HOME >> セミナー・研修報告 >> 【セミナー報告】 7/30 東京 環境NPOのための政策提言入門セミナー

【セミナー報告】 7/30 東京 環境NPOのための政策提言入門セミナー

2011.12.02

1.実施概要


P7300130small.jpg


2.セミナー要旨

(1)はじめに
主催者(シーズ:池本、北澤)よりセミナー開催の挨拶、主旨説明を行った後、環境政策提言の基本的な進め方について、シーズ北澤より解説を行った。

(2)講演①:日本自然保護協会 道家哲平(どうけてっぺい)
CDB-COP10の成果と課題を踏まえ、愛知ターゲットの内容と日本の政策やNGOの役割について発表された。
【発表のポイント】
・ COP10決議には拘束力はないが、日本も世界基準の政策を「やります」と宣言した点に意味がある。
今後10年間に取り組むべき目標である愛知ターゲットとその戦略目標について解説。
現在、都道府県で、生物多様性地域戦略が徐々に策定されているが、まだ愛知ターゲットが十分に生かされていない状況にある。
日本が政策課題(国家戦略・地域戦略)として実施していく中で、愛知ターゲットを生かせるか否かはNGOの活動にかかっている。
具体的な取り組みとして、愛知ターゲットに取り組む団体を応援する「にじゅうまるプロジェクト」、大切に残したい自然を登録して守る「生物多様性の道プロジェクト」を紹介。

(3)講演② CEPA-JAPAN 川廷昌弘(かわていまさひろ)
NGOと民間企業のノウハウを併せ持ちながら、生物多様性に関する普及啓発活動に取り組むCEPA-JAPANの目指す姿や、地域のNPOに求められる役割、普及啓発活動の事例について紹介された。
【発表のポイント】
生物多様性は人類存続の基盤であり、広く、市民に普及啓発していく事が必要である。
市民の共感を得るためには、メディアやオピニオンリーダーの活用は重要である。これまでに、オリンピック、Jリーグ、プロ野球などのスポーツ選手にチャリティーでPRに参加してもらう事で効果をあげている。
横浜では、地域や学校での取り組みを広げていくために、ワークショップを行い、ラジオを活用して意識を広めたり、マリンタワーの展望台で、地域の自然や環境問題を表現するホワイトフレーム(白い額縁)を通して景色を眺める試みを行っている。

(4)事例紹介:宍塚の自然と歴史の会 森本信生(もりもとのぶお)
宍塚にある貴重な自然を現地調査や保全活動をまとめたり、土地所有者から土地やくらしの歴史を聞きまとめるなど、多角的な活動をしながら、政策提言活動を行っている。
【発表のポイント】
自然観察会などで、宍塚の貴重な自然を認識した頃、開発計画がもちがり、宍塚地域の開発抑止には、人間がかかわりながら都市近郊の自然、憩いの場として保全すべき地域に指定するべく、活動を行ってきた。
土地所有者への聞き取り調査や保全活動、企業による農家支援プロジェクトなどの活動と同時に、研究者を招いて勉強会を実施した。
調査報告書では、自分たちの活動成果だけでなく、関連公的資料の収集などをしながら提言を行っていった。
総合計画は、保全について盛り込むよう政策提言したが、現在は両論併記。総合計画は財政状況などもあり、まだ地ならしの状況である。
表彰は、信用を高めることにもなるが、応募によって活動をふり返る機会にもなっている。

(5)ディスカッション
会場から付箋紙をつかって、感想や質問を受け付けた後、政策提言活動を軸に、パネルディスカッション形式で、議論を行った。
【主な論点】
土地所有者など地元の人を巻き込んでいっているところが、宍塚の活動の特徴。対象エリアはほとんど私有地で、最初は土地所有者に観察会の協力お願いをしたり、米の買い支えやこんにゃくづくりなど伝統的なくらし方などを教えてもらった。土地所有者にとっては、祖先の思いを受け止めることが大事。土地所有者にとっては、自然公園になろうと、都市になろうと利益になることを留意している。聞き書き調査は、語っていくことでつながっていくと同時に、地域固有の個性につながっている。
宍塚では、市の方針が決まらないと、具体的なことが進まないため、市の上位計画として総合計画に対して、提言を行った。
戦略を戦略で終わらせないためには、①いつまでにの目標設定と評価②行動活動をたて、自分のコト化することがポイント。自分のコト化をするためには、いままで利用者意識はあったが、同時に管理者意識を持つことである。
小さなネットワークから社会問題を解決していくことは、これから求められている大事な視点だ。