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役員が海外に住んでいる場合の住民票について 投稿者:ヒマラヤ保全協会田中 投稿日:2000/01/12(Wed) 11:11:00 No.13
こんにちは。ヒマラヤ保全協会というネパールで環境・文化保全に取り組むNGOです。
シーズさんの協力もあり、昨年10月に東京都に申請書を提出しました。ご存知のように
役員は、住民票を提出しなければいけませんが、海外に転出している場合は当然住民票が
ありません。現在インドに住んでいてEメールを通じて職務を遂行している理事がいます。
申請前に都に問い合わせたところ、「外国人登録証のコピーで良い」との返事でしたので
それを出したところ、後から「コピーではなく現本を出せ」と言われました。しかし、
外国人登録証は海外に住む場合いつも携帯してしているべき、パスポートに次いで大切な
もので、安易に提出できるものではありません。都は「もう一つつくってもらえ」と言う
のですが、可能かどうかわかりませんし、仮にできたとしても超官僚的なインド政府の
ことですから、発行してももらいそれを日本に送ってもらうとなるといつできるのかまる
であてになりません。海外協力型のNPOの場合、役員が海外に住んでいる場合も多いと考
えますが、大変お役所的な対応だと思います。
他の団体などではどのように対処しているのか、実際の所本当に「登録証源本」を出さな
くてはならないのかお教え下さい。よろしくお願いします。
Re: 役員が海外に住んでいる場合の住民票について 投稿者:シーズ事務局(M) 投稿日:2000/01/14(Fri) 20:25:00 No.14
シーズ事務局です。

なかなか、苦労が多いですね。

NPO法では、第10条で、設立申請に必要な書類の一つとして、

「各役員の就任承諾書及びそれぞれの住所又は居所を証する書面として総理府令で定めるもの」
(都道府県の場合は条例)

が必要とされています。

居所とは何かというと、
「住所とは、生活の本拠である場所(民法21条)をいい、居所とは、人の生活の本拠ではないが人がある程度継続して住む場所をいう。」
(『NPO法コンメンタール』124P)

東京都の特定非営利活動促進法施行条例では、この書類について

第2条 
2 法第10条第1項第2号ロ(法第34条第5項において準用する場合を含む。)
に規定する書面は、次に掲げるとおりとする。
一 当該役員が住民基本台帳法(昭和42年法律第81号) の適用を受ける者である
場合にあっては、同法第12条第1項に規定する住民票の写し
二 当該役員が住民基本台帳法の適用を受けない者であり、かつ、外国人登録法(昭
和27年法律第125号) の適用を受ける者である場合にあっては、同法第4条第1
項に規定する外国人登録原票の記載内容を証明する市町村(東京都の特別区の存する
区域及び地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市
にあっては区)の長が発給する文書 
三 当該役員が前2号に該当しない者である場合にあっては、当該役員の住所又は居
所を証する権限のある官公署が発給する文書

と定めています。
外国に住む、日本に住民票がない日本人の場合、この「三」に該当します。

さらにこの条例の施行規則で、

特定非営利活動促進法施行条例の施行に関する規則
(申請書等に添付する書類)
第20条 この規則に規定する申請書及び届出書に添付する書類(以下「申請書等に
添付する書類」という。)のうち、官公署が発給する文書については、提出の日前6
月以内に発給されたものとする。
2 申請書等に添付する書類の用紙の規格は、日本工業規格A列4番とする。ただ
し、官公署が発給する文書は、この限りでない。
3 申請書等に添付する書類が外国語で作成されているときは、翻訳者を明らかにし
た訳文を添付するものとする。


つまり、海外には、住民票などがない国もあるので、海外に住む人には、その政府の官公署が住所を証明できる書面であると考えて発行するものであればいいわけです。
また、その翻訳を添付することになります。


ちなみに、米国在住の米国人の方を役員にして、東京都で認証を受けた
日本国際ボランティアセンターの清水さんに聞いてみると、
日本国際ボランティアセンターでは、申請の「居所を証する書面」として
・「役員の人の住所が、どこどこであることを証明する」というNotary Public(公証人)の証明書
・その証明書の日本語の翻訳
を提出し、さらに
・自動車免許証のコピー
・所得税還付証明書の初頁のコピー
を公証人が添付書類としてつけてきたそうです。

日本に住む外国人の場合は、「外国人登録原票の記載内容を証明する市町村長が発行する書類」というのがあります。
インドでも、そのような書類があるかもしれません。

いずれにせよ、「官公署が発給する文書」という法文からするとコピーではダメだと思われますので、なんらかの官公署が発行する書類を入手する必要があります。
Re: 役員が海外に住んでいる場合の住民票について 投稿者:ヒマラヤ保全協会田中 投稿日:2000/01/15(Sat) 11:47:00 No.15
詳しい返信ありがとうございます。ご存知のようにインド、特に田舎は交通・通信事情
が大変悪い物ですから、現在該当理事が山の中に入ってしまい連絡がとれません。2月
11日までに書類が揃わないと申請が失効してしまうそうです。最初に東京都が間違った
情報を提供したことに正直憤慨しています。
官公庁によって住所を証明するだけなら、例えば在インド日本大使館に証明してもらうとか、
彼に研究費を出している国際交流基金など日本国の機関に依頼して証明してもらう方が、
実務的に早く進むと思うのですが、やはりインドの官公庁によって証明されなくてはいけない
のでしょうか。
Re: 役員が海外に住んでいる場合の住民票について 投稿者:轟木 洋子 投稿日:2000/01/17(Mon) 13:53:00 No.16
はじめまして。シーズ事務局の轟木洋子です。
私も在留証明書の件が気になり調べてみました。
以下は外務省とホームページ検索で得た情報です。

< 外務省に電話でインタビュー >
 領事移住政策課証明班と邦人保護課に聞いてみたところ、
以下のようなお答えでした。
「当人が在留届けを出していたら、在外公館で在留証明書
の発行が可能。在留証明書には氏名、現住所、本籍地が書
かれているので居所を証明できるが、正確には提出先(こ
の場合は東京都)に聞いてみて欲しい。なお、在留届けは
義務ではないが、在外邦人にできるだけ提出するようにお
願いしているもの。また、代理人が在留証明書を請求する
場合は、本人が代理人に委任したという委任状が必要であ
る」

< ホームページ検索 >
NPO法人の申請の例ではありませんが、川井 正さんとお
っしゃる司法書士の方が開いておられるホームページ
http://www.bekkoame.or.jp/%7Eta.kawai/)に、不動
産登記の際に外国在留邦人が住所を証明できるものが紹介
されています。以下はその抜粋です。

●在外邦人の住所証明書
登記権利者が在外邦人の場合、登記の申請手続きに必要な
住所を証する書面として、日本の現地在外公館の居住(在留)
証明を添付する。(昭和33.1.22民事甲第1966号参照)
●在米邦人の住所証明書
登記権利者がアメリカに在住の日本人の場合、住所を証する
書面として、アメリカの現地公証人の居住(在留)証明を添付
してもさしつかえない。
(昭和40.6.18民事甲第1096号参照)
●台湾在留邦人の住所証明書
登記権利者が台湾在住の日本人の場合、住所を証する書面とし
て、財団法人交流協会在外事務所長が発行する居住(在留)
証明書を添付してもさしつかえない。
(昭和48.8.11民事三第6365号参照)

以上を鑑みると、インドの場合、現地の在外公館で発行された
在留証明書が住所を証明するものとして有効と思われますので、
東京都に確認してみてください。
Re: 無責任なお役所(東京都)に憤慨! 投稿者:ヒマラヤ保全協会田中 投稿日:2000/01/20(Thu) 11:10:00 No.17
ヒマラヤ保全協会田中です。いろいろありがとうございます。現在在インド日本大使館で
彼が住んでいる居住証明ができるが調査中です。問題は、本人がヒマラヤの山の中に現在
調査のため入ってしまい、連絡がとれないことです。
正直言って、東京都には憤慨しています。最初、「外国人登録証のコピーで良い」と言っ
ていた、それも電話で聞くだけでは不安なので窓口までいって確認しました。それで翻訳まで
付けて提出したのに、申請から3ヶ月もたって、突然ダメといわれ、書類がそろわなければ
申請は失効だと一方的にとりつく島もありません。せめてもう少しはやく間違いを認めて
くれれば、申請以後、その理事は連絡の取れるところにいたことが何度かあるので、彼がインド政府
から正しい書類を請求する時間がありました。
また、その理事をはずす形で認証してもらえないか聞いてみても、「縦覧してしまったから
できない」とのことで、多少失効までの期間を延長はしてくれるそうですが、それまでに
その理事が書類を提出できないとアウトです。
彼は現在インドで国際交流基金の支援で研究に携わっていて、当協会にも10年近く中心的に
かかわっている重要な人材です。一定期間調査のため山に入り連絡がとれなくなることは
ありますが、定期的に連絡が取れる街に下りてきて、電子メールを通じて理事としての仕事は
こなしています。今回は彼の研究の山場なので、しばらく山から下りてきませんが、東京
都が要求した書類は事前にちゃんと揃えていたので、こんなことになるとは夢にも思いま
でんでした。
東京都は「間違えました。すみません」とはいいますが、間違いに対して何ら補償はしてくれ
ません」このまま失効すると、また16種類?の書類を全部作りなおして再申請し、4ヶ月待つこと
になります。
まったくの「お役所」体質で、これこそがNPOが打破すべき「官高民低」の日本社会の現状を
よく表していると思います。とても納得がいきません。どうしたら良いでしょう?
Re: 無責任なお役所(東京都)に憤慨! 投稿者:後藤  隆 投稿日:2000/01/23(Sun) 01:25:00 No.18
環境NPO研究会の後藤です。

 田中さんのお怒りごもっともです。同様の憤慨は仕事で役所や外郭団体に出入りしていて常に感
じています。
 田中さんwrote;
>まったくの「お役所」体質で、これこそがNPOが打破すべき「官高民低」の日本社会の現状を
>よく表していると思います。とても納得がいきません。どうしたら良いでしょう?
 ホントですね。ただ、東京都は論外としても、やはりNPO法が施行されて間もないので、関係
自治体もそうとう判断に悩む事例を抱えて困っているようですから、認証開始から1年くらいは猶
予期間をもってやり、その間にこうしたコーナーを活用して問題事例を収集・検討して、時期を見
てシーズさんのお力添えで「NPO法施行に伴なう自治体等の認証上の問題点と事例」とか言って
関係官公庁・団体、公益法人に配布したり買ってもらうことで、少しはマシにならないでしょう
か。
 ただ、今回のような悪質な事例は、NPOに熱心な議員に情報提供して、議会で取り上げてもら
うといいかもしれません。
Re: 無責任なお役所(東京都)に憤慨! 投稿者:シーズ事務局(M) 投稿日:2000/01/26(Wed) 17:03:00 No.19
シーズの松原です。


うーん。困りましたねえ。

このような場合にどうなるのか、
知り合いの弁護士さんに相談してみました。
弁護士さんの言うことは以下のとおりです。

***************************

これは、行政手続法第2条6号の行政指導にあたると見ることができます。

「6 行政指導
行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため
特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって
処分に該当しないものをいう。」
(行政手続法第2条6号)

口頭で「コピーでもいい」と言ったので、
これは行政指導における「助言」にあたります。

そうすると、口頭で行ったものなので、行政手続法第35条2項に基づき、その助言の趣旨・内容・責任者を記載した書面の交付を求めることができます。

「第35条(行政指導の方式)
1 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、
当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。
2 行政指導が口頭でなされた場合において、
その相手方から前項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。」(行政手続法第35条)

そこで、まず、この文書を求めてみてはどうでしょうか。
少なくとも、これで指導が間違えたということと、
その責任者が明確化されます。

さらに、補償を求める場合には、国家賠償法第一条によって
過失により損害を与えられたとして、裁判で補償を求めることができます。

「第一条
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、
その職務を行うついて、故意又はその過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」(国家賠償法第一条)

この場合の「損害」とは、不必要にかかった時間や交通費などとなります。
この損害を賠償せよと、東京地裁に訴えることになります。

法的にはこうなります。

しかし、実際に訴訟するとなるとたいへんです。
ただ、行政手続法に基づく部分は、無料なので、
文書をもらうことはできるのではないでしょうか。
もらっても何にもなりませんが、指導や責任の所在が
明確になるのでいいのではないでしょうか。

******************************

とのことでした。

NPO法においては、所轄庁が申請の際に
法律が要求していない内容などを
行政指導の形で要請してくる場合があります。

その場合で心配なときは、
その法的根拠を確認したり、
間違いがないように、
必ず文書を交付してもらうようにしてはいかかでしょうか。
Re: 無責任なお役所(東京都)に憤慨! 投稿者:ヒマラヤ保全協会田中 投稿日:2000/02/03(Thu) 15:23:00 No.20
シーズ事務局をはじめ、いろいろ助言ありがとうございました。東京都との話し合い、
大変でしたが、一段落しそうなのでお知らせします。
例のインド在住理事は、仕方がないので、外国人登録証そのものを航空便で送ってくれ
ました(そんなものを手放して大丈夫か不安でしたが)。しかしそれも「登録証は証
であって証明証ではない」と都に否定されてしましました。こちらの不満は頂点に達しま
したが、急に都の担当者が変わり、「書類が揃うまで待ちましょう」と柔軟な対応に
なってきました。丁度このシーズのHPに投稿をしてコメントをもらっていた時期なの
で、都のお役人もこの質問箱を見たのかもしれません。
しかし、待ってもらっていても、その理事と連絡がとれなければ書類はそろわないので、
どうしたものか思い、ここでもアドバイスをもらったように、知り合いを通じて市民
派の都議会議員に相談しました。そして、議員さんから都に電話をしてもらったところ、
今までだめだった外国人登録証ですが、「それでOK」ということに、一発で決まりました。一件落着、
ホッとしましたが、下には厳しく上には従順な役所の体質を見せつけられ、むなしくも
なりました。こんな日本社会では我々NPOが変えていくことはたくさんありますね。
こういった経験をこれからNPO法人申請を予定している多くの団体に伝えたいと思います。
Re: 無責任なお役所(東京都)に憤慨! 投稿者:シーズ事務局(轟木) 投稿日:2000/02/04(Fri) 16:00:00 No.21
田中さん、

顛末をお知らせくださりありがとうございました。
所轄庁の誤った「助言」から始まった本当にやっかいケースでしたね。お疲れさまでした。

田中さんのおっしゃるように、こうした情報をできるだけ多くの方々と共有したい、という
目的でこのシーズのホームページ「質問箱」をつくっています。

また、いろいろな経験をお寄せくだされば幸いです。

轟木 洋子
Re: 無責任なお役所(東京都)に憤慨! 投稿者:後藤  隆 投稿日:2000/02/05(Sat) 02:48:00 No.22
田中さん

こんにちは。環境NPO研究会の後藤です。

田中さんwrote;
>市民派の都議会議員に相談しました・・議員さんから都に電話をしてもらったところ、今まで
>だめだった外国人登録証ですが「それでOK」ということに一発で決まりました・・・

これで無事申請できるわけですね。「結果オーライ」ということで割り切るしかないでしょう。
でも、ぼくも喜んであんな意見を書いたんじゃないことは理解してください。
一日も早く認可がおりますように。

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