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NPOのファンドレイジング

2007年10月25日 08:45

JHP・学校をつくる会

「学校建設」寄付賛同者を拡大すること、そしてリピーターを維持するための努力を続けています

~「JHP・学校をつくる会」 岩本宗孝理事・前事務局長~

■『JHP・学校をつくる会』について

 『JHP・学校をつくる会』は、開発途上国の子どもたちへの教育を支援すること、日本の若者を国際人として育成すること、この2つの理念が大きな柱です。

 カンボジアなどの開発途上国に学校をつくり、あわせて音楽や美術を中心としたソフト面の指導や教師の育成などの支援を行っています。また、その活動に日本の若い人を参加させることで国際協力を知り、あるいは世界の情勢を知ってもらいたいと考えています。

 予算の大半は、学校建設費用です。1年間に約25の校舎を建設していますが、1校あたり500万円程度かかります。年間1億円以上の寄付が学校建設に使われています。

 ひとつ学校を建てれば、被益者が400~500人くらいになると思いますので、25校建てれば年間1万人が学校の恩恵にあずかります。

 現地にはプノンペン事務所があり、日本人が4人、ローカルスタッフが8人で、合計12人です。さらに、東京事務所には有給無給あわせて約10人のスタッフがいますので、全体で20人くらいです。

 学校をつくるための具体的な業務は、ほとんど現地で行っています。

 カンボジアの場合、各地から年間60件くらい、自治体や地方の教育局を経由して、学校をつくって欲しいという要望が届きます。まず本当に必要かどうかを現地のスタッフが調査し、その中から20件くらいを、東京とプノンペンで話し合いながら選定し、マッチングします。

 多くの場合、ドナー(=寄付者)が一人で学校を寄贈したいと希望します。もしドナーがお年を召した方であれば、あまり苦労しないで行ける地域を選ぶのですが、東京とプノンペンで、ドナーさんの意向を聞きながら、相談を進めます。

 寄付で学校が建設されると、まず、希望された名前で校舎に命名できます。また、その学校の支援者として、ドナーのお名前が載ったプレートを設置します。ご自分の名前をつける方もいらっしゃいますし、そこはさまざまです。自分の寄付がきちんと届いていることが感じられるのか、リピーターも多いです。そう、校舎設立のリピーターです(笑)。これまで10校近く寄付された方もいます。2校はけっこう多いですね。

 何名かの寄付を寄せ集めて学校を建てるというのは、あまり多くはないのですが、たとえば国内の小学校や中学校などが数年計画で寄付を集めて、一定額に達したら建設するというケースは年に1~2校あります。

■ドナーへのアフターケア

 まず、学校が完成したら贈呈式を行いますが、それ一度だけでつながりが切れないよう、学校の情報などを適宜お送りするようにしています。そうすると、自分がつくった学校に毎年多少でも文房具などを送る資金をくださる。そのうちに、もう1校つくってみたいというような形になる例もあります。

 情報をしっかりお伝えするのは、リピートを期待するというよりも、アフターケアが目的ですね。必ず子どもたちとの交流の機会をつくってあげるようにしています。現地スタッフが新しい建設候補地などを訪ねるついでに、前につくった学校も訪問して、状況をよく掴んで、寄贈者に知らせています。自分が寄付したものが末永く使われているかは、やはり気になりますよね。

 報告が満足にできているかどうかは、反省点もありますが、少なくともできるだけ報告をしようとはしています。ひとつ自慢できるのは、過去14年間でつくられた180校が、現在もすべてしっかり使われているということです。

■組織変革の時期

 今後とも安定した運営を行うために、企業や団体への働きかけを強化しようとしています。現在のところ、企業からの寄付の割合は2割くらいで、残りの8割は個人からの寄付です。

 JHP代表の小山内美江子は実際に何十年ものあいだ現地に行って支援活動をやっています。また、彼女は『3年B組金八先生』の脚本家でもありましたから、講演を依頼されることも多く、おそらく年に30回以上あります。そして、この講演を聞かれたご縁で個人的に寄付をしてくださる方がたくさんいらっしゃいます。

 このような形での支援とあわせ、別の安定した経営基盤をつくっておかなければいけないと考え、企業とのつながりを強化しようとしています。

 代表の小山内自身、より組織的な活動体制を取る方向が必要だと考えており、いろいろな社会経験のある人材で組織を強化しようとしています。そういう方の社会的人脈と経験を使って、企業に働きかけたり、我々の団体を知ってもらう機会をつくったりしています。

 たとえば、いま、どこの企業にもCSRという部門がありますけれども、「まんべんなく、すべての団体に寄付しましょう」という風にはなりにくいのが実情ですから、個人的なつながりを利用して、団体を知ってもらえるように働きかけます。それは世の中一般の営業はみな同じだと思います。飛び込み営業はなかなか実を結ばないけれども、よく知っている担当者なら話を聞いてくれたりするのと一緒ですね。

■寄付を集めるための努力

 ときどき、「目的寄付」という形の寄付を募集します。学校建設の様子は目に見えるので寄付が集まりやすいのですが、我々が一番お金の出所に苦慮しているのが、支援物資の輸送代です。日本で使わなくなったピアニカや文房具類を輸送するのですが、コンテナをチャーターして送ると、一回5~60万くらいかかります。輸送費は消えてなくなるものですから、その辺を何も言わないでも提供してくれる方はやはり少ない。ですから、輸送のための寄付をくださいというキャンペーンを実施してお願いをすると、小口ではありますが、トータルで100万くらいのお金が集まってきます。

 単純に金銭だけを比較すれば、文房具を日本で集めて送るよりも、その輸送費に相当する分を使ってタイなどで購入したほうが合理的という考え方もあります。ですが、これは日本人の心を向こうに届けるという趣旨もありますので、これからもこの形で継続してやっていくつもりです。

 会員はいま1200人ほどいらっしゃいます。会員以外にも、寄付を送ってくださった方、物資を贈ってくださった方が1500~1600人ほどで、合計2700~2800人に会報誌を送っています。急に必要となった寄付は、その会報誌でも告知します。

 他にも、チャリティーイベントやコンサートも開催しています。バイオリニストの天満敦子さんが毎年コンサートを開いてくださったり、芸能関係の方々が衣装を提供してくださって、それをオークションにかけたりします。それと、規模が小さいものも含めて、春・秋は毎週のように、いろいろな団体の主宰するバザーにも参加します。

■認定NPO取得のメリット

 認定NPOを取得して、4年目になります。過去3年の平均で見ますと、取得前に比べて50%くらい寄付が増えています。それがすべて認定の効果かは分かりませんが、とくに最近は寄付者側が事前にお調べになったうえで、「認定をとっていますね」と言ってこられます。また、相続税の削減になるということも、だいぶ知られてきています。このような面でも、寄付をする方の意識が変わってきているのかもしれません。

 書類作成の手間も、最初は大変でしたが、3回、4回とやっていくうちに、毎年の報告はルーチン化されて、それほど苦にならなくなっています。パブリックサポートテストも、毎年数字はクリアしているので、大変だという感覚はないですね。やはり認定NPO法人であることのメリットは大きいと思います。

■さまざまな取り組み

 ホームページを充実させるのは重要だと認識していて、できるだけ多くの寄付サイトの仕組みに乗せてもらい、JANICやJICA(国際協力機構)などのホームページにリンクしてもらうよう心がけています。

 ekokoroなどのクリック募金もできるようにして、インターネット利用の体制は整えています。藤原紀香さんのカンボジア子ども教育基金の運営団体にもなっていますが、この募金はネットバンクで決済できます。

 また、あまりサイトの記事が古いと真剣度を疑われてしまいますから、つねに毎週1~2回はメンテナンスしています。私自身、日記を書くノルマがあってけっこう大変なのですが、意外と会員の方が読んでくださっていて、コミュニケーションにとても役立っています。

■企業戦士からの転身

 私は、60歳まで鉄鋼会社に勤めていました。定年になったら、これまで自分が得た経験や知識を世の中に返す仕事をやってみたいと思っていたんですね。JANIC(国際協力NGOセンター)のメンバーになって機関紙を読んでいたら、この『JHP・学校をつくる会』のスタディツアーを見つけたんです。年齢は問わず誰でも行けるということで、参加することにしました。たまたま現地で小山内代表が活動していて、ホテルなどでお話をするうちに、「ああ、こんな人もいるのだな」と思って、ここでボランティアとして手伝ってみようかなと。

 それが定年になる1ヶ月前。2002年9月に退職して、10月から参加するようになりました。この組織が社会経験のある者を欲していたというのもあって、小山内流に言わせれば、引っ張り込んで放さない(笑)、と。ボランティアで気楽にやるつもりだったのですが、2005年に事務局長にまでなってしまいました。

 私はエンジニアでしたから、まったく畑は違いました。まあ、技術屋といっても、会社に長くいるとマネージメント色が強くなりますから、そういう経験もある程度しましてきましたけれども。それでも大企業から小さな組織に移行したものですから、それは違いを感じましたね。

 まず、企業で働いていれば、上が「こうするんだ」といえば右へならえです。ですが、こういう団体には、職員としてお金を払っている人も、ボランティアとしてやっている人もいます。そうするとベクトル・価値観がみんな違うわけですよね。上意下達的に言ったのでは物事は進まない。常に情報を共有して、みんなが同じ土俵のうえで議論するのが大事です。経験はべつとして、上も下もあまり気兼ねなく意見を言うことができるという意味では、企業とは違った楽しさはありますね。

 それと、小山内の人脈で、これまで考えられないような人とお話ができる体験も新鮮ですね。昨年から日本人の若者を育てる教養講座(小山内美江子国際ボランティアカレッジ)を始めたのですが、その講師として、筑紫哲也さん、秋山ちえ子さん、堀田力さん、寺脇研さん・・・・・・など、たくさんの方々とお会いすることができました。これは会社員時代には考えられなかったことで、とても楽しい経験ですね。


<岩本理事(前事務局長)プロフィール>

 1965年に大学を卒業後、日本鋼管株式会社(現JFEスティール(株))に入社しその関係会社等を含め、60歳まで勤務。2002年よりJHP・学校をつくる会の活動にボランティアとして加わる。2005年1月より事務局長に就任。

 趣味は音楽全般で、大学時代からコーラスを経験、現在そのOB合唱団の幹事長を努める。

<取材団体プロフィール>

団体名:

 特定非営利活動法人JHP・学校をつくる会

活動開始:

 1993年9月

法人設立年月:

 2000年11月8日(NPO法人)

スタッフ数:

 約20名

事業規模:

 約18,500万円(2006年度)

ニュースレター:

 年4回

募金活動:

 随時

団体ホームページ:

 http://jhp.or.jp/

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