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記事No 111
件名 Re: 税法上の収益事業の要件としての「継続性」について。
投稿日 : 2000/06/04(Sun) 20:24:00
投稿者 公認会計士赤塚和俊
参照先
鈴木さん、私の本を読んでいただきありがとうございます。
さて、お尋ねの件ですが、収益事業の定義のうち、継続性の
判定は意外と難しいものです。「NPO法人の税務」をお持ち
でしたら26ページを開いていただきたいのですが、そこに
「継続的かどうかの判断には準備期間も含むこととされてい
る。出版物の刊行のような事業は、一回限りであっても通常
そのためにはある程度の期間をかけていると考えられるので
収益事業とされる。」と、書いています。
出版と同じで請負の場合も1日で終わるとは到底思えません
(実際11月の契約で1月末の予定が6月までかかるわけで
す)。とすれば、当然収益事業と判断されます。
判断が難しいというのは、一方でバザーなどは年一、二回程
度では収益事業とは言えないという矛盾する通達があるから
です。誰が考えてもバザーが何の準備もなしに当日だけで実
行できるわけがありません。
一応、バザーの回数をカウントする場合には数日間に渡るの
であればそれは一回とは言えず、1日を一回と数えることに
なっていますが、それにしても準備日数まではカウントしな
いことになっています。
明らかなのは、税法とその解釈である通達のいい加減さです。
要は準備期間を含むとは言ってもそれは程度問題であり、典
型的なケース以外は現場の判断に委ねられているということ
です。
ただ、そうは言っても鈴木さんのケースはたとえ一回の契約
でも仕事そのものは数ヶ月を要することは明らかなので、単
発ならばいいがという税務署の発言は、通達を見落としたか
勘違いしたとしか思えません。
税務署が好意的に解釈してくれるのは結構なのですが、その
根拠がはっきりしないのでは私たちも混乱するばかりです。
また、好意的なばかりならいいのですが、一方では明らかに
収益事業ではないものを税務署が収益事業と主張している例
も耳にします。
鈴木さんの場合は残念ながら客観的に見ても収益事業ですが、
当面、税務署の言い分を鵜呑みにはしない方がいいと思いま
す。

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