記事No |
: 2545 |
件名 |
: Re: NPO法人に対する株式会社からの寄付金について |
投稿日 |
: 2003/07/30(Wed) 14:31:00 |
投稿者 |
: 公認会計士・赤塚和俊 |
参照先 |
: |
kanさん
まず、問題になるのは、「業務委託料(ある取引の斡旋)」とされている業務の
内容が、1000万円の対価に相当する仕事なのかどうかということです。
もし確かに1000万円相当の仕事をしてもらうのであれば、NPO法人側がどの
ような経理処理をするかには関わらず業務委託料もしくは支払手数料等の科目
で処理し、損金とするべきです。通常の商取引でも支払先の経理処理を確かめ
たりしません。それと同じことです。その仕事の内容がNPO法人の定款に記
載された事業であるかどうかは、とりあえず関係ありません。
次に受け取ったNPO法人側ですが、確かに「定款に掲げた事業の範囲内で活動
を行うこと、「主たる活動が特定非営利活動であること」という制約はあります
が、それに抵触することがただちに違法であるとか認証取消事由であるという
わけでもありません。1回限りの取引であれば、法人税法上も収益事業とはなら
ないと考えられます。
しかし、同じような取引が継続して発生するようであれば、そしてNPO法人
の本来の目的と関係ない事業が活動の大きな部分を占めるようであれば、それ
は問題です。場合によっては認証取消もあり得るということになるでしょう。
会費(特別会費)としたらどうかということですが、これは問題外です。対価と
して正当性があるのであれば上記のように処理するべきですし、もし対価性が
ないのであれば、名目が業務委託料であろうと会費であろうと税法上は寄附金
です。これもNPO法人側の経理処理とは関係ないことです。
いくらくらいまでなら寄附金とみなされないか、というご質問ですが、それは
常識的に考えてNPO法人に委託した業務の対価として正当な金額としか、お
答えしようがありません。会費は会費として別に支払うべきでしょうし、会費
が損金になるかどうかという点も、その企業にとって事業上の関連性がどれく
らいあるかという、これも常識的な金額としかいいようがありません。もし、
同じような関係にある他社がみな10万円の会費しか払っていないのであれば、
その金額を越える部分は損金性がないと考えるべきでしょう。
公認会計士・赤塚和俊