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NPO法人への入会条件 投稿者:NPO支援団体 投稿日:2003/12/14(Sun) 23:38:00 No.3030
NPO法人への入会条件として「心身ともに健康であること」と規定している団体を見つけました。これは、NPO法の「社員の資格の得喪に関して不当な条件を付さない」
に該当しないでしょうか。例えばなんでもできるけどハンセン病の後遺症があったら入会できないことになってしまいます。その団体には意図を伝えましたが、
改善命令や従わない場合の法人資格の剥奪はできますか。
Re: NPO法人への入会条件 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2003/12/22(Mon) 11:37:00 No.3031
NPO支援団体さん

「心身ともに健康であること」という規定が、社員の入会についてのものか、その他
の会員についてのものか分かりかねますが、もし社員の入会についての条件であると
すれば、NPO法第2条第2項1のイの「社員の資格の得喪に関して、不当な条件を
付さないこと」という規定に触れる可能性があります。

何が不当な条件であるかは、その団体の目的と関係するもので、たとえば医療現場の
向上を目指すというNPO法人が、社員の条件に「医療従事者に限る」とするのであ
れば、これは不当とは考えられません。

お尋ねの件については、たとえばそのNPO法人の目的が「健康な心身を誇示するこ
とによって、市民の健康への理解を促す」というものであれば別ですが、こういう目
的自体が不特定多数の利益の増進に寄与するか疑問ですし、私自身は、「心身ともに
健康であること」という条件は、そもそも差別的な条件であると思います。

ただ、NPO法では、NPO法人の認証時においては「所轄庁は、・・・・・に適合
すると認めるときは」認証しなければならない、となっていますし、監督に関しても
「所轄庁は、・・・に違反する疑いがあると認められる」相当な理由があるときに行
えるなど、最終的には所轄庁がどう「認める」か、ということにかかっています。
よって、NPO支援団体さんが、法人認証の取り消しがなされるべきだと考えたとし
ても、最終的には所轄庁がどう判断するかにかかっているといえます。

なお、この件について少し気になったので、弁護士でシーズ運営委員の浅野晋さんに
も聞いてみました。浅野さんからは、次のようなコメントをいただきましたので、こ
れも参考になさってみてください。

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「まず、NPO法の解釈からすると、『心身ともに健康であること』というのが社員
の資格の得喪に関する条件であるとすると、やはりNPO法第2条第2項1のイに抵
触すると思われます。
それは、『心身ともに健康であること』という条件が、NPO団体の目的の達成とは
まったく無関係と考えられるからです。

従って、例えば『社員による格闘技の修練の普及を図ることにより人々の健康の増進
を図ることを目的とする』団体が『格闘技の修練に耐えることの出来る健康状態であ
ること』ということを社員の資格の得喪の条件にすることは、その団体の目的達成の
ために必要な条件と思われますから、NPO法第2条第2項1のイにいう不当な条件
とはいえないと解されます。

この団体が既に認証済みの団体であれば、それだけで『改善命令→認証取り消し』と
いうことはないと思われますが、具体的にこの条件に合致しないということで入会拒
絶をした場合には、そのことについて改善命令ということは有りうると思われます。」
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シーズ事務局・轟木 洋子

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