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社員規定と法人税法の収益事業について 投稿者:そん 投稿日:2002/01/28(Mon) 16:25:00 No.796
はじめまして。
私が現在所属する団体で、NPO法人格の取得を考えていますが、そのことで、
現在悩んでいる問題があり質問いたします。

ちなみに団体は、在日コリアンの三・四世を中心とする若者を会員とし、活動内容としては、
在日コリアン青年への「居場所」提供(仕事終了後のフリースクール的なイメージでしょうか?)
、在日コリアン青年のアイデンティティーの育成、日韓市民交流の推進、国際協力・支援活動
、在日コリアンの人権擁護などです。

1:会の性格上、在日コリアンによる在日コリアンのための運営を理念にしています。
正会員を「35歳までの在日コリアン青年」としています。国籍は日本国籍保持者でもいいので
すが、本人がルーツが朝鮮半島にあると自覚していることが「在日コリアン」であることの規
定としています。この会員規定は、「社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと」
に該当する可能性はあるでしょうか?

2:事業として、先に書いたような事業を行っているのですが、在日コリアン青年のアイデン
ティティーの育成のために、1ヶ月にに4回ほど、韓国語教室、韓国文化教室、各種セミナーなど
を開催しています。基本的にボランティアによる運営で、参加費は無料にしています。

ただ、会自身が先ほど書いたような様々な活動をしており、事務所と専従者も抱えていますので
、その会トータルの活動への会費と言うことで、月3,000円の会費を集めています。

以前、このページの質問に対する答えの中で、

「会費や寄付金は、その収益事業の対価性のある会費や収益事業に充てるための寄付金であ
れば課税される収入となりますが、そうでなければ課税されることはありません。」
とありました。
そこで、

私たちのケースでは
在日コリアン青年に対して行う各種講座が、
法人税法上の収益事業にあたるかどうかが心配です。可能性があるとしたら、
技芸教授業なのでしょうが、当てはまるのでしょうか?
あわせて、当てはまった場合、私たちの集めている会費が、
各種講座の対価性のある会費と見られる可能性はあるでしょうか?

非常に申し訳ないのですが、教えていただけないでしょうか?
Re: 社員規定と法人税法の収益事業について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2002/01/29(Tue) 15:46:00 No.797
そんさん、

ご投稿ありがとうございました。

まず、第一のご質問は、「社員の資格の得喪に、不当な条件を付さない」としたNPO法
第2条についてですね。

この条文の「不当な条件」については、NPO法を作る国会審議の際、その答弁において
「活動の目的に対して合理的な理由ならいい。合理的でないものは不当である。それはコ
モンセンスです。つまり、社会通念ですよ」という説明がなされています。ところが、こ
のコモンセンスとか社会通念というのがあいまいで、迷う方々が多いようです。

これについては、(1)そのような条件の付加そのものが社会通念上許容されるものであ
るかどうか、(2)活動目的や事業運営との関係で、そのような条件の付加に合理性が認
められるかどうか、というのがポイントになります。

例えば医療の推進の活動を目的とする団体が、医師や看護婦など医療の専門資格を有する
ことを社員資格にあげることは、不当な条件にはあたらない、と解釈されています。これ
は、結局はこうした資格を持つ社員が「不特定多数のものの利益の増進」(NPO法第2条)
のために働かれるからということだと思います。

よって、そんさんの団体の「目的」に鑑みて、なぜ社員(正会員)を「在日コリアン青年」
だけにするのか、またなぜ「35歳」なのか、またどのように不特定多数の利益の増進に
つながるかについて所轄庁から説明を求められた時に、「合理的に」説明できる必要があ
ります。認証、不認証の判断は、NPO法第12条によって「所轄庁は、(中略)認証の
申請が(中略)各号に適合すると認めるときは、その設立を認証しなければならない」と
されており、所轄庁が、法律に適合するか否かを認めたり認めなかったりすることになっ
ています。よって、所轄庁に相談してみるのも方法かを思います。

次に、韓国語教室、韓国文化教室、各種セミナーなどについてですが、これらは「無料」
で行われるということですので、原則的に非課税です。会員の方たち全員が参加されると
いうことではないのでしょうし、また、もし会員外の方も参加できるものであれば、非課
税ということはさらにはっきりします。

ちなみに、税法上の技芸教授業とは何かについて少し説明しておきます。これには、
(1)技芸の教授、(2)学力の教授、(3)公開模擬学力試験が含まれていて、
(1)の技芸は、次のものをいいます。

洋裁、和裁、着物気付け、編物、手芸、料理、利用、美容、茶道、生花、演劇、舞踊、
舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン(レタリング含む)、自動車操縦、
小型船舶の操縦

また、学力の教授とは入学試験に備えたり、学校教育の補習のために行うもので、塾
や予備校などのことです。

技芸とは、上に掲げたものの限定列挙ですから、たとえ有料で韓国語教室を運営したと
しても、技芸教授にはあてはまらず非課税です。韓国文化教室や、各種セミナーを有料で
行う場合については、その内容がわかりかねますので、なんとも言えません。

赤塚さん、2番目の質問について、何か補足などありましたらお願いいたします。

シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 社員規定と法人税法の収益事業について 投稿者:そん 投稿日:2002/02/01(Fri) 19:34:00 No.798
わかりやすいご説明ありがとうございました。
また、わからない点がありましたら、質問するかもしれませんが、
よろしくお願いします。

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