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記事No 114
件名 Re: 特定公益増進法人
投稿日 : 2000/06/06(Tue) 01:03:00
投稿者 河野康志
参照先
特定公益増進法人(略称:特増)について、自分の知っている範囲の情報を掲載します。

特定公益増進法人とは公共法人、公益法人等その他特別の法律によって設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものをいい(法人税法37条3項3号)、具体的には法人税法施行令第77条第1項及び所得税法施行令第217条第1項に列挙されている。
特定公益増進法人に対する寄付金は、個人の場合は特定寄付金として、一定金額まで寄付金控除が認められ、法人の場合は、一般の寄付金の損金算入限度額と同額まで別枠で損金算入が認められる。

特定公益増進法人の認定要件
 民法法人が特定公益増進法人として認定されるための要件は、法人税法施行令第77条第1項第3号に規定されているが、その概略は、次のとおりである。
 まず、その法人の主たる目的が次のイからムまでのものであって、①その業務の運営組織及び経理が適正であると認められること ②相当と認められる業績が持続できること ③受け入れた寄付金lこよりその役員又は使用人が特別の利益を受けないこと ④その他適正な運営がされていること、について主務大臣(又は大蔵省令で定める者)の認定を受けることが要件であり、期間は2年(ハの法人のみ5年)である。
 イ 科学技術の試験研究 ロ 科学技術試験研究の助成 ハ 科学技術知識の普及 ニ 人文科学の助成 ホ 学校教育の助成 へ 学資支給貸与、寄宿舎の設置運営 卜 大学の教員、学生の宿泊研修施設の設置運営 チ 青少年に対する社会教育 リ 芸術の普及向上 ヌ 文化財、歴史的風土の保存活用 ル 経済協力 ヲ 経済協力(公共的施設の管理運営) ワ 海外における日本理解の増進 カ 海外における日本理解の増進に対する助成 ヨ 更生保護事業 タ 受刑者等の面接指導 レ 貧困者の訴訟援助 ソ 野生動植物の保護繁殖 ツ 自然環境の保存活用 ネ 緑化事業の推進 ナ 薬物乱用防止、青少年非行防止 ラ 水難に係わる人命救済 ム 以上の業務のうち、2以上の業務を一体のものとして行うこと

※特定公益増進法人の内訳
特殊法人(永久資格)                 25法人
特定された民法法人(永久資格)            65法人
特定目的の事業を行う民法法人(原則2年の資格)   927法人(民法法人の3%)
私立学校法第3条で設立の学校法人など(永久資格)1,073法人
社会福祉法人(永久資格)           16,005法人
更生保護法人(永久資格)              165法人
                      計18,170法人


特増の認定用件からすると、公益法人(財団法人、社団法人等)のなかから、特に公益性の高い法人が厳しい認定用件をへて、特増となることがあります。
しかし、なかなかの関門のようです。ただ、NPO法人は主務官庁制度になっていない(所轄庁制度)ため、特増の認定を受けることは無理のようです。
特増になると、通常の公益法人よりも高い税制上の優遇措置をうけることとなります。


NPO法においては法案成立時に税制優遇が見送られましたが、その反面、比較的スムーズな(なかば準則に近い)認証という形で法人格取得が可能となりました。
一方、特増は、この認定を一旦受けた場合、相当の税制優遇がなされることとなります。
特増の認定をうけられるのは、上記の通り、社会福祉法人など永久資格として規定されているもの以外には、特定目的の事業を行う民法法人(原則2年の資格)のみであり、あらかじめ相当厳しい審査を受けます。
その認定数も常に民法法人の3%という数が保たれており、大蔵省による数の調整がなされている状況です
また、この特増制度については、その認定基準が明確にされておらず、大蔵省と所轄庁との間で調整されており、情報公開されていないところに問題があるようです。

この特増制度はいわゆる公益法人制度の上に覆いかぶさる税制優遇制度です。
一旦、特増となれば相当の税制優遇が受けられる訳ですので、それなりの厳しい認定審査がなされています。

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