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NPOの信頼性に関する意見

2007年08月23日 17:37

12人の意見(7)根本悦子さん(NPO法人ブリッジ エーシア ジャパン代表)

<この特集について>

NPOという文字が新聞に出ない日はないくらい、NPOは私たちの生活に身近な存在となってきました。ユニークな活動をしているNPOが、地域にどんどん増えています。

平成17年の内閣府大臣官房政府広報室の「NPO(民間非営利組織)に関する世論調査」でも、NPOという言葉を「知っている(意味もわかる)」あるいは「意味は分からないが見たり聞いたりしたことがある」という人は、85.2%にものぼります。

しかし、同じ調査で、NPOを「信頼できる」と答えた人はたった6.5%。「おおむね信頼できる」の24%を加えても30.5%に留まります。

確かに、新聞やニュースをよく見ていると、NPOのすばらしい活動が紹介されている記事も多い反面、なかにはNPOによる不祥事、時には詐欺事件なども目にします。もちろん、これらはほんの一部のNPOの事例ではありますが、社会のために役立つはずのNPOが、社会を困らせる存在になっているという事実が、全体のNPOのイメージをダウンさせている結果となっています。

シーズ=市民活動を支える制度をつくる会では、NPOの信頼性を高め、情報を流通させ、そのうえで寄付や会員などの形で支援が得られるようにするにはどうしたらよいか、この2年あまりをかけて研究してきています。

その一環として、12人のNPOに詳しい方々に、NPOの信頼性を確保するために何が必要か、というテーマで寄稿をお願いしました。寄稿してくださったのは、NPO関係者、NPOに助成をする立場の方々、企業関係者などさまざまです。この12人の方々のご意見を、このコーナーでは順次ご紹介していきます。

お読みいただき、皆さんもいっしょに考えていただければ幸いです。

(この特集は(独)福祉医療機構(高齢者・障害者福祉基金)より助成を受けて発行した報告書「NPOの信頼性を確保し寄付を集まるためには何が必要か」より転載しています)


第七回 根本悦子さん (NPO法人ブリッジ エーシア ジャパン代表)

企業との信頼関係をどう築くのか 3つのポイント

根本悦子 NPO法人ブリッジ エーシア ジャパン代表

●NPOとは、どのような存在か?

さまざまな分野を包含した市民活動団体であるNPOとは、社会にとっていったいどのような存在なのでしょうか? 多くの団体は、社会の課題の解決に向けてヴィジョンを掲げ、賛同する人たちと共に、ヴィジョンを実現するための具体的なプログラムを考え、実行に移し、その結果を賛同者に伝え、さらに新たな賛同者の開拓に努力をしています。これを一言で表すと「市民の信託を受けた組織」として、成果を担保にして課題の解決あるいは変革を訴える存在と言えます。

では、企業は社会貢献活動をどのように捉えているのでしょうか?

企業もまた、社会のなかで単独に存在するものではなく、社会とのかかわりのなかで事業を進めており、絶えず社会からの圧力を受けるなかで、社会の課題に気づき、自発的あるいは多発的にその課題に取組み、直接の対価を求めずに自らの資源を投入することで、社会的責任(CSR)を果たそうとしています。

NPOと企業のパートナーシップの必要性が叫ばれていますが、企業にとっての根拠は、冒頭で述べたようにNPOは企業に先駆け、課題のありかをつきとめ、課題に対処するための現場でのノウハウ、専門知識、必要な資材をすでに備えており、こうしたNPOとパートナーシップを組むことで、企業自身もまた社会の課題解決に参加できるということなのです。

●どんなNPOを支援するのか?

では、企業はどのような理由である特定のNPOを支援するのでしょうか。経団連「2002年度社会貢献活動実績調査結果」の「NPO/NGOを支援する際に重視する点」によれば、一番必要とされたのは「運営の透明性」、次に「自社の基本方針・分野との一致」、そして「プログラム企画・提案力」であり、「活動実績」は4番目になっています。

これは、具体的にどういうことでしょうか。ひとつのポイントは、「当団体はこのような活動をしていますので、ぜひ寄付をお願いします」といった『当たり前の“お願い”では、寄付を得ることはできない』ということです。

「透明性」については当然のことで、各団体は事業報告・収支決算報告について、ホームページや通信物などで、逐次明らかに報告しなければならないし、また疑問や質問などについても誠実に対応して説明責任を果たしていかなければなりません。

問題は「自社の基本方針・分野との一致」と「プログラム企画・提案力」です。これは、NPO側にもマーケティング力が要求されているのです。つまり、自分の団体のミッションあるいはプログラムに照らし合わせ、企業を分析して、どの企業とどのようなコラボレーションが可能なのか検討し、企画書を作成して、これと思う企業に提案していかなければならないということです。

●どんなことが必要か?

もっと具体的に言うと、「この問題について、企業(あなた)とNPO(私)が組めば、このような解決の方法があるので、ぜひ協力してください」という企画を提案することです。つまりこの企画力こそが、企業側の信頼を得る大きなポイントになるということです。

ここで次に求められるポイントが、『企業と同じ言語で話せるか』ということと、『相手を知ること』です。少なくとも企業社会のなかで頻繁に使われる経済用語などは、不自由なく駆使していかないと、企業と取り組む土俵にすら上らせてもらえません。

企業との連携の方法ですが、例えば企業にとって事業領域の改善につながる活動であったり、企業の持っている技術や専門性を活かした活動などが考えられます。あるいはもっと大きな視点で、企業が推し進めたグローバリゼーションの負のインパクトを少しでも解消するような、すべての人の自由と可能性を実現するための活動や、多様性を包含した社会づくりのための活動など、ほかにもさまざまな活動が考えられますが、相手の企業についてよく知っていないと提案はできません。

このような戦略的な社会貢献活動の提案をするには、NPOも時間と人材を投入しなければ良い結果は得られません。しかし良い企画を提案することができれば、企業からの共感を得ることでパートナーとして大きな信頼関係を築くことができるのではないでしょうか。そのことは、企業にとってもNPOにとっても、また課題の解決にとっても大きな成果となり、なによりも私たちの社会をより豊かなものとするに違いありません。

2006.06.05


●執筆者プロフィール:

根本 悦子氏

1968年より、ローマクラブ東京事務所であった「科学技術と経済の会」スタッフで、月刊誌『技術と経済』の企画編集。1991年にアルスコーポレーションを設立し、企画・編集・執筆活動を行う。1993年に、ベトナムへの支援活動を行う任意団体「インドシナ市民協力センター」を経て、1995年に現在のNPO法人「ブリッジ エーシア ジャパン」を設立。いずれも代表をつとめる。


●所属団体の紹介:

NPO法人ブリッジ エーシア ジャパン

1993年設立。民間非営利の国際協力団体。設立当時はベトナムのホーチミン市の障害児への支援を中心に、戦後復興を進めるベトナムへの支援を行う。94年、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの協力要請を受け、ミャンマー北西部のラカイン州での「帰還難民の定住促進活動」を95年から開始。99年からは、同国中央部乾燥地域での井戸掘削を開始し、翌年から集落への水供給事業を本格的に始める。2001年には、ラカイン州の州都シトウェで、技術訓練学校を開校。地元青年を対象に本格的な技術訓練を開始。2002年には、ベトナムのホーチミン市のスラム地域での活動も本格化させるとともに、2003年からはスリランカ北部の復興支援活動も始めた。

活動においては、難民や障害者、子どもや女性など困難を抱えている人を対象に、技術習得の機会を設け、収入向上につながるマイクロ・クレジットの実施や、レンタルショップや店舗、ワークショップなどを開設して自立支援をしている。

また、学校や公民館の建設、橋梁建設や井戸掘削では、地域の住民を対象に、オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)で、大工や左官、溶接や鉄筋加工の技術を住民に移転しながら進めている。外出が制限されている地域の女性たちには、裁縫やお菓子作りの技術を、また障害者にはマッサージの技術や料理の技術を習得してもらい、収入向上につなげる支援を実施。せっかく技術を身につけても、それを発揮する場が無くては収入につながらないため、裁縫技術コース卒業生には店舗を借りて顧客を見つける場を確保したり、計算の能力や接客の技術など必要な訓練を行っている。2005年からは、社会開発活動として「なぜ女性に教育や技術訓練が必要か」をテーマに、モスリムの男性を対象に各村でワークショップを開催し、男性の意識改善と女性の生活改善につなげている。

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