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記事No 116
件名 Re: 特定公益増進法人
投稿日 : 2000/06/14(Wed) 09:17:00
投稿者 河野康志
参照先
昨年、いろんな文献から引用し、まとめたものをアップします。
ただし、数値は既に古いものであり、最新の状況とは異なっていることをお含み置き下さい。
損金算入については、法制度が改正されており、選挙関係の企業からの寄付金ができなくなったり、状況が以前と異なってきています。

★日本の寄附税制★
日本においては、税務統計によると1994年の寄付総額は年間5,090億円で、その内訳は企業寄付が4,770億円、個人寄付が320億円となっている。
これはGDPの僅か0.1%にすぎない結果となっている。
この個人からの寄付額は税務申告がなされた中の所得控除の対象(年間1万円を超えると所得控除)となったものだけである。
個人の小口寄付総額は約1,800億円で、1世帯あたりの平均額は4,260円となっている。
つまり、個人による寄付総額のうち所得控除の対象となる部分に関しては全体の2割程度に過ぎず、残りの8割は無数の小口寄付によるものである。
1995年の法人企業の寄付支出額は法人所得の1.4%にあたる4,530億円であった。

寄付は税制上の取扱いから特定寄付金と一般寄付寄付金の大きく2つに分けられる。
特定寄付金とは国や公共団体に対する寄付金、指定寄付金、特定公益増進法人に対する寄付金のことを指す。
具体的に指定寄付金とは公益の増進に対する寄付で、緊急性の高い事業に用いられるもので日本赤十字社や共同募金への寄付などもこれに含まれる。
特定公益増進法人とは国際交流基金、日本赤十字社などの特殊法人や日本オリンピック委員会などの民法法人といったような公益増進に著しく関与する法人のことを示す。

このように特定寄付金とは公共性の高い寄付金のことであり、一般寄付金とは公益的な寄付に限定されずに指定寄付金以外の寄付金のことで、政治献金なども含めて幅広い対象を含んでいる。
1995年の法人寄付金の使途は、全体の61%にあたる2,757億円がこの一般寄付金で、公益性の高い指定寄付金へは39%にすぎなかった。

このように我が国では、個人や企業による寄付活動が諸外国に比べ盛んとはいえない。
これには日本の税制の在り方が大きく影響している。
例えば企業が国や公共団体に対する寄付金や指定寄付金を支出した場合は全額損金算入ができ、個人が支出する場合は寄付金のうち1万円を超えたものにつき所得の25%まで所得控除できるだけである。
また一般寄付金に関しては企業が支出した場合は一定の算式にもとづいて損金算入ができるが、個人の支出に対してはいっさい所得控除は認められていない。

このように個人と法人に対する税制優遇制度には相当な格差があり、このことが個人の公益的な寄付金の支出の障害となっているともいえる。
また、法人の一般寄付金への支出には公益目的でなく(政治献金等)とも損金算入が認められているなど、日本の寄付税制にはまだまだ問題点がある。

山口NPOサポートネットワーク 世話人 河野康志

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