ、そのうえで寄付や会員などの形で支援が得られるようにするにはどうしたらよいか、この2年あまりをかけて研究してきています。

その一環として、12人のNPOに詳しい方々に、NPOの信頼性を確保するために何が必要か、というテーマで寄稿をお願いしました。寄稿してくださったのは、NPO関係者、NPOに助成をする立場の方々、企業関係者などさまざまです。この12人の方々のご意見を、このコーナーでは順次ご紹介していきます。

お読みいただき、皆さんもいっしょに考えていただければ幸いです。

(この特集は(独)福祉医療機構(高齢者・障害者福祉基金)より助成を受けて発行した報告書「NPOの信頼性を確保し寄付を集まるためには何が必要か」より転載しています)


第十一回 松島なをみさん (NPO法人なぎさ虹の会理事)

NPOの信頼性確保に重要な3つのポイント

松島なをみ NPO法人なぎさ虹の会理事

私達のNPO法人なぎさ虹の会は、江戸川区の南のはずれ南葛西地区なぎさニュータウンという団地の中で活動しております。このなぎさニュータウンは建設されてから、29年。当時としては斬新な高層アパートで、14階建の7棟で構成されています。目の前に東京湾とディズニーランドも眺望できるいわゆるベイエリアですが、29年も経ちますと急速に劣化が進んでおります。しかしこの団地でこれから40年先まで住み続けよう、終の棲家としようと、管理組合が懸命にリニューアルを続けているところです。コミュニケーションが皆無といわれる東京では珍しい長屋でのお付き合いが続き、1324所帯を自治会と管理組合が両輪となってひとつの村を作り続けた結果、住み心地のよい我が団地は転居する人がほとんどなく、若い世代との新陳代謝が進まず、少子高齢社会の典型的な町になっております。

●任意団体からNPO法人へ

今から8年前、なぎさニュータウン自治会は設立20周年記念行事として、急速に高齢化する団地の将来を見据え、自治会員同士の助け合い組織「なぎさ助け合いの会」を発足させました。しかし、勇んで作ったものの団地内の助け合い要望は多くありませんでした。それは、顔見知りの方が家の中に入ることをプライバシイが侵されると敬遠されるということです。

●地域との信頼関係をどの様に築いてきたか

ご近所の助け合いの壁に突き当たり、それでは家の外に出て気楽におしゃべりができるサロンを作ろうと、喫茶室や食事会がスタート。参加者は徐々に増加し、会に活気が生まれました。助け合い活動も、病院付き添いや家事支援などの要望が増え、利用者からの感謝の声が聞こえてくると共に、暖かい助け合い活動が浸透し信頼関係が深まってきました。6年間で会員数は200名から400名へ助け合い実績も倍増し、任意団体では対応しきれず、NPO法人化を視野に入れたNPO法人設立準備委員会を発足させました。

●福祉車両獲得への道

平成16年3月、国土交通省より福祉有償運送に係るガイドラインが示されました。私たちは、その基準にのっとった外出支援を行うためには、まずNPO法人格を取ること、次に、会の福祉車両を入手することが課題となりました。

法人化への調査研究を行うとともに、会員の要望を取り入れ2004年十二月「特定非営利活動法人なぎさ虹の会」へと移行しました。福祉車両を入手するに当たっては、種々の寄付財団へ助成申請を行いましたが叶えられませんでした。助成申請と平行して、1年前から福祉車両募金を開始しておりましたが、希望する額には到底届きません。それならば自分たちの手で車両を入手しようと綿密な計画を立案しました。

計画の第一はまず募金の目標額(200万円)を定めました。第二は、募金活動を展開する日時、場所を大勢の人が会する自治会納涼祭に設定。第三には、如何に宣伝するか。これが最も難しいことでしたが、ここで29年培ってきた地域のつながりが大きな力となりました。

まず、納涼祭主催者であるなぎさ自治会へ申し出をし、快く受け入れられました。宣伝のパンフレット作成には私たちの気持ちがどうしたら理解してもらえるかと議論と遂行を重ね多くの時間を割きました。レイアウト等は、パソコン技術のエキスパートに依頼し、数千枚ものパンフを作成しました。この手の配布物は通常、郵便受けからゴミ箱へ一直線で捨てられてしまい効果は望めないものです。そこで、配布は、役員から運営会員、そして住民へ説明をしながら手渡しローラー作戦を展開しました。

次に、会場で目を引くための看板は、気の置けない地元の建設業者が、2畳もの巨大な物を作成し設置してくださいました。準備を整えて迎えた納涼祭当日の朝。机に大きな募金箱を前に不安な顔の係の表情も、一人二人と募金の方が見え始めると次第に明るくなりました。大きな瓶にいっぱいの硬貨をつめこんで来てくれた方。綿あめを片手にお小遣いを入れてくれた子供たち。私の老後を宜しくと、何万もの募金をしてくれた方。など2日間に亘り目標額を上まわる募金額に役員一同感謝し、これからの責任をひしひしと感じました。この成果は、パンフレットの内容がよく理解されたこと、そして、顔を合わせての手渡し作戦が大きな効果をもたらしたものだと思われます。

実は、この募金活動の成功の前には、苦い経験があります。軽い思い付きから始めたことですが、果物販売と抱き合わせて募金をお願いし、幾ばくかの募金を得ることができました。しかし、会の内外から批判の声が大きく聞こえてきました。これはNPOとしての使命から遠く外れた行為であったと深く反省しております。この教訓を生かして、十分な議論と準備を怠りなく進め、その成果が大きな力となって、念願の福祉車両を入手することができました。

今回の福祉車両募金でのレポートに述べましたとおり、「NPOの信頼性確保」の第1は、地域とのつながりがいかに重要なことであるかであります。

第二にはその信頼性を継続させることです。情報が氾濫している今日、コミニケーションの手段は、電話、ファックス、広告、メール、インターネット等の手段があります。これらの方法は手軽で迅速。でも、心に訴えるにはフェイスtoフェイス、会ってお話しすることです。信頼の絆とは、ただ単に信じると言う単純な事ではなく、信じて頼られるNPOを目指すこと。それは、心と心が触れ合える距離、顔を合せ、手を握り合いながら話し合い、耳を頃けること、これが、私達の助け合いの会から引継いだ精神です。「御近所の助け合い」の伝統を踏まえ、信頼を醸成させることが何よりも大切です。信頼を得るには、長い時間がかかるものです。信頼を失うのにはほんの一瞬です。私たちは、長年培った信頼関係を一番の武器に、営利企業に伍して活躍の場を広げていかなければなりません。

第三には会の担い手の心にあります。市民が独自性を持ち法人として活動できるよう制定されたNPO法により、全国で2万5千ものNPO法人が生まれました。ミッションを誠実に履行している法人が多くを占める中、営利企業や暴力団の隠れ蓑になり、NPOという言葉を信用した善良な市民を悲しませる行為が多々見受けられます。会の指導者は、人間の尊厳を決して冒さないそして、人間のぬくもりを何よりも優先する人であること。それが、活動者から利用者へ偽りの無い信頼に繋がることと信じています。これからも、既に歩んできた道ですが、それを踏み外すことなく地域とのつながりを大切に一歩ずつ進めてまいります。「助け合い」の精神を会の柱に、揺るぎない心で利用者の篤い信頼を得られるNPOとして、活動を続けてまいります。

2006.06.22


●執筆者プロフィール:

松島なをみ氏

福岡女子大家庭理学科卒業。三菱重工株式会社に勤務後、ヤマハ音楽教室講師。活動履歴としては、小中学校PTA委員会委員長、東京マイコープ運営委員、なぎさニュータウン自治会役員、NPO法人なぎさ虹の会理事など。


●所属団体の紹介:

NPO法人なぎさ虹の会

1999年7月なぎさ自治会会員による、有償の相互助け合い組織として会員212名で「なぎさ助け合いの会」スタート。その後6年間助け合い活動と生きがい活動の同時進行で大きく成長。会の内外からNPO法人化への声が高まり、法人化勉強会、説明会を重ね、2004年6月第6期定期総会で会のNPO法人化を決定した。同年7月運営会員50名が結集し「NPO法人なぎさ虹の会」設立総会を開催。12月登記完了、翌2005年2月設立祝賀会を開き、任意団体からNPO法人へ生まれ変わった。10月、江戸川区から高齢者等福祉拠点として施設を貸与され、介護予防ミニデイサービス、介護保険訪問介護、子育て支援夕方寺子屋などが新たに動き始めている。

◆事業紹介:

  1. 助け合い支援事業(家事支援・外出支援・子育て支援・技術支援など)
  2. 介護予防事業(喫茶室・食事会・ミニデイサービス・気功教室など)
  3. 介護保険事業(訪問介護・居宅介護支援)
  4. 販売事業
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