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ボランティア vs NPO 投稿者: 投稿日:2000/01/06(Thu) 06:25:00 No.7
そもそもの話になりますが。

ボランティア活動と NPO の活動の違いは、どう考えたらいいのでしょう。
NPO法なるものが存在しない場合と存在する場合で、この違いはどのような
形で現れるのでしょう。
Re: ボランティア vs NPO 投稿者:後藤  隆 投稿日:2000/01/09(Sun) 03:11:00 No.8
丹さんへ

後藤@環境NPO研究会です。
ぼくがシーズブックレット他で勉強した理解によれば、ボランティアが、社
会奉仕のために無償で労働力を提供する行為、または個人を指す言葉であ
るのに対して、NPOは、まさにその名の通り「組織化」された団体を指
す概念であるということでしょうか。端的に言えば、ボランティアベースで
活動を続ける個人が、社会的な目的・ビジョン・ミッションを、より効果的
に達成するために組織化されたものがNPOなのでは。

丹さん>NPO法なるものが存在しない場合と存在する場合で、この違いは
丹さん>どのような形で現れるのでしょう・・

このご質問は1)NPO法が理想的な形(税制優遇含む)で存在する場合と、
2)NPO法が現行のままの不十分な形(税制優遇無し)で存在する場合と
で、答えが変わってくると思います。

前者の場合では、ボランティアベースで継続的かつ効果的な活動を続け、実
績があっても得られなかったさまざまな優遇が、NPO法人格の取得によっ
て得られますから、同じ公益性の高い活動をするにしても、その範囲や経費
などは大きく違ってくると思います。
しかし、後者の場合、つまり今のままのNPO法の下では、目に見える、もっ
と野暮な言い方をすると「お金の上での」違いはたいして現れてこないでしょ
う。例えば、社会的な信用が得られやすいとか、事務所を借りやすい、契約の
主体になりやすいとかの特典はあっても、やはり税制優遇とか、また、将来の
課題ですが郵便料金の優遇や事務所代の減免とかがないと、ボランタリー的集
まりの次元との違いが実感されないでしょう。

もっと本質的に言えば、NPO法の登場によって、従来やや不明確だったボラ
ンティア→組織化=NGOという図式が、外から見て明瞭になったという違い
もあるとは思います。でも、これは所詮「役所」や「産業界」「政治家」とか
が、外から市民活動、ボランティア、NGO、NPOを「判断」したり「規定
」したりする際の方便としては便利かもしれませんが、もともとNPO法は「
市民活動促進法」であるべきものなのですから、本来、法人格の有無にかかわ
らず、個人は個人として、組織は組織として自由に、時には補完しながら活動
していくことが理想ではないでしょうか。組織になるとやりにくいことって、
あると思いませんか。

ではまた。
Re: ボランティア vs NPO 投稿者:シーズ事務局(M) 投稿日:2000/01/14(Fri) 11:11:00 No.9
ときどき「あの団体は、NPOのくせにお金を稼いでいるのはおかしい」とか、
「ボランティアでやっているのだから収益事業を行わないのが当たり前」
という言葉を聞くことがあります。
これは、ボランティア活動の特徴である「無報酬性」と、
NPO活動の特徴である「非営利性」とを混同しているために起こる誤解です。

非営利性というのは、団体としては、活動経費や管理費などを稼ぐけれど、
そこで余ったお金(利益)を仲間で分配しない(個人の懐にいれない)で、
次の活動に使うことを意味しています。
一方、無報酬性というのは、個人が働いたことの対価としてお金(報酬)を
もらわないことを意味しています。

ボランティアというのは、「個人」に注目した言葉であって、
NPOというのは「団体」に注目した言葉であるということです。

この場合、NPOが職員を雇っている場合の給料というのは、
団体の経費であって、利益の分配には当たりません。
NPOにとっては、団体としてお金を稼ぎ、その団体のなかに報酬をもらう職員と、
報酬をもらわないボランティアがいることはむしろ当然の姿だといえます。
また、ボランティアとNPOでは、ボランティアが活動に参加する側であるのに対して、
NPOはボランティアの参加する場をつくる、参加を求める側であるということも違いでしょう。

これらのことから、単なるボランティアの集まりとNPOでは、
その組織のあり方、マネジメントなどが大きく異なってきます。
NPOにおいては、その目的達成と、組織の維持・管理・発展のために、
資金と人材を広く調達し、人を雇うこともあれば、企業や行政と契約を結んだり、
取引を行ったりしていかなければなりません。

このように団体が、団体として継続的に社会関係を作っていかなければならないとき、
つまり、今日の社会は、社会関係は契約関係として現れますから、
団体としての契約の主体となれる必要が生じるわけです。

NPO法というのは、そのような団体が
団体として社会関係を築いていけるような法的地位を
団体に与える制度であるといえます。

NPO法というのは、また団体の内部に関して、
目的や責任の在り方を明確にするという意味をもっています。
定款で目的を定め、組織を定義する必要があります。

ボランティア活動なら、簡単に目的を変えることもできますが、
NPO法人なら、目的を変えるには、法的手続が必要となります。

法人となるとやりにくいことも出てきます。
しかし、それが法人の信用にもなるわけです。

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