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ファンドレイザー奮闘記-2-

2010年06月28日 17:01

【海外からの特別寄稿4】ポーランドのNGO Robert Kawalkoさん(日本語訳)

ファンドレイザー奮闘記-2-

【海外からの特別寄稿4】ポーランドのNGO(原文)
Robert Kawalko(ロバート・カワルコ)さん

ロバート・カワルコ
ポーランドファンドレージング協会会長(共同創設者)
ヨーロッパファンドレージング協会副会長、
スイスのKrakowとFribourgにある大学で学び、
7年間IT企業でマーケティングとPRを担当した後、
いくつかのNPOでファンドレージングを担当、
2000年から彼自身のコンサルティング・研修機関を設立。

●(1)ポーランドにおけるNGOの現状

再活性化

NGOについて語るとき、たくさんの人にとって新しい存在で、それがどんなものか、想像することすらできなかった。それが21年前の1989年、国家による社会活動・フィランソロフィー活動独占を終え、ポーランドの財団や社会団体がもう一度舞台に戻った頃だった。大戦後の50年は第三セクターにとって悲惨な時代であった。長い歴史を持つ大きな組織でも、余儀なく共産党政府によって解体され、ほんのわずかの団体が生き延びることができた。市民は政府がすべてをコントロールし、すべての問題を解決してくれると教え込まれた。無関心と薄暗い生活が充満していた。カトリック教会だけがかろうじて伝統的なコミュニティのシェルターとして人々の助け合いの場であった。

東欧諸国が自由を取り戻したとき、NPOが徐々にランドスケープを変化させ始めた。しかし、政府がNGOを定義し、法令や政策ではっきりとその位置づけを与えられるまで14年もかかった。地方政府・自治体はいまNPOと協力することを要求されているが、実際そのポテンシャルをうまく公共のために活用するところがまだ少ない。限られた財源、そして伝統的に希薄な関係の中で、信頼関係を構築するまでなお時間がかかる。

●(2)基本的な統計

市民社会の黎明期

市民側のイニシアティブがさく裂して数年が経った今、3千8百万ポーランド人のうち、約25パーセントの市民が少なくとも一つのNPOのメンバーとなっている。公式登録されている団体は6万1千、財団は1万以上に上っている。その他、約5万の労働組合、漁業組合、宗教コミュニティ、草の根団体が存在する。以上の組織をすべて第三セクターと呼ぶとすれば、12万にも上る組織が数えられる。そのうち、10年以上の歴史を持つ団体はその三分の一に過ぎず、まだまだポテンシャルが高く、発展段階にある。

2008年にKlon/Jaworアソシエーションが実施した調査によると、ポーランドのNGOはスポーツ・ツーリズム・リクリエーション(38%)、文化芸術(13%)、教育(13%)、社会保障(11%)、健康保護(8%)の分野で分布をしている。三分の二の団体は正職員・有給スタッフを雇用していない。すべての団体の雇用総数は14万2千人で、うち7万2千人はフルタイムの雇用である。経済学者によると、同セクターの潜在的労働市場は現状の数倍にも及ぶという。しかし、高い税金を払わなければならないことや、NGOの仕事は有償ではなくボランティアでやるべきなどの既成観念から、理事会はなかなか有給スタッフの雇用へ踏み出しにくい。

有給スタッフを雇用している団体の半数は平均賃金が1800zlotys(約600USドル)を超えておらず、明らかにポーランドの平均賃金を下回っている。しかし、それに対して不満を抱くNGOスタッフはわずか30%で、大多数の人は現状を受け入れ、満足している。

NGOの職員はハイレベルの教育を受けた人が多い。理事会や有給スタッフの三分の二以上はより高いレベルの教育を受けている。
半数の団体はボランティアスタッフを有しており、ポーランドのNGOで貢献しているボランティアスタッフの数は7百万人に上る。

●(3)ファンドレイジングの現状

広がるギャップ

2005年から2007年にかけて、NPOの状況は目に見えて改善された。この3年間で半数のNPOの平均年間収入が6000USドルに達した。2004年はわずか3000USドルだった。同時にもっとも裕福な団体はより高い収入を得ていた:5%の団体がセクター全体80%の収入(40万USドル以上)を占めていた。こうして、大きな団体と小さい団体のギャップが広がりつつある。10%の団体はまったく収入がない状況にある。

NPO財源の43%は政府や地方自治体から得ている。その次に大きな財源は欧州連合からの助成金で、約14%を占める。

ポーランドのNPOにとって、大きな課題は、財源多様化への対応である。たとえば全体の2%以下だけは基金を持っていて、わずか7%が研修・イベント・セールス・出版などの経済活動を行っている。

平均的な団体は会員の会費・地方自治体の助成金・企業や個人の寄付、この3つを財源としている。2004年に政府は減税措置を開始し、納税者が自分の税金1%をNPOに寄付することができるようになった。最初の2、3年においてこの制度を利用する人が少なかったが、推進キャンペーンやメディアのおかげで、制度の利用者は年々増え、2009年には30%に達している。昨年の年間総額は200万USドルで、一部の政治家たちは寄付税率を2%に切り上げると宣言している。

ファンドレイジングという、計画性があって、システマチックに寄付者を募る方法はNPOの財政運営においてだんだん認識されるようになった。しかし、もともとの財政状況があまりよくないことから、ファンドレイジングの発展はゆっくりである。75%の団体は価値のある固定資産を持っておらず、90%以上の団体は財政貯蓄を持っていない。よって、NPOのリーダーたちはファンドレイジングのキャンペーンに投資するどこらか、スタッフを雇用することすら躊躇している。そしてリスクをとる人たちでもなるべく投資をへらし、目に見える成果が出るまで長い時間がかかる。

●(4)グッドプラクティス

百万以上の善意

いいファンドレイザーの例をあげるなら、大多数の人はJerzy Owsial、Janina Ochojska、Anna Dymnaの名前をあげよう。Googleで検索すれば数千の結果がヒットするだろう。彼らはポーランドのNPOで成績をあげたファンドレイジングのリーダーであり、毎日ドナーとの関係構築に勤しんでいる。ほぼすべてのポーランド人は彼らのうちの誰かに寄付した。Owsiakさんは“The Great Orchestra of Chrismas Charity”というキャンペーンを毎年行って、公共保健のために寄付金を集めている。毎年記録を更新中だが、今年のキャンペーン最終日に、街頭寄付とテレビオークションをあわせて、児童の腫瘍治療機材を購入するための、計1千2百万USドルの寄付を集めた。

Janina OchojskaさんはPolish Humanitarian Organizationという団体に所属して、ポーランド発のフィランソロフィーを海外へもたらし、寄付者たちにアフリカ・アジア、そして被災地での活動を支援するよう説得してきた。彼らはスーダンで井戸を掘ったり、アフガニスタンで学校を作ったり、北朝鮮で病院を再建したり、貧しい子供たちに食事を与えるなど、プロのファンドレイザーが集めた寄付金を年間1千万USドルも使っている。

Anna Dymnaは有名なポーランド女優で、“Against the Odds”という財団を2004年に自身で設立した。障害者のために6年間の奮闘を経て、財団はポーランドの代表的なフィランソロフィー団体となり、4人によって構成するファンドレイジングの部署を持ち、年間の収入は7百万USドルにも上る。財団の発展の速さはプロのマネジメントとファンドレイジングメソッドの力を示している。支持者(寄付者)への信頼もあり、財団は大胆な目標を設定し、二つの大きな医療センターを建設し始めた。そして二つとも工事が順調に進んでいる。

このような成功例がどんどん増えているのはポーランドファンドレイジング協会がたくさんのNPOリーダーに研修の機会を提供したからである。現在研修を受けたもの、約3500人がポーランド中で活躍している。昨年の冬、卒業生である一人の修道女はWroclawの小さな修道院で雨漏れの屋根を修理するためのインターネット募金キャンペーンを始めた。彼女はネット費用25USドルしか使わず、あとはメールで寄付を募った。一月も満たないうちに、彼女は予想した4倍もの寄付金を集めた。

●(5)今後の課題と展望

リーダーシップの重要性

ポーランドの市民社会がNPOのポテンシャルを有効活用できるまで、後数年がかかるだろう。経済的視点からみて、NGOはほかのセクターと比べられない。マネージャー・リソース・自主性などがもっと必要である。ポーランドの非営利組織が成長する大きな原動力はEUなどの公的基金だが、これらの資金源は今後数年大きく削られる予定である。これは最初のチャレンジで、ファンドレイジングをほかのリソースに目を向けなければならなく、政治や政府から自立することが要求される。普通のファンドレイジングをはじめる前、いくつかのステレオタイプを克服しなければならない。NPOのリーダーたちは今後数年、雇用する側にいることに慣れなければならない。責任を持って、戦略的に考えることが要求される。そうでなければ、彼らはビジョンを失い、孤独な戦いに陥り、燃え尽きてしまう。

幸いなことに、たくさんのNPOはプロのマネジメントに向けてたくさんの努力をしてきた。そしてその努力は効果があることも証明された。ファンドレイザーたちはNPOのミッションのアンバサダーやプロモーターとして、ドナーの大軍がこの努力を助けることになる。

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