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記事No 2536
件名 Re: 無・低報酬が法人税課税という事態を生む?
投稿日 : 2003/07/29(Tue) 07:07:00
投稿者 公認会計士・赤塚和俊
参照先
nakanoさん

> だからといって決算が近づいた時点で黒字を解消するために無報酬の
> 役員に報酬を出すことにしたり、職員給与の昇給を行うと「利益の配
> 分」に該当すると疑われますよね?
> 設立時点で、役員報酬や職員給与を常識的な額(いわゆる世間並み?)
> に設定して支給し、もし資金繰りが苦しくなったら役員や職員さんに
> 寄附をしていただく、このような考え方は法令上、又はNPO法の精
> 神上問題がありますでしょうか?

nakanoさんのおっしゃるような事態は介護保険のスタート当初は
確かにあったと思いますが、今はだいぶ落ち着いてきたと思います。そ
れは別に役員報酬や職員給与を世間並みにしたということではなく(そ
れも多少はあるかも知れませんが)、自分たちの夢の実現(たとえば自
前のグループホームを持ちたいとか、新しい事業を広げたいとか)のた
めには、ある程度の自己資金は必要だし、自己資金を積み立てるのには
(今の税法では)原則的には税引き後の利益を充てるしかないということ
です。そう考えれば、「税金を取られるのはもったいない」という発想
とは別の考え方もできるのではないでしょうか。

> NPO法人設立を検討している方に対して、上記のような報酬と法人
> 税に関する良いアドバイスがありましたら、お聞かせ願えないでしょ
> うか。

最初からあまり低賃金に甘んじることなく、資金繰りが少々苦しいくら
いの給与体系にしておくのは悪いことではないでしょう。介護保険の場
合は入金が2ヶ月遅れということもあって、資金繰りがトントンであれば
利益が出る構造になっています。資金繰りのためには、役員や職員から
寄付してもらうよりも、借入金にして余裕ができたら返すという方が、
いいと思います。

役員や職員だけでなく、周辺の第三者に寄付を募ることも大いに行うべ
きだと思いますが、それは資金繰りのために行うのではなく、夢の実現
のための前向きの資金を作るために行うべきだと思います。大事なこと
は、夢(志と言っても、ミッションと言ってもいいと思いますが)を、
どれだけ共有できるかということだと思います。

           公認会計士・赤塚和俊

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