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記事No 119
件名 Re: NPOの地縁性について
投稿日 : 2000/06/16(Fri) 15:56:00
投稿者 シーズ・轟木 洋子
参照先
伊藤さん、ご投稿ありがとうございます。

伊藤さんのご質問は、団体の活動対象としている人たちが、ある限定された地域に住んでいる
場合、その認証される地域の範囲はどこまでか、ということでしょうか。

NPO法には、特に「地域限定」の考え方というのはありません。実際に、全国を活動対象にし
ていたり、海外で活動していたりするNPO法人もたくさんありますし、反対にある一定の地域
のまちづくりなどを目的としているNPO法人もあります。

ただし、NPO法の第2条では「特定非営利活動」の定義のひとつに、「不特定かつ多数のもの
の利益の増進に寄与すること」としています。ここで時々議論になるのが、「不特定かつ多数の
ものの利益」とは何かいうことです。

日本評論社から発行されている「NPO法コンメンタール」によれば、「いわゆる『公益』と同
義語」で、原則的に「共益」ではないとされています。

そこで、NPO法人の活動対象がある一定の地域に限定されている場合、その限定がこの「不特
定多数」という条件に沿っているかどうかが問題になります。あまり狭いと「特定の人」を対象
とした活動になってしまうからです。

「NPO法コンメンタール」では、「まず、最小行政区画である区市町村の単位までならば、
『不特定多数』の範囲に入ると考えられてよいだろう」と述べています。問題は、この最小行政
区画より狭い範囲の対象者への活動の場合ですが、これは、その団体の目的や、行う事業の内容
によって判断することとなります。

例えば、狭く限定された地域で活動している場合でも、「新宿区歌舞伎町の安全を守る会」のよ
うな場合は、さまざまな地域からの多くの人が行き来する街での活動なので「不特定かつ多数の
ものの利益」と考えることができるでしょう。

しかし、例えば「世田谷区○○1丁目を住み良くする会」のような場合は、その団体が「目的」
において「不特定多数のものの利益」のための活動で、社会的利益につながるということを明確
にしないと、そこに住んでいる人だけのためのいわゆる「共益」のための活動だと捉えられてし
まうかもしれません。

以上のように、活動する物理的・地域的範囲が限定されるというよりも、その団体の活動が、
どのように「不特定多数のものの利益に寄与」するかが問われているということです。

シーズ事務局・轟木 洋子

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