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外務省のNGO支援無償資金協力について 投稿者:西井和裕 投稿日:2002/11/07(Thu) 22:15:00 No.1487
国際協力に携わるNGOで理事をしています西井といいます。おたずねします。
外務省は今年の4月、国際協力に携わるNGOへの事業資金協力のひとつとして、
「日本NGO支援無償資金協力」という助成金制度を設けました。従来の助成金
と違い、事業費への資金供与に加え、人件費等の管理費も供与の対象としていま
す。この点は評価に値するのですが、供与を受けられる団体の条件として「NP
O法人格を有すること」としています(2002年度は供与額1,000万円以
上の場合法人格が必要、来年度からは額に関わりなく必要となる)。
供与対象団体の事業実施能力や会計能力を確認するために条件を付しているもの
と思いますが、NPO法に詳しい友人の話では、NPO法人格は団体の信頼性を
担保するために設けられたもので、団体の事業の信頼性や会計能力の信頼性を保
証するためではない。したがって、助成金等の供与の条件にNPO法人格を使用
することは法の趣旨に反している、という意見を聞きました。
法の条文にはこのことは明記されていませんが、条文の検討過程でこのような使
われ方がされないよう議論があったとも聞きました。
このような使われ方について、法の趣旨からどのような議論ができるでしょうか。
参考資料なども紹介していただきながら、見解をお聞かせいただきたく思います。
Re: 外務省のNGO支援無償資金協力について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2002/11/21(Thu) 16:06:00 No.1488
西井和裕さん、

ご投稿ありがとうございます。私が、しばらくインフルエンザで臥せっていたことや、
その他の運動展開のために、回答が遅くなりましたこと、お詫びいたします。

さて、西井さんが書いていらっしゃるように、NPO法がつくられる過程の1998年
の参議院労働・社会政策委員会において、お尋ねの件が議論されています。

外務省のNGO事業補助金制度については、吉川春子議員(共産党)の質問に答えて、
外務省の目賀田周一郎氏が
「(略)具体的な補助金案件の採択に際しましては、申請団体の事業遂行能力、それか
ら申請された事業の内容等を精査して実施してきおりまして、補助金の交付の要件とし
て法人格を有する団体と有しない団体との区別を行うということは考えてはおりません」
と答えています。

また、それに続いて郵政省の高橋守和氏は、国際ボランティア貯金の配分に関して
「(略)援助活動を遂行する能力のある営利を目的としない民間の団体でございました
ら、公益法人、任意団体を問わず配分対象になる資格があるということになっておりま
して、今のところ、将来的にこの点について変更する必要があるとは考えておりません」
と答えています。

この議論の記録は、シーズのブックレット・シリーズNO.2「解説・NPO法案 その
経緯と争点」に掲載していますので、よろしければお求めください。

今年の4月に始まったという「日本NGO支援無償資金協力」については知識がありま
せんが、契約上、法人格が必要ということなのでしょうか。

ちなみに、シーズも法人格を持たないNPOです。

シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 外務省のNGO支援無償資金協力について 投稿者:西井和裕 投稿日:2003/02/09(Sun) 14:12:00 No.1489
轟さま

ご回答ありがとうございました。しばらくそちらのHPにアクセスする機会を逃していまして、
回答を読むのが今日(03.2.9)になってしまいました。
外務省のNGO支援無償資金協力の実施要領では、(2)供与額に係る条件の項に、「(イ)
1000万円以上の資金供与は、法人格(公益法人、NPO法人等)を有するNGOに限り申
請することができる。(なお、平成15年度以降はすべての資金供与の対象を法人格を有す
るNGOに限定する予定)。」とあります。
法案審議過程での議論からすると、やはりこの規定はNPO法の趣旨から逸脱した法人格
の使い方のように思われますが、いかがでしょうか。
返答が遅くなり恐縮ですが、ご意見をいただけるとありがたいです。

西井和裕
Re: 外務省のNGO支援無償資金協力について 投稿者:寄附代理人 投稿日:2003/02/10(Mon) 12:35:00 No.1490
> 法案審議過程での議論からすると、やはりこの規定はNPO法の趣旨から逸脱した法人格
> の使い方のように思われますが、いかがでしょうか。

寄附なり援助を受けようと思ったら,NPO法人になるのは当然の
責務ではないでしょうか。NPO法人になるのにそんなに大変な労
力を要する訳でもないし,任意団体よりNPO法人は多少は信用性
があるのですから,同じ事業で申請があった場合,NPO法人が優
先助成されるのは,助成や寄附をする側からすれば当然のことです。
逸脱,云々なんて文句を言っても,現実は上記のとおりです。
シーズのように,実績があって,いずれは解散を考えている団体は
別格として,
助成を受けようとして,何故NPO法人になろうとしないのか,む
しろそれが不思議です。

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