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記事No 2344
件名 Re: 改正NPO法の予算準拠の規定削除の解釈に誤りが?
投稿日 : 2003/06/26(Thu) 19:02:00
投稿者 シーズ
参照先
fullsunさん、

ご投稿ありがとうございます。
シーズのホームページ上での説明と、内閣府の説明には、矛盾はありません。どこが
矛盾とお考えになったか不明です。

そもそも、NPOの活動の特徴には、迅速性、起動力、柔軟性などが含まれています。
阪神・淡路大震災の時、既存の社会福祉法人、社団法人、財団法人は、迅速に動くこ
とができませんでした。定款や寄附行為(財団法人の規則を寄附行為を呼びます)、
また監督官庁による監督が厳しく、すぐに動けませんでした。(ちょうど私もその時に
財団法人に勤務していましたが、団体としてわずかな寄附をすることさえできませんで
した。)

しかし、予算を立てた時と、その後に社会的事情が変わるのはよくあることです。
○○費に余裕があり、一方で△△費が足りなくなったから、○○費のお金を△△費の方
で使いたいという、科目間での移動は、一般企業であれば普通です。
この予算変更をするのに、一回一回その都度、総会を開催するのは非効率です。

そのため、予算変更については理事会に一任し、次の総会で報告を受ければ良い、と考
えるNPO法人はたくさんあります。

ところが、予算準拠の条文があったために、多くの所轄庁は「予算の変更は総会をもっ
て行う」という一文を定款に入れるように強く「指導」してきていたのです。(実際に
は、所轄庁は定款の内容を指導できる立場にはなく「助言」であるべきものです)

そこで、こうした弊害をなくすために、予算準拠の条文を削ったという経緯があります。
fullsunさんが引用しておられる内閣府のQ&Aにも、その後を読んでいくと、予算変更
は「定款に定める手続きにのっとって補正する」旨が書かれています。つまり、予算変
更の方法については、定款が決めるのです。

(ですから、もちろん、より民主的に運営をしたい法人が、予算変更の際に、その都度
総会を開いて決議したいということなら、もちろん定款でそうすることもできるのです。
どちらにするかは、所轄庁ではなく、NPOが定款で決めれば良いのです)

ところで、fullsunさんが書いておられるように、NPO法は民法63条の「法人の事務
は定款を以って理事其他の役員に委任したるものを除く外総て総会の決議に依りて之を
行う」とあります。

そのため、もし理事会で予算の変更を行えるようにしたいという場合には、定款がこれ
を可能とするような書きぶりになっている必要があります。定款に「予算の変更は理事
会をもって行い、理事は総会にてその理由とともに報告する」などと書かれていれば明
白です。

しかし、そうでない場合でも、書きぶりによっては、可能となる定款があります。
定款に書かれた総会の「権能」部分に予算の変更が含まれておらず、また、定款の理事
会の「権能」の部分に、理事会の議決事項として「その他、会の運営に関する事項」な
どと書かれている場合です。

たとえば、次のようなものです。

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第○章 総会
(権能)
第○○条 総会は、本会の運営に関する次の事項のみを議決する。
(1)事業報告および決算の承認
(2)役員の選任および解任、職務、報酬
(3)定款の変更
(4)合併
(5)解散
(6)解散した場合の残余財産の処分
(7)その他、理事会が総会に付すべき事項として議決した事項

第○章 理事会
(権能)
第○○条 理事会はこの定款で定めるもののほか、次の事項を議決する。
(1)総会に付議すべき事項
(2)その他、会の運営に関する事項

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以上、参考になれば幸いです。

シーズ事務局・轟木 洋子

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