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ファンドレイザー奮闘記-2-

2010年04月06日 21:52

【海外からの特別寄稿2】韓国NPOの資金募集事情に関して 金 保恩さん(日本語訳)

ファンドレイザー奮闘記-2-

【海外からの特別寄稿2】韓国NPOの資金募集事情に関して(日本語訳)
高麗大学大学院 金 保恩(キム・ボウン)さん

●1.韓国のNPO支援制度
韓国の場合、NPO支援制度としてNPOの自律性の保証を原則とする非営利民間団体支援法を設けている。政府は支援対象の事業の類型を明確にし、政府の政策に対して補完、上昇効果を持つ事業を選定して、関係法(法第7条、令第5条)に基づく積極的な業務の推進を通して健全な民間団体の保護・育成と民主社会の発展を図ろうとしている。

韓国の非営利民間団体支援法の基本方針は、第一、固有の市民社会団体の活動領域を尊重し自律性を保証する、第二、創意性と専門性を発揮し、公益活動に参加する、第三、無補修性、自発性、公益性、非営利性、非政派性、非宗派性を保つ、第四、年齢、性別、障害、地域、学力などの制限なく参加する、第五、国民の協働的な参加などの民・官協力の基本精神を進める、であると定めている。

政府の補助金の支援は、1999年から2003年の毎年150億ウォンずつ総額750億ウォンが支援されてきて、2004年から2008年の毎年100億ウォンずつ総額500億ウォン、2009年には50億ウォンが支援された。2008年までは政府予算50%を市、道に配分してきたが、2009年からは登録機関数、事業範囲及び予算の性格、企画財政部の意見、予算減少などを勘案して政府予算の全部を中央行政機関の登録団体による全国レベルの事業に使用するようになった。

政府の補助金支援事業の選定及び支援金額の決定は事業類型の中で公益事業選定委員会の決定に従い、個別的な支援事業及び支援金額を決定する。支援事業の選定は公開競争方式を原則にする。支援事業の選定基準は①独創性、経済性、波及効果、社会問題の解決及び住民欲求の充足度、②申請予算内訳の妥当性及び自体負担率、前年度の事業評価の結果、③団体の専門性、責任性、開発性及び最近の公益活動の実績を勘案、④補助金を支援しないと事業の遂行が不可能な場合、⑤国家政策に符合し関係法律により勧奨あるいは許容される事業類型、⑥ボランティアあるいは寄付活動と連携し推進する事業、をその基準にする。このような選定基準は毎年1月末以前に広告あるいは登録団体に個別通知することを原則とする。

現在、登録されている非営利民間団体は33の中央行政機関に981団体、8,022の市・道の中でソウルに1,052団体、京畿道に1,414団体で、ソウル・京畿道の首都圏に非営利民間団体の分布が非常に多いということがわかる。このような分布は政府支援予算にも影響を与え、2009年度16の市・道の民間団体支援予算はソウルが32億ウォンで、全体予算額である272億9700万ウォンの11%を占めており、京畿道の場合20億9100万ウォンで、全体予算の7.6%を占めている。つまり、首都圏が全体の予算額の18.6%を占めていることがわかる。

韓国民間団体総覧(2006)によると、韓国の市民社会団体の予算は1億ウォン以下が50.8%、2億ウォン以下が21.5%、3億ウォン以下が7.5%、4億ウォン~10億ウォン11.8%、11億ウォン~20億ウォン5.3%、20億ウォン以上が3.1%で、1億ウォン以下の団体が非常に多いことがわかる。これは韓国のNPOが非常に零細な財政規模をもっていることを意味する。一般的に韓国の社会団体の財政は会員による会費、個人・企業の後援金、自体収益事業、政府と企業の協賛金と支援金などで調達されている。しかし、これに関する資料は理論的、政策的重要性にも関わらず、ほとんど公開されていない実情である。

●2.韓国NPOの資金募金状況
韓国の非営利民間団体は、小さな政府、大きな市場を打ち出す政府の成立により財政的圧力や非営利民間団体支援法の改正議論による法的圧力、言論の否定的報道による社会的圧力などに直面し、公共財政、政府支出の削減、寄付文化の低下などが市民団体にとって大きな脅威になっている。実際、他の先進国に比べて韓国政府の財源は非常に小さくて、韓国の非営利民間団体の財政で政府財源が占める割合は24%で、手数料に頼っている割合は70%を超えている(Salamon2003,GlobalCivil society: An overview)。つまり、韓国の非営利民間団体はほとんどの財源を自らの会費、事業費などで充てなければならない。

現在「共にする市民行動(함께하는 시민행동)」、「正しい社会市民会議(바른사회시민회의)」「健康社会ネットワーク(건강사회네트워크)」「行政改革市民連合(행정개혁시민연합)」「市民精神(시민정신)」などは活発な活動領域に比べ、2007年の総収入が1億~2億ウォンにすぎないほど財政が劣悪な状況であり、実際に非営利民間団体のほとんどが非常に少ない収入で運用されている。
このような中で、比較的零細でない「美しい財団(아름다운 재단)」「文化連帯(문화연대)」「共にする市民行動(함께 하는 시민행동)」など規模が大きいところは多様な会員層と会員数が多いことから多様な方法で団体の運営ができる財政的基盤を設けており、政府支援を受けなくても運営が可能なところである。特に、このような団体の場合、会員数がかなり多く、寄付金制度などが活発に運営されており、財政充当の難しさはない。しかし、他の零細なNPOの場合、会員数が少なく、事業の規模も小さく後援と会費の面で運営財源を充てるには大きな限界を持っている。

なお、韓国の非営利団体の場合、資金募金に関して全般的にどのように運営されているのかを詳しく調べることはできなかったが、これは会計の部分で馴染んでない団体の慣行で、多くの非営利民間団体が誰からどれぐらいの後援を受けているのか、事業にどれぐらいを使っているのかを公開していないからである。

●3.資金募金の事例紹介
インターネットを通して毎月あるいは毎年の収入と支出の金額を明らかにしている市民団体は、「参与連帯」と「美しい財団」、「共にする市民行動」、「経済財政実践連合」、「緑消費者連帯」、「文化連帯」などにすぎない。それゆえ、資金募金の事例として紹介しようとするのは財政状況や寄付プログラムに関して公開している「美しい財団」である。

韓国の美しい財団は分かち合い、慈善をモットーにしている非営利民間団体である。2000年にスタートしてから、収入と寄付金の規模が順調に成長している。特に2007年と2008年の収入は各々152億8千1万ウォン、144億7千100万ウォンで例年に比べ増加しつつある。美しい財団の収入財源は個人と企業の寄付金で助成された基金、そして基金の運用収益で構成されており、2007年、2008年には46個の基金が新規に助成されており、既存に助成された基金にも寄付金が順調に増え、収入が大幅伸びつつある。特に2007年前年対比収入が33%増加して、美しい財団は安定的な成長ぶりを見せている。全体の寄付収入金と寄付金外の収入の割合は、2008年を基準に寄付金の収入が全体収入の89%を占めており、寄付金外の収入が11%を占めている。

なお、美しい財団が固有の目的事業を遂行しながら使用する事業費の規模も持続的に増加して、2001年には募金額に比べ事業費が10%程度であったが、2007年58%、2008年76%に達している。また、事業の成長を支えたのは運営の安定性で、美しい財団は安定的な運営費を確保しながらも、運営費の募金より事業費の募金に力量を集中するため、運営費の節減の努力と共に運営費財源の原則を樹立している。美しい財団の運営費の財源は、役員後援金(役員の出す寄付金)を含めた運営費の後援金、寄付金から一定の比率(管理費コスト8%)を運営費に転出する運営費の転出金、還付税額で構成され、2008年の場合、全体の運営費の財源の構成比率は運営費の後援金46%、運営費の転出金43.2%、還付税額10.8%などで占められている。

美しい財団の寄付は独立財団を設立しなくてもいいし、煩わしい手続きがなくても寄付者の寄付金が希望する支援事業に使用されるという便宜性をもつ。このような募金事業は一般基金と社会貢献部分の企業基金で構成されている。

一般基金は、1%分かち合い基金と家族基金、追慕基金などがある。1%分かち合い基金は、職場であるいは家でできることで、毎月の月賦、年収、生活費の1%を基金として分かち合う形として生活の中で小さな節約で毎月やりがいのある寄付ができるという長所がある。また、家族の名前で家族が後を継いで共に寄付する家族基金、亡くなられた方を追慕する意味で善行をするという意味の追慕基金、遺産の一部か全部、あるいは死亡保険料を寄付するよう約束する遺産基金が一般基金の例である。このような一般基金は現金類型から不動産、株式まで制限がない。特に、美しい財団はフリーマーケットなどを運営して自分が持っている不必要なものを寄付し、その収益金で財団を運営する財源を構成するなど、寄付金の類型は非常に多様である。一般基金の場合、人々の自発的な参加が基になるべきであり、参加を増進するために各基金ごとに参加に対するガイドラインを提示し寄付というのがどれほど素晴らしいことなのかについて考えるように意味づけている。また、寄付をするにおいて遺産基金の場合、その様式をインターネットですぐにダウンロードしてイメールで受け付けができるようになっているので寄付者が手軽く寄付することができる。

一般基金の支援過程は基金を開設する際、基本的に相談を経てから、財産の配分事業の中で希望する支援領域を決定し、協約書の交換及び基金の伝達式を行い、支援事業を実施する。以後、寄付者に定例報告及び各種の寄付者を行事に招待することで基金づくりの過程が行われる。

社会貢献部分の企業基金は社会の支援が必ず必要なところと企業の長期イメージに符合する社会貢献をマッチングして、その企業の名前で基金を作って持続的で専門的な社会貢献をすることができるように手伝っている。社会貢献の部分は企業の社会貢献活動においてその企業の構成員の参加が非常に重要であるという成熟した寄付文化の定着のために「美しい仕事場」であるという名前で職員が参加する事業を展開している。また、公益マーケティングを通して企業が公益的目的のために自社商品のマーケティングと連携して、寄付を実践する方式も採択している。美しい財団と共にこのような公益マーケティングを支援することで、社会の信頼できるパートナーという組織文化にも寄与することができ、分かち合いの価値と企業の利益を同時に充足している。また、社内の職員の誕生日ごとに消耗的なプレゼントの代わりに上司の名前で美しい財団に寄付をしたり、あるいは職員の罰金を集めて、基金を支援するなどの奇抜で面白い企業の社会貢献が行われている。

社会貢献部分の実行過程は企業のニーズを把握し、社会貢献の領域を調査する環境分析を通して社会貢献の参加方案を提案する。以後、提案の内容、細部運営などに対する協議及び調整を通して社会貢献参加方案を確定し、社会貢献活動を進行する。

美しい財団はこのような寄付文化を定着させ、広報するために専門的研究が必要であると判断し、寄付文化に対して研究できる寄付文化研究所を設立し寄付文化の定着のための分かち合い教育、お別れ教育(遺産基金支援のための教育)、非営利コンファレンスなどを通して韓国社会に本質的に寄付文化を定着させようと努力している。

*1韓国の非営利民間団体の資金募金を知るためには財政に関する統計データなどの財政情報が必要であるが、そのような財政情報を明らかにしている団体は比較的財政の安定性が高く規模が大きな団体である。本文では美しい財団を取り上げているが、美しい財団は財政の安定性の優れた一部の財団で、全般的に劣悪な韓国の非営利民間団体の資金の実態を代表する団体とはいえない。

●4.今後の資金募金において課題及び展望
韓国の非営利民間団体は資金募金の効率化のために団体自らの内的透明性と民主性を備えなければならない。また、会費や寄付金制度の定着のための多様な活動を通して自分たちの活動を知らせ、それに対する市民の関心を引き出さなければならない。つまり美しい財団のように多様な広告活動と市民参加の勧めを通して気軽に参加できる通路を提示し、これを通した収益事業で収益源を内部化し、専門家を通した財政の安定性を導くことが何よりも重要であろう。

零細な非営利民間団体の場合、政府が戦略的に選定して支援することによって、長期的に非営利民間団体が組織力量を改善し、実際に社会に貢献できる文化の定着のために政府の安定的な支援が必要である。もちろんこれは政府の支援を通して純粋な社会団体として活動することにおいて、政府の理念やモットーなど政治的圧力がかけられる問題なので、そのような問題点に対してのけん制と漸進的な補完が必要である。このような支援は究極的に非営利民間団体が団体運営において活動の自律性だけでなく内部的力量の増進を図る方向で支援されるべきである。

集められた資金に対しては、資金運営の状況を透明に公開して非営利民間団体の不正や横領事件を減らすことで、非営利民間団体が社会的責任を果たせず、腐敗の温床になっているという指摘を謙虚に受け入れ、市民が信頼し参加し支援できる非営利民間団体に対する支援文化の定着を図るべきであろう。

金保恩(キム・ボウン)
1985年生まれ、高麗大学大学院行政学科修士課程を2010年2月に卒業。
修士学位の論文は「ガバナンス環境における政府とNPOの関係に関する研究」を執筆。
この論文では、ガバナンスにおける行政環境の体制の政府と市民社会の関係に関して
研究をした。現在はアメリカへの留学を準備中。

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