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NPOのファンドレイジング

2007年10月24日 09:01

フー太郎の森基金

緑化プロジェクトの資金を集めることになったとき、じっと座っていてもだめだと思い、全国をまわることにしました。

~「フー太郎の森基金」 新妻香織理事長~

■『フー太郎の森基金』設立のきっかけ

 『フー太郎の森基金』は、私がかつて5年間アフリカに滞在した時に出会った一羽のふくろうから始まりました。エチオピアの村で、子どもたちからオモチャのようにされて、いじめられていたふくろうがいたので、私が引き取ったのです。そして森に帰してあげようと思ったのですが、どこを探しても乾いた大地ばかりで、森が見つかりませんでした。ふくろうに「フー太郎」と名づけ、森に帰してあげるまで3週間の旅をしました。その間、伐採されて大地にほとんど木がなくなってしまっているアフリカの衝撃的な状況を目の当たりにして、日本に帰ってからも、アフリカのために何かしたいなと思うようになりました。

 そんなとき、ある方からアフリカで木を植えるプロジェクトを始めるので、資金を集めて欲しいという話が来たのです。私は環境問題の知識や経験はまったくなかったのですが、それくらいなら力になれるかなと思い、お手伝いすることにしました。

■資金集めの全国キャンペーン開始

 そのために、99年の4月に全国キャンペーンを始めました。私が住んでいる福島県の相馬市は人口が4万もいない町ですから、ここでお金を集めたところで、いくらにもなりません。当初300万円が必要だと聞いていたので、「そうか、3千人から千円をもらえばいいんだ」と思い立ち、そのためにはじっと座っていてもだめだ、と全国をまわることにしました。

 私はアフリカ横断をした体験記『楽園に帰ろう』という本で第三回蓮如賞というノンフィクションの文学賞をもらっていて、読者が全国にいました。またキャンペーンに合わせ「フー太郎の物語 森におかえり」という絵本も出版できました。読者の方々を中心に誘致をして頂き、高知県から青森県まで毎日講演して歩きました。45日間で41ヶ所まわって、青森市に着くころには、目標を上回る350万円ものお金を手に入れていたんです。

 その後、そのお金を持ってアフリカまで行きました。しかし、プロジェクトを持ちかけてきた本人にいくら連絡をとってもつかまらないんですね。どうやらあまり信憑性のある話ではなかったらしく、アフリカに木を植えようという話は宙に浮いてしまいました。でもせっかくみなさんからの気持ちで集めたお金を、他のNGOにポンと寄付する気には到底なれませんでした。集めた寄付金に責任を果たすべく自分でアフリカに植林をするためのNPOを立ち上げることにしました。

 当時は植林といえば“~緑化機構”などという、お堅い団体名のところばかりだったのですが、あえて『フー太郎の森基金』という、一度聞いたら忘れられないような名前をつけました。木を植えている団体は世界中にいくらでもあるので、差別化しなければと思ったからです。それに、フー太郎のストーリーはロマンティックでもあるので、その名前とふくろうの写真は動物好きな日本人の心に訴えるかな、と思いました。

■会員との関わり方と新規会員獲得ノウハウ

 『フー太郎の森基金』は全国キャンペーンから活動が始まりました。翌年も全国をまわり続けて、今年で9年目になります。これまで176ヶ所歩いているのですが、「こうやって直接報告をしに来てくれる団体はそういない」とみなさんおっしゃってくださって、それがうまく会員とコミュニケーションできる機会になっているのかなと思っています。以前、学校を建てるプロジェクトの際にも、資材の価格が高騰してしまって、急きょ250万円くらいの自己資金を出さなければならなくなったのですが、全国キャンペーンにて、みなさんに寄付をして頂いて乗り切りました。本当に会員のみなさんに助けられながらやっているという感じですね。

 会員の新規開拓のために、毎年講演の開催は、いつも行っている場所と初めて行く場所を半々にしています。新しい開催場所は、NGOの全国ネットワークなどを通じて紹介してもらったりしています。講演の結果、去年だけでも100名くらいの新規会員を獲得しました。

■会員強化による団体活動の広がり

 現在の会員数は327名です。会員の方々には引き続き翌年も会員を続けていただきたいですが、同時に新規会員を増やしていかなければならないですね。会員を増やすために、今年から会費の郵便局の口座振り替えを始めました。今までは郵便振り込みのみでした。振り替えを利用するには100名以上の口座からでないと利用開始できないというけっこう大変なノルマを課せられたのですが、努力の結果、新規会員獲得につながりました。

 また、会費で事務局の運営費を出すという目標を立ててから、みなさんに「いくらまでだったら会費を出せますか」というアンケートをとってみました。今までは会費は3千円均一だったのですが、アンケートの結果、3千円が半数、あと半数が5千円で、他に1万円という人もいましたので、会費金額は選択肢にしました。郵便振替が利用できるようになったおかげで、年会費を月払いにもできるようになり、会員の幅が広がりましたね。

■資金調達のための、さまざまな展開

 一番大きな寄付を集めているのは、記念樹の植林です。これは大学合格や孫の誕生などの記念として、1本2千円でエチオピアに木を植えることができる寄付で、会員にはならなくても、こういう形で支援したいという方はけっこう多いです。

 また、高知在住の方たちがやっている『マイはし運動』というのがあって、みなさんがオリジナルはし袋をつくって販売しているのですが、1つ売れる毎に100円寄付してくれています。最近は認知度も順調にあがってきて、デパートなどからも注文が来るようになっています。

 ほかにも、『フー太郎の森基金』をもっとよく認識してもらうための取り組みとして、地域に根ざした活動と組織づくりにも力を入れています。ボランティアと定期ミーティングを月に2回行い、フリーマーケットに参加したり、市民祭りに出店したり、値札付けをしてもらったり、会報を発行したりしています。それ以外にも、知り合いのところに募金箱を置いて歩いています。今年の4月から企業を退社された方に1人来て頂いて、認定NPO法人の申請手続きをやってもらったりと、資金集めの下地づくりをいろいろ行っています。今後の課題としては、もっと『フー太郎の森基金』を企業に信用してもらう団体にしたいですね。

■企業的なマネジメントの体得を目指して

 現在『フー太郎の森基金』は、アフリカの緑化プロジェクトを中心に、水資源開発プロジェクト、生活改善プロジェクト、日本国内でも環境に関わるキャンペーン事業などを行っています。

 今後は、できればきちんと企業的なマネジメントの仕方やファンドレイジングを学びたいと思っています。ある会社員の方がボランティアで来てくれたとき、タイ経由でアフリカに行くなら、JRで東京を経由して成田空港から飛ぶのではなくて、仙台空港から関西空港に飛んで、関空から出発すると、かなり安くなると教えてくれたんです。やっぱり企業はコストを細かく計算してマネジメントを行っているということがよく分かりました。ディスカウントティケットは当然ですが、さらにその上を行くコスト計算はさすが! これに限らず、今後は企業流の経営を習得していきたいなと思っています。


<新妻香織理事長のプロフィール>

 1960年福島県生まれ。日本女子大学国文学科を卒業後、JTB出版事業局で月刊誌「旅」の編集に携わる。30歳で退社、アフリカ・ケニアに移住。ライターとして活動する傍ら、英系旅行代理店UTCナイロビの日本代表。5年間でアフリカ縦断、横断など28カ国を旅し、95年帰国。98年フー太郎の森基金創設、代表。現在も、年2回(40日間)エチオピアを訪問し、プロジェクトマネージャーとして活動。その他国内においてもさまざまな環境保護活動に携わる。家族は夫と愛犬。

<取材団体プロフィール>

団体名:

 NPOフー太郎の森基金

活動開始:

 1998年

法人設立年月:

 1998年9月(NPO法人)

スタッフ数:

 約13名

事業規模:

 約2千万円

ニュースレター:

 年4回

募金活動:

 随時

団体ホームページ:

 http://www.bb.soma.or.jp/~futaro/

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