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NPOのファンドレイジング

2007年10月26日 11:15

ぶどうのいえ

認定NPO法人制度の利用によって組織の信頼を高め寄付金収入の拡大をはかることができました

~「ぶどうのいえ」 堀内昭理事長~

■『ぶどうのいえ』の成り立ち

 現在の施設は、もともと日本聖公会の聖テモテ教会が母体の女子学生寮でした。地方から大学進学のため上京してくる女子学生を支援するためのものだったのですが、個室で育った世代が大学生になり、90年代半ばぐらいから4人部屋に入る方がいなくなってきました。施設も老朽化してきたところで、「何か別の目的に使おう」という議論になりました。

 いろいろと模索していたとき、初代の理事長である大畑喜道さんが、難病の子どもたちを支援するアメリカのマクドナルドハウスを見学し、日本でも同様の施設を作ることを提案されました。

 それまで、難病の子どものお子さんが東京の病院に来ることになったときに、ご家族の方は病院のベッドの下やイスで眠ったりしなければならい状況でした。親戚もおらず、ホテルに宿泊するのも経済的な理由から叶わない、そういうご家族を支援するための、安価な滞在型の施設が必要だと考え、「ぶどうのいえ」が創られたわけです。

 すでに小児がんのお子さんの家族のための施設もありましたので、『ぶどうのいえ』はがんだけに限らず、難病の子どもすべてを受け入れることとしました。

 設立に向けた募金を始めた当初は、オウム真理教事件の影響で、一般の宗教に対する警戒心が非常に高い時期でした。当時は、多くの会合で「母体になる日本聖公会というのは、イギリス国教の流れを組むもので、ご心配いただく必要はありません」とお話をさせて頂いたものです。また、教会とは切り離した形で、別途の募金を作りました。認定NPO法人となる際には、組織での活動が宗教活動にあたるような誤解を受けてはならないと考え、教会と分かれる形をとりました。

 もちろん、施設に寄付金が集まったのは、やはり教会の方々のお力が大きい。ご夫婦で海外旅行へ行こうと楽しみにしていたお金をここへ寄付されたとか、お年を召された方がキャッシュを風呂敷に包んで持ってこられたとかのお話を伺うにつれ、感謝せずにはいられません。

■認定NPO法人制度を利用して寄付金額が増加

 このような経緯でスタートしましたが、『ぶどうのいえ』が設立された当初は、右肩上がりで寄付が集まりました。難病の子どもを支援する施設が日本にほとんどなかったからです。世間の注目が集まり、新聞などで報道されるたびに寄付をいただきました。

 私たちは完全に自主財源で運営しています。年間予算は約1700万円で、そのうち滞在された方からのいただく金額が約500万円ですから、残り約1200万円がご寄付によって成り立っています。

 ただ、同じような施設がいまでは全国77施設になり、現在も増えています。厚生省が全国の国立病院の中にこういった施設をつくるのをサポートするようになったこともあります。このような流れもあってか、徐々に寄付が減っていることが明らかになり、このまま安定した運営を行えるのか、少し不安な状況になってきました。このための一つの対応策として、認定NPO法人制度を取得しようということになりました。これは、税法上のメリットを得ることはもちろんですが、認定NPO法人になることを通してより社会に認められたいと考えたからです。

 認定NPO法人になる前後は赤字を想定した予算を組んだのですが、認定がとれると寄付金などが増加して、黒字で運営ができました。国税局の方からも、「認定をとったNPOは、約30%程度収益が増えていますよ」と助言を頂いていたのですが、まさに認定取得後は30%寄付が増えました。他の団体も、どんどん認定を取得していただきたいと思っています。

■会員組織のありかたを見直し、寄付中心に

 継続的に寄付して頂ける方とのコミュニケーションは、年に4回出している「ぶどうのいえだより」という機関紙が中心です。ボーナス前の12月の初旬には振込み用紙も一緒に入れてお送りし、かなりの方からご寄付をいただいています。また、設立10周年には『ぶどうのいえ 10年の歩み』という記念誌を出して、皆さんにお配りしました。

 認定NPO法人になるまでは、約80名の運営会員を軸にした、約1000名の会員組織がベースとなって運営されていましたが、認定NPO法人となる際に、国税局の助言もあって会員制度のあり方を見直し、会費から寄付の割合を大幅に増やしました。

 企業からのご寄付に関しては、日立グループから継続的にご支援を頂いています。法人からのご寄付は、施設の安定した経営を支えていただけるのはもちろん、企業からの寄付があることで団体の信頼性があがります。企業との関係を強化する上でも、認定NPO法人制度は大変役に立っていると思います。

■ホームページもようやく利用をはじめる

 新規の寄付を募るための対策としては、何年か前に施設紹介のビデオをつくりました。現在はそれをDVDにしています。あとは、若い世代に向けてアピールできるように、大学生のボランティアにホームページを作成してもらっています。また、メンバーやご寄付をしていただいた方からのご紹介も非常に有効です。「こんな施設があるよ」とご紹介いただいて、新規の方が増えていく感じですね。

■重要なボランティアの存在

 法人化、そして認定NPO法人になることを契機に、運営を支える側のスタッフの制度も整えました。NPO法人にするのは良い面も多いですが、やはり会計などをしっかりとしていかなければなりませんから、専任のスタッフが必要になります。

 ただ幸い、このようないくつかの重要な業務も、経験者の方などにボランティアをお願いすることで解決できている部分もあります。

 日々の運営に関しては、ボランティアの方々がほとんど行ってくれています。“曜日ボランティア”といって、月曜日は月曜ボランティア、火曜日は火曜ボランティアというように月曜から土曜までボランティアがついています。ほかにも、子どもが遊ぶためのオモチャがあるのですが、月に一回、お掃除のボランティアさんが除菌をしてくださったりしています。募金や寄付キャンペーンなどのときも、みなさんからいろいろとお知恵を拝借しています。最終的には理事会で承認しますが、基本的な会の運営はボランティアの方々がリードしています。

 私自身はこの3月まで大学教授の職にありましたが、今年定年になりましたので、今後はさらに運営に関わっていきたいと考えています。


<堀内昭理事長プロフィール>

 94年から、聖テモテ愛の家(仮称)の設立準備にかかわり、後援回常任理事などを経て、99年からは「ぶどうのいえ」副理事長、2001年には理事長に就任、現在にいたる。立教大学名誉教授、立教女学院理事・評議員、清泉女子大学評議員など。趣味は歩くこと、飲むこと、そして読書。

<取材団体プロフィール>

団体名:

 認定特定非営利活動法人ぶどうのいえ

活動開始:

 1995年11月

法人設立年月日:

 2000年4月(NPO法人)

スタッフ数:

 約50名

事業規模:

 年間約1700万円

ニュースレター:

 年4回

募金活動:

 随時

団体ホームページアドレス:

 http://www6.speednet.ne.jp/~truevine/

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