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特定公益増進法人 投稿者:安田洋平 投稿日:2000/06/05(Mon) 01:46:00 No.113
「財団法人○○芸術文化振興財団は、94年に特定公益増進法人としての認可を受け」
という文面を先ほど読んだのですが、
特定公益増進法人とは、すなわちNPOと同義ということでいいのでしょうか?
文化・芸術関係の団体でよくこの言葉を目にするのですが、何だろうと気になっています。
初歩的な質問で恐縮ですが、教えて下さい。
Re: 特定公益増進法人 投稿者:河野康志 投稿日:2000/06/06(Tue) 01:03:00 No.114
特定公益増進法人(略称:特増)について、自分の知っている範囲の情報を掲載します。

特定公益増進法人とは公共法人、公益法人等その他特別の法律によって設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものをいい(法人税法37条3項3号)、具体的には法人税法施行令第77条第1項及び所得税法施行令第217条第1項に列挙されている。
特定公益増進法人に対する寄付金は、個人の場合は特定寄付金として、一定金額まで寄付金控除が認められ、法人の場合は、一般の寄付金の損金算入限度額と同額まで別枠で損金算入が認められる。

特定公益増進法人の認定要件
 民法法人が特定公益増進法人として認定されるための要件は、法人税法施行令第77条第1項第3号に規定されているが、その概略は、次のとおりである。
 まず、その法人の主たる目的が次のイからムまでのものであって、①その業務の運営組織及び経理が適正であると認められること ②相当と認められる業績が持続できること ③受け入れた寄付金lこよりその役員又は使用人が特別の利益を受けないこと ④その他適正な運営がされていること、について主務大臣(又は大蔵省令で定める者)の認定を受けることが要件であり、期間は2年(ハの法人のみ5年)である。
 イ 科学技術の試験研究 ロ 科学技術試験研究の助成 ハ 科学技術知識の普及 ニ 人文科学の助成 ホ 学校教育の助成 へ 学資支給貸与、寄宿舎の設置運営 卜 大学の教員、学生の宿泊研修施設の設置運営 チ 青少年に対する社会教育 リ 芸術の普及向上 ヌ 文化財、歴史的風土の保存活用 ル 経済協力 ヲ 経済協力(公共的施設の管理運営) ワ 海外における日本理解の増進 カ 海外における日本理解の増進に対する助成 ヨ 更生保護事業 タ 受刑者等の面接指導 レ 貧困者の訴訟援助 ソ 野生動植物の保護繁殖 ツ 自然環境の保存活用 ネ 緑化事業の推進 ナ 薬物乱用防止、青少年非行防止 ラ 水難に係わる人命救済 ム 以上の業務のうち、2以上の業務を一体のものとして行うこと

※特定公益増進法人の内訳
特殊法人(永久資格)                 25法人
特定された民法法人(永久資格)            65法人
特定目的の事業を行う民法法人(原則2年の資格)   927法人(民法法人の3%)
私立学校法第3条で設立の学校法人など(永久資格)1,073法人
社会福祉法人(永久資格)           16,005法人
更生保護法人(永久資格)              165法人
                      計18,170法人


特増の認定用件からすると、公益法人(財団法人、社団法人等)のなかから、特に公益性の高い法人が厳しい認定用件をへて、特増となることがあります。
しかし、なかなかの関門のようです。ただ、NPO法人は主務官庁制度になっていない(所轄庁制度)ため、特増の認定を受けることは無理のようです。
特増になると、通常の公益法人よりも高い税制上の優遇措置をうけることとなります。


NPO法においては法案成立時に税制優遇が見送られましたが、その反面、比較的スムーズな(なかば準則に近い)認証という形で法人格取得が可能となりました。
一方、特増は、この認定を一旦受けた場合、相当の税制優遇がなされることとなります。
特増の認定をうけられるのは、上記の通り、社会福祉法人など永久資格として規定されているもの以外には、特定目的の事業を行う民法法人(原則2年の資格)のみであり、あらかじめ相当厳しい審査を受けます。
その認定数も常に民法法人の3%という数が保たれており、大蔵省による数の調整がなされている状況です
また、この特増制度については、その認定基準が明確にされておらず、大蔵省と所轄庁との間で調整されており、情報公開されていないところに問題があるようです。

この特増制度はいわゆる公益法人制度の上に覆いかぶさる税制優遇制度です。
一旦、特増となれば相当の税制優遇が受けられる訳ですので、それなりの厳しい認定審査がなされています。
Re: 特定公益増進法人 投稿者:安田洋平 投稿日:2000/06/07(Wed) 05:33:00 No.115
ご回答いただき、ありがとうございました。
しかしそもそも、公益法人とNPOはまったく法的に別種のものなのですね?
NPOは日本語に訳すると非営利団体ですから、てっきり財団法人や社団法人、社会福祉法人もそのうちに含まれるのだと思っていました。
ところでお答えの文中、「損金算入」とはどういう仕組みですか?
つくづく初歩的な質問でお恥ずかしい限りですが、できましたらお教え下さいますようお願いいたします。
Re: 特定公益増進法人 投稿者:河野康志 投稿日:2000/06/14(Wed) 09:17:00 No.116
昨年、いろんな文献から引用し、まとめたものをアップします。
ただし、数値は既に古いものであり、最新の状況とは異なっていることをお含み置き下さい。
損金算入については、法制度が改正されており、選挙関係の企業からの寄付金ができなくなったり、状況が以前と異なってきています。

★日本の寄附税制★
日本においては、税務統計によると1994年の寄付総額は年間5,090億円で、その内訳は企業寄付が4,770億円、個人寄付が320億円となっている。
これはGDPの僅か0.1%にすぎない結果となっている。
この個人からの寄付額は税務申告がなされた中の所得控除の対象(年間1万円を超えると所得控除)となったものだけである。
個人の小口寄付総額は約1,800億円で、1世帯あたりの平均額は4,260円となっている。
つまり、個人による寄付総額のうち所得控除の対象となる部分に関しては全体の2割程度に過ぎず、残りの8割は無数の小口寄付によるものである。
1995年の法人企業の寄付支出額は法人所得の1.4%にあたる4,530億円であった。

寄付は税制上の取扱いから特定寄付金と一般寄付寄付金の大きく2つに分けられる。
特定寄付金とは国や公共団体に対する寄付金、指定寄付金、特定公益増進法人に対する寄付金のことを指す。
具体的に指定寄付金とは公益の増進に対する寄付で、緊急性の高い事業に用いられるもので日本赤十字社や共同募金への寄付などもこれに含まれる。
特定公益増進法人とは国際交流基金、日本赤十字社などの特殊法人や日本オリンピック委員会などの民法法人といったような公益増進に著しく関与する法人のことを示す。

このように特定寄付金とは公共性の高い寄付金のことであり、一般寄付金とは公益的な寄付に限定されずに指定寄付金以外の寄付金のことで、政治献金なども含めて幅広い対象を含んでいる。
1995年の法人寄付金の使途は、全体の61%にあたる2,757億円がこの一般寄付金で、公益性の高い指定寄付金へは39%にすぎなかった。

このように我が国では、個人や企業による寄付活動が諸外国に比べ盛んとはいえない。
これには日本の税制の在り方が大きく影響している。
例えば企業が国や公共団体に対する寄付金や指定寄付金を支出した場合は全額損金算入ができ、個人が支出する場合は寄付金のうち1万円を超えたものにつき所得の25%まで所得控除できるだけである。
また一般寄付金に関しては企業が支出した場合は一定の算式にもとづいて損金算入ができるが、個人の支出に対してはいっさい所得控除は認められていない。

このように個人と法人に対する税制優遇制度には相当な格差があり、このことが個人の公益的な寄付金の支出の障害となっているともいえる。
また、法人の一般寄付金への支出には公益目的でなく(政治献金等)とも損金算入が認められているなど、日本の寄付税制にはまだまだ問題点がある。

山口NPOサポートネットワーク 世話人 河野康志
Re: 特定公益増進法人 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2000/06/16(Fri) 16:54:00 No.117
河野さん、詳細な情報をどうもありがとうございました。どうぞ、今後ともよろしくお願い
いたします。

安田さん、もう「損金算入」についてはお分かりとは思いますが、念のため。

普通、団体の「利益」とは、「収益」から「費用」を除いたものを指しますが、税法上では、
課税対象となる「所得」を確定するために、事業年度中の「益金」から「損金」を引いた額を
「所得」金額としています。税法では、この「益金」「損金」などについては、定義されてい
ませんが、それに「算入」(そのようなものとしてカウントする)項目について、具体的に掲
げています。(例えば、法人の支出した寄附金については、一定の限度額の範囲内で損金とし
て算入できることになっています。これを「損金算入限度額」と言います)

厳密に言うと語弊があるとは思いますが、分かりやすく言えば、「損金算入」とは、課税する
額を確定するために、税法が定めている「費用」としてカウントすることです。

シーズ事務局・轟木 洋子

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