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第1期の事業報告書等の提出 投稿者:じゆう 投稿日:2000/01/29(Sat) 13:16:00 No.44
早いもので、私たちのNPO法人もこの3月で第1期が終わりその事業報告等の提出書類の作成準
備に入ろうとしております。

初めてですので、認証が早い地方の提出書類を参考にしようと思い調べてみました。

ところが意外なことで、少し驚いているのところです。
平成10年の12月に申請した団体で、その定款の附則には「この法人の事業年度は○○条の規
定にかかわらず法人設立の日から平成11年3月31日までとする」とされております。

ところが県の認証日が、その事業年度期日以降の平成11年3月31日とそれ以降で、登記日も
平成11年4月以降でありました。
この場合は定款上の附記の期間の事業報告書等の文言は空文になりますし、添付書類の「設立年
度の事業年度を記載した書類」とも異なるし、これでは事業報告等の閲覧請求にも答えられない
と思います。
1)この様な事例は、認証担当の県側に、又は団体側どちらに落ち度がありますか?

更に教えてください。
仮に附則に事業年度を平成12年3月31日とした場合で
県の認証が平成12年2月3日、登記日は平成12年2月5日では
事業報告は平成12年2月5日から平成12年3月31日迄を、3ヶ月以内のを平成12年6月
31日迄に提出しなければいけないと思います。

2)これでは期間があまりにも少ないし、事務が繁雑になるとして、事業報告書等をしなかった
場合にはどんな罰則がありますか?
3)またその罰則後にその事業報告書等は今度は何時までに出せばよいでしょうか?

また上記の様なケースの場合に急遽、平成平成12年2月10日に
添付書類の「設立当初の事業年度」を平成13年3月31日に変更
定款の附則を平成13年3月31日と訂正書き換えたいと思います。

4)申請時の附則の部分の定款変更と、申請時の添付書類の変更ですからこれはどうすればいい
のでしょうか。
Re: 第1期の事業報告書等の提出 投稿者:シーズ事務局(轟木) 投稿日:2000/02/04(Fri) 13:40:00 No.45
 じゆうさん、こんにちは。ご投稿ありがとうございます。

 NPO法も法施行からまだ1年と少しですので、実務面でいろいろなことが起こっているようです
ね。ご質問に番号がふってありましたので、その順にお答えしようと思います。

1)「認証担当の県側と団体側のどちらに落ち度があるか?」

 これは、大変難しい問題で、「落ち度」ということになると、答えに窮してしまいます。

 NPO法(正確には特定非営利活動促進法)の第12条によると、所轄庁は設立の手続き並びに申
請書及び定款の内容が法令の規定に適合していた場合で、かつこの第12条の2項以降に適合す
ると「認める」ときは、その設立を認証しなければならないことになっています。

 ですので、このケースで所轄庁が申請書類が法令等に適合すると「認めて」認証したということ
なら「落ち度」はないと言えるでしょう。

(※「適合する時に認証する」ということと「適合すると認めて認証する」ということには違い
があって、後者の方は所轄庁の担当者が「認めれば」良いということになります) 

 一方、団体側は、認証後に事業年度が定款にあわなくなってしまった訳ですので、定款を変更し
ない場合にはリスクを負うことになります。第41条には、定款に違反する疑いがあると認めら
れる相当な理由があるときには、所轄庁はNPO法人に「報告をさせ」たり、「事務所その他の施
設に立ち入り(中略)検査させることができる」と書いてあります。また、第三者が情報開示を
求めて定款を見たときに「うかつな団体」だと思うことがあるかもしれません。

 以上のように、「落ち度」というよりは、団体側がリスクを負った状態であり、今後どうする
かが問題だということでしょう。これを解決する合理的方法は定款変更であるということになり
ます。


2)「事業報告をしなかった場合の罰則」

 NPO法では、そもそも「事業報告書等の備置き等及び閲覧」が求められています。
第28条では、まず事業報告書等いくつかの書類を「作成」し「備置き」、また社員(正会員)
その他の利害関係人からそれらの書類の閲覧請求があった場合、正当な理由がある場合を除いて、
「閲覧」させなければならないことになっています。

 次に、第29条では、所轄庁に対し、毎年一回これらの「事業報告書などの提出」をしなければ
ならない、と書かれてあります。

 これら28条と29条に違反した場合の罰則は、第49条第4項と第5項にそれぞれ書かれてお
り、「理事、監事又は清算人は、20万円以下の過料に処する」となっています。

(※ちなみに、法人認証後の登記を怠った場合や、定款の変更届け出をしなかった場合など、他
の理由でも20万円以下の過料と処せられることがあります。また、NPO法人以外の者が、その
名称中に「特定非営利活動法人」またはこれにまぎらわしい文字を用いた場合も、10万円以下
の過料となります。詳しくは、シーズのブックレットシリーズNO.5「NPO法人ハンドブック」
40ページからをご参照ください)

 お尋ねのケースで、もし報告書を作成していなくて、かつ提出していない場合は、これら28
条と29条の2つに違反していることになります。


3)「罰則後にその事業報告書等は今度はいつまでに出せばよいか」

 これについては「すぐに出してください」というしかありません。もし出さない場合は、上記
の1)でお答えしたように、NPO法41条によって「定款に違反する疑いがあると認められる相
当な理由があるとき」には、「報告」が求められたり「検査」を受けたりすることがあるかもし
れません。

 また、NPO法第42条では、所轄庁は「定款に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認
めるときは」、「期限を定めて、その改善のために必要な措置を採るべきことを命ずることがで
きる」となっています。

 さらに第43条では、上記の改善命令に違反した場合で、他の方法によっても監督の目的を達
することができないときには、所轄庁はその認証を取り消すこともできることとなっています。

 また、この第43条には、3年以上にわたって事業報告書等、役員名簿など又は定款などの提
出を行わないときは、法人の設立の認証を取り消すことができる、とあります。これは、3年以
上にわたってこれらの書類が提出されないときは、「休眠法人」と見なされて認証が取り消され
ることがあるということです。


4)「認証と登記後に、定款の附則に書いた最初の事業年度を変更したい」

 これは定款変更の手続きとなります。総会で定款変更の手続きをして、所轄庁に新しい定款の
再認証をしてもらうということになります。
Re: 参考までに追加情報 投稿者:シーズ事務局(轟木) 投稿日:2000/02/04(Fri) 16:42:00 No.46
じゆうさん、

 前回お答えしたことに、少し付け足します。

 ご質問の2)への答えで、事業報告書を「作成」せず、また「提出」もしなかった場合に、
第28条と第29条の両方に違反することになることはすでにお伝えしました。
そして、これらの違反が「理事、監事又は清算人は、20万円以下の過料に処する」という
第49条の第4項と第5項の対象になるのですが、弁護士の方に聞いたところ、この場合2つ
に違反している訳なので、「20万円以下の過料」もこれら2つにそれぞれにかかってくるそ
うです。

 つまり、「作成」せず「提出」もしなかった場合、最高で40万円の過料となる可能性もあ
る、ということでした。

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