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【セミナー報告】 7/23 香川 環境NPOのための政策提言入門セミナー

2011.12.02

1.実施概要 

2.セミナー要旨

2.セミナー要旨

 

(1)はじめに

 主催者(シーズ:北澤、GEOC:星野)よりセミナー開催の挨拶、主旨説明を行った後、環境政策提言の基本的な進め方について、シーズ北澤より解説を行った。

 

2)講演①:日本自然保護協会 道家哲平(どうけてっぺい) 

 CDB-COP10の成果と課題を踏まえ、愛知ターゲットの内容と日本の政策やNGOの役割について発表された。

 

【発表のポイント】

·             COP10決議には拘束力はないが、日本も世界基準の政策を「やります」と宣言した点に意味がある。

·             今後10年間に取り組むべき目標である愛知ターゲットとその戦略目標について解説。

·             現在、都道府県で、生物多様性地域戦略が徐々に策定されているが、まだ愛知ターゲットが十分に生かされていない状況にある。

·             日本が政策課題(国家戦略・地域戦略)として実施していく中で、愛知ターゲットを生かせるか否かはNGOの活動にかかっている。

·             具体的な取り組みとして、愛知ターゲットに取り組む団体を応援する「にじゅうまるプロジェクト」、大切に残したい自然を登録して守る「生物多様性の道プロジェクト」を紹介。

 

(3)講演② CEPA-JAPAN 川廷昌弘(かわていまさひろ)

 NGOと民間企業のノウハウを併せ持ちながら、生物多様性に関する普及啓発活動に取り組むCEPA-JAPANの目指す姿や、地域のNPOに求められる役割、普及啓発活動の事例について紹介された。

 

【発表のポイント】

·             生物多様性は人類存続の基盤であり、広く、市民に普及啓発していく事が必要である。

·             普及啓発活動を効果的に進める為には、市民と共感できる価値をつくる事が求められる。環境に優しいからだけではなく、「ラクだから」「カッコイイから」という感性が必要。

·             市民の共感を得るためには、メディアやオピニオンリーダーの活用は重要である。これまでに、オリンピック、Jリーグ、プロ野球などのスポーツ選手にチャリティーでPRに参加してもらう事で効果をあげている。

·             横浜では、地域や学校での取り組みを広げていくために、ワークショップを行い、ラジオを活用して意識を広めたり、マリンタワーの展望台で、地域の自然や環境問題を表現するホワイトフレーム(白い額縁)を通して景色を眺める試みを行っている。

 

4)事例紹介:生物多様性とくしま会議 新開善二(しんがいぜんじ)

 徳島県でこれから策定する「生物多様性地域戦略とくしま」を民、学、官の協働で策定していくために、徳島県にあるさまざまなNGONPOのネットワークをつくり、政策提言活動をしている生物多様性とくしま会議の活動経緯を紹介された。

 

【発表のポイント】

·             徳島県の絶滅危惧種が850種類以上となる危機的課題に対して、解決策として地域戦略の策定による環境保全を行っていこうと決める。

·             徳島大学の協力を得ながら、市民ワークショップや展示会などを行い、ネットワークづくりを進め、地域戦略の進め方を提案する提言書を県に提出。

·             今後、タウンミーティングを開催しながら、保全対象や課題の抽出を行っていく方針を紹介。

 

(5)グループディスカッション

 A)「豊かな地域を保つためにできること~NPOとして、個人として~」

CEPAJAPANの普及啓発活動の考え方などをとおして、本グループ参加者より、自己紹介と問題意識について、意見交換を行った。

 

【議論のポイント】

·             学生にとっては、生物多様性といわれても関係のない感覚で、言葉がわかりにくい。道いく人に関心を持ってもらうようにするには、どうしたらよいだろうか?

·             マリンタワーのフレームのプロジェクトのように、静かに入ってくようなアプローチがいい。生物多様性を自分の言葉に落とし込めるような翻訳も必要。そのためには、人間の欲求に訴える、価値転換が大事だ。

·             敵対するのではなく、うまく折り込む、利用するといったことも大事。

·             生き物がだいぶ減っていることを実感する。一方、みんなが海に囲まれているという意識が希薄になっている。小さい頃から触れる機会を持つようにと思っても、持続的に運営するには、雇用も課題となりそうである。

·             水田でも生物多様性を守るところとして視点があるが、手間をかけなければならない。そうしたことに価値をおいたお米を買ってくれるようになっているだろうか?

 

B)「提言から実現へ~アドボカシー活動のポイントを考えよう~」

 生物多様性とくしま会議の活動を例に取り上げ、課題発見、解決策の検討、企画化、実行・・・というステップを、どんなステークホルダーを巻き込みながら、どのような具体的活動を実施したのか検証しつつ意見交換を行った。 

 

【議論のポイント】

·             ワークショップや展示会などを行う段階では、徳島大学の先生や専門のファシリテーターとの協働が効果的であった。

·             今後、タウンミーティングは、保全対象や課題の抽出を目的としているが、広く市民を巻き込んでいく為にも重要な機会である。

·             市民を巻き込むポイントは、オーナーシップ(いかに自分事として考えてもらうか)である。

·             タウンミーティングをうけて、戦略をまとめていく段階では、多様な立場のステークホルダーの調整が必要となる。

·             今後、企業をいかに巻き込むかも課題となっていくが、その為には、生物多様性とそれぞれの企業とがどのような関係があるのか考えていく必要がある。