English Page
助成金コンサルティングについて 投稿者:なべ 投稿日:2002/10/24(Thu) 01:21:00 No.1416
ある団体(NPO)が助成金コンサルティングを行い、一定の相談料のほか、成功報酬として助成決定額の5%を求めています。私は、成功報酬というのはNPOにはそぐわないように思うのですが、どうなんでしょうか。こういう料金設定が一般的なのでしょうか。
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2002/10/25(Fri) 10:34:00 No.1417
なべさん、

ご投稿ありがとうございます。

NPOが、助成金コンサルティング業務を行って成功報酬を得ることは、
確かに日本では珍しいことだと思いますが、米国では行われていること
のようです。

また、日本でも特にこれを制限する法律などはありません。料金設定を
助成金決定額の5%とすることも、特に規制するものはないと思います。
5%という率が高いのかどうかについては、よく分からないというのが
正直なところです。

助成金決定額の割合に応じた成功報酬については、まだ日本ではなじみ
がないために、議論が必要なのかもしれません。

シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:なべ 投稿日:2002/10/25(Fri) 22:18:00 No.1418
> また、日本でも特にこれを制限する法律などはありません。

2時間の相談をして500万の補助金を得た、5%が相談料だとなると25万円払わなければならない。相談に要する労力は、補助金の額と関係ないはずなのになぜ獲得に成功した補助金の一定割合が相談料となるのでしょうか。NPOの精神というのは、相談に要する実費・必要経費でやりなさいということでしょう。その相談が主たる業務なら営利行為を禁じたNPOの法律そのものに反しているのではないでしょうか。
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:ひろ 投稿日:2002/10/26(Sat) 00:46:00 No.1419
なべ様

> NPOの精神というのは、相談に要する実費・必要経費でやりなさいということ
> でしょう。その相談が主たる業務なら営利行為を禁じたNPOの法律そのものに
> 反しているのではないでしょうか。

NPO法人は営利事業は駄目ですが収益事業は行ってもよいことになっています。
ということで、「実費・必要経費でやりなさい」ということにはならない筈です。

また、ここで議論されていることは「収益をあげる」事業についての話のように
感じられます。少なくとも「営利行為」とは読み取れません。

用語の使い方をきちんとしないと議論が噛み合わないと思いますが、如何?
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:なべ 投稿日:2002/10/28(Mon) 08:27:00 No.1420
「助成金相談=収益事業」という認識があることはわかりました。

さて、以下のような定款の記載で、「2 前条の目的を達成するため」以下の条項は、その上に記した項を具体的に述べたものか、あるいはそれとは別に行う事業について述べたものか、どちらに解されるのでしょうか。

(特定非営利活動の種類およびその事業の種類)
第4条 本会は、本会の目的を達成するために、次の種類の特定非営利活動を行う。
(1)特定非営利活動促進法第2条別表各号に掲げる活動を行う団体の運営または活動に関する連絡、助言または援助の活動
(2)社会教育の推進を図る活動
(3)----略-----
2 前条の目的を達成するため、本会は次に掲げる事業を行う。
(1)市民活動、市民事業の運営相談事業
(2)市民活動、市民事業にかかわる情報提供事業
(3)----略-----
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:ひろ 投稿日:2002/10/28(Mon) 08:51:00 No.1421
なべ様

> さて、以下のような定款の記載で、「2 前条の目的を達成するため」以下の条項は、
> その上に記した項を具体的に述べたものか、あるいはそれとは別に行う事業について
> 述べたものか、どちらに解されるのでしょうか。

何を問うていらっしゃるのか、この一文ではよくわからないのですが、NPO法上
の収益事業と法人税法上の収益事業のことも混乱されているような気がします。

草の根から、さまざまな活動がうまれている今、出る杭をのばし、応援する発想が
必要だと思いますが、如何?
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:なべ 投稿日:2002/10/28(Mon) 21:25:00 No.1422
特定非営利活動促進法では
1. 特定非営利活動に係わる事業(本来事業)
2. 収益事業
の区別がたてられ2.の事業は1.の事業に支障がない限り行うことの他、会計的にも区別することを規定しています。また、収益事業を行う時には、それを定款に記載する必要があるものと考えられます。

今、問題とするNPO法人は、目的を市民活動の支援事業としており、1596で引用した定款をみても、「助成金相談事業」は、1.の本来事業とみなされるものです。そうであれば、この事業は収益事業であってはならず、その事業の実施においては、必要とされる経費を合理的に算定して、その額が利用者に請求されなければならないものと考えます。

当該NPO法人は、一定の報酬の他に、獲得に成功した助成金の一定割合を求めていますが、相談に要する必要経費・実費と獲得に成功した助成金の額とが連関する合理的な根拠はないように見えるし、場合によっては不当な利得が発生する可能性もあります。

以上のように、私は、法が本来事業と収益事業との区別を求めているのは、本来事業においては収益事業を行うべきではないとの趣旨であり、また営利を目的とするのを禁ずるというのもたんに構成員への分配を禁じるにとどまらず、本来事業の収益事業ではない運用を求めた総括的な規定とみるべきと思います。
したがって、私は「助成金の一定割合を取る」ような相談事業は法の趣旨に反し行われてはならないものと考えるわけです。

宮本さん>議論が錯綜してきたところでしたので、コメントありがたいです。
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:ひろ 投稿日:2002/10/29(Tue) 06:17:00 No.1423
なべ 様

> 以上のように、私は、法が本来事業と収益事業との区別を求めているのは、
> 本来事業においては収益事業を行うべきではないとの趣旨であり、

本来事業を行っていても税法上の収益事業になることはあるんですよ。

> また営利を目的とするのを禁ずるというのもたんに構成員への分配を
> 禁じるにとどまらず、本来事業の収益事業ではない運用を求めた
> 総括的な規定とみるべきと思います。

再度繰り返しますが、NPO法上の収益事業と税法上の収益事業の区別を
はっきりさせて議論をされることを強くお薦めします。

> したがって、私は「助成金の一定割合を取る」ような相談事業は
> 法の趣旨に反し行われてはならないものと考えるわけです。

法の解釈を間違えているだけ、と思えますけど。
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:宮本 投稿日:2002/10/28(Mon) 18:30:00 No.1424
投稿を拝見致しました。
NPOが成功報酬の類を受け取る事が果して、本来事業と言えるのか?
との疑問があると思いますが。
シーズさんは、業務としてされていませんが、ある大きな支援組織(NPO法人)
は各種助成金の申請に当たって、成功報酬とまでは明記されていない様ですがその類の
事を相談事項の流れてとして報酬授受が存在しています。
私も「成功報酬の何%」はNPOに馴染まないと思っていますが、例を挙げらている
・相談業務の範疇から波及したものと考えて、その報酬の何%はその法人の定款上の
「事業に使われるもの」であると解釈しています。
しかし、言われる事は、語句上は「馴染まない」と思います。
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2002/10/29(Tue) 17:26:00 No.1425
なべさん、ひろさん、宮本さん、

質問箱への書き込み、ありがとうございます。
週末をはさみ、また、さまざまなキャンペーンの準備のために、すぐに返事を書くこ
とができないでおりました。

さて、なべさんが書いておられるように、話題となっているNPO法人は、相談事業
を本来事業としているのかもしれません。本来事業で儲けてはいけないのか、という
ところが今、焦点になっているように思います。

なべさんは、本来事業であるから「収益事業であってはならず、その事業の実施にお
いては、必要とされる経費を合理的に算定して、その額が利用者に請求されなければ
ならない」と考えておられるようですが、非営利法人が利益をあげていけない、とい
う法律はありません。

実際に、本来事業で多くの収益をあげて黒字を出し、税金もたくさん納めているNP
O法人もあります。

おそらく、何が「営利」で、何が「非営利」なのか、というところから考えた方が良
いと思います。
まず、「営利」の方ですが、これは、組織を構成する人に対して、儲けた時には利益
を分配するということです。株式会社の場合、株主は会社に投資をします。会社は儲
かると、株主に対して配当金を分配します。これが「営利」ということなのです。
つまり、株式会社は、株主が儲けるための道具であるという考え方です。

一方、「非営利」とは何か、ということになります。非営利の組織は、儲けても良い
のですが、その儲けから生まれた利益を、組織を構成する人たちで分配してはいけな
い、ということです。
例えば、そのNPO法人に寄附をした人や、会員に対して、たくさん利益があがった
からといって、NPO法人はその利益を分配したりはしないのです。あがった利益は、
次の事業にあてていくものです。

ここが「営利」と「非営利」の違いです。

ですから、話題のNPO法人が、その報酬を会員や役員など、仲間で分けているとい
うなら別ですが、利益分を含んだ対価を取ることには法的問題はありません。

あとは、助成金の5%という成功報酬が、一般的に考えてどうか、という問題でしょ
う。これについては、まだあまり例がありませんから、利用する人、個人個人の判断
次第だと思います。「5%も取るのなら、相談には行かない」、と考える人もいるか
もしれません。こういう人が多ければ、結局はそのNPO法人には相談が来なくなる
ように思います。いずれにせよ、NPOのサービスも「商品」ですから、市場の判断
が基本となります。

シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:なべ 投稿日:2002/10/30(Wed) 23:38:00 No.1426
シーズ・轟木>一方、「非営利」とは何か、ということになります。非営利の組織は、儲けても良いのですが、その儲けから生まれた利益を、組織を構成する人たちで分配してはいけない、ということです。

水槽に水を入れてはいけない(営利を目的にしない)ということと、水槽から水を出してはいけない(組織を構成する人たちで分配してはいけない)ということは別の問題です。第3条は、個人のみならず法人の利益を目的とすることも不可としており、いわば水槽に水を貯めることも許していません。
轟木さんの引用のような文脈でいうなら、
特定非営利活動法人の事業には本来事業と収益事業があり、本来事業は非営利事業でなければならないが、本来事業においても費用の見積もり誤差や必要経費に組織自体の拡大再生産の費用を含めることによって剰余が生ずることがあり、それらは収益事業の収益とともに、組織を構成する人たちで分配されてはならず、次期の本来事業にあてられなければならない。
ということになるでしょう。

「利益を目的にしない」ということは、結果的に利益が出なかったからいいとか、大義名分があればよいということではなく、利益がでないようなシステムで運用するということです。例えば薬局の店主が自分は人々の健康増進が目的で利益が目的でないといっても認められないのと同じです。第5条で特に収益事業の要件を述べているのはそれ以外には収益事業は認められないということでしょう。当然に本来事業は収益事業ではないのに、これに営利的な方法が認められるということはないものと思います。
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:TAKA 投稿日:2002/10/31(Thu) 10:58:00 No.1427
NPO法人でボランティアをしているものです。

>水槽に水を入れてはいけない(営利を目的にしない)ということと、水槽から水を
>出してはいけない(組織を構成する人たちで分配してはいけない)ということは
>別の問題です。第3条は、個人のみならず法人の利益を目的とすることも不可として
>おり、いわば水槽に水を貯めることも許していません。

「利益を目的としない」のは、「経費主義」とは違うと思います。
NPO法人としての本来の目的が「利益」意外のところにあることが重要だと
解釈しています。
そもそも「利益」とはある特定の業務や期間において発生するものです。
(パーセンテージが妥当かどうかは別として)この法人も「成功報酬」としていることから
「不成功の場合には報酬は受け取らない」と言うことだと解釈すれば、成功の場合に
経費以上の報酬を受け取るのも問題ないと思うのですが。


「非営利」の場合、利益を構成員に分配できないのですから、その利益の行き先は
事業の拡大・発展のための経費と言うことになり、結果的には広い意味での「経費主義」と
言えないこともないと思います。

>例えば薬局の店主が自分は人々の健康増進が目的で利益が目的でないといっても
>認められないのと同じです。

薬局の場合は、「利益」が個人の所得として「分配」されるからではないでしょうか。

>当然に本来事業は収益事業ではないのに、これに営利的な方法が認められるということは
>ないものと思います。

はっきり言ってしまえば、「非営利活動」と言っても「全く収益が出ない活動=赤字企業」では
組織運営自体破綻します。
「組織」である以上、「組織運営の出来る活動」は当然のことではないでしょうか。

どうも「営利」と「利益」の解釈が混同されている紆余に感じられるのですけれど…。

以上
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:sacchi 投稿日:2002/10/31(Thu) 12:18:00 No.1428
やっぱり、どう考えても、なべさんの解釈は間違っています。

なべさんの解釈だと、NPO法人はいつまでたっても貧乏でいなさい、ということになって
しまい、市民社会への大きな貢献はできなくなります。

NPO法をしっかりと読み直されたらいかがですか?
もし、どうしても自分の意見を通したいなら、NPO法を改正することです。
もちろん、なべさんのように改正したら、市民社会の発展は大きく阻害されますが・・。
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:なべ 投稿日:2002/11/05(Tue) 08:08:00 No.1429
>いずれにせよ、NPOのサービスも「商品」ですから、市場の判断が基本となります。

轟木さんは、価格は市場原理によって決まってよく、「本来事業で多くの収益をあげて黒字を出し」てもよいとの意見を表明されていますが、価格は市場原理によって決めてはならず、多くの収益を出してもいけないとの考えを重ねて表明します。
一般の公益法人と特定非営利活動法人は典拠法が異なりますが、非営利という点では同じであり、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」「運用基準」に示す考え方を参照して運用すべきでしょう。

(基準)
(5)対価を伴う収益事業にあっては、・・当該法人の健全な運営に必要な額以上の利益を生じないようにすること。
(運用指針)
このような場合(会費収入、財産運用収入ではまかないきれない)場合があることを考えると、公益法人が行う本来の公益事業についても、受益者に対して公益事業に要する費用の負担を求めることはやむを得ない。しかしながら、受益者に対して対価を求める場合であっても、その事業の収入、支出は均衡することが望ましく、仮に利益が生じる場合であっても、当該法人の健全な運営に必要な額にとどめなければならない。

TAKAさん>そもそも「利益」とはある特定の業務や期間において発生するものです。

法人組織としては期間的に収支が均衡すればよいかもしれませんが、公益という点では、特定の人に費用の負担が偏るということであってはならず、個々の取引においても収支の均衡を求めていくべきです。
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:kana 投稿日:2002/11/05(Tue) 11:19:00 No.1430
なべさん、

なべ> ・・・価格は市場原理によって決めてはならず、多くの収益を出してもいけないとの考えを重ねて表明します。
なべ> 一般の公益法人と特定非営利活動法人は典拠法が異なりますが、非営利という点では同じであり、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」「運用基準」に示す考え方を参照して運用すべきでしょう。


よく勉強してらっしゃいますねぇ・・・
しかし、非営利だから同じ基準でというのはあまりに乱暴な意見です。
また、根本的なところで間違ってらっしゃるような。

公益法人制度は、そもそもNPO法人制度がその根本原理を批判し、オルタ
ナティブを提示しようとした制度ではありませんか。つまり、「公益」を
官が認定し、官が民の「公益」活動を許可・監督・指導するというシステ
ムです。その全てがよくないとはいいませんが、少なくとも別の選択肢が
絶対に必要で、それが、市民の運動で作ってきたNPO法人制度でした。

その「設立許可及び指導監督基準」「運用基準」をNPO法人に適用しよう
というのは、NPOの自殺行為です。

以上、ごく基本的な点のみ指摘します。


それにしてもこのやりとりは、世間に「よくあるNPOへの誤解」のショウ
ウインドウのようで、とても勉強になります。

しかし、そもそも問題とされているこのNPO法人、そんなに目くじら立て
るほど「儲けて」いるのかなぁ・・・



なべ> (基準)
なべ> (5)対価を伴う収益事業にあっては、・・当該法人の健全な運営に必要な額以上の利益を生じないようにすること。
なべ> (運用指針)
なべ> このような場合(会費収入、財産運用収入ではまかないきれない)場合があることを考えると、公益法人が行う本来の公益事業についても、受益者に対して公益事業に要する費用の負担を求めることはやむを得ない。しかしながら、受益者に対して対価を求める場合であっても、その事業の収入、支出は均衡することが望ましく、仮に利益が生じる場合であっても、当該法人の健全な運営に必要な額にとどめなければならない。
Re: 助成金コンサルティングについて 投稿者:TAKA 投稿日:2002/11/05(Tue) 21:01:00 No.1431
どうも「たまたま儲けてしまった」事実に基づいて極端な議論が
なされているような気がしますね。

>しかし、そもそも問題とされているこのNPO法人、そんなに目くじら立て
>るほど「儲けて」いるのかなぁ・

私も「全体的にはそれほど儲けていない」と思うのですが…。

「成功報酬」は、不成功の場合は「費用を請求しない」と言うことですよね。
>なべさん
助成金の申請は相当の競争率です。いくらその道のプロが指導したからと言っても
必ずしも助成金を手にすることが出来るとは限りません。
この組織の成功率もそれほど高いというわけではないのでは?

もしもこの組織が「成功不成功にかかわらず費用を請求する」としたら、
今度は逆に「助成金も取れなかったのに費用を請求するとはけしからん」なんて
意見が出てきそうだとは思いませんか。

私としては、確実に「現金を手にした」人から重く取る方法が、ただでさえ赤字で
喘いでいる組織から取るよりも、考え方によっては人道的と感じます。
これは、人それぞれの感じ方ですけれどね。

- WebForum -