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記事No 2678
件名 Re: 「理事会主導型定款」例の評価と「理事長主導型定款」例?
投稿日 : 2003/09/19(Fri) 18:51:00
投稿者 シーズ・轟木 洋子
参照先
申請中のNPO理事さん、

申請中のNPO理事さんがお書きになった定款例ですが、一部だけしか示されていな
いため、これで認証を受けられるか否か、明確に判断することは不可能です。

ただ、ひとつ言えるのは、少なくともお書きになった範囲内には、事業報告や決算に
ついて総会で議決しなければならない、という条文がないため、認証を得るのは困難
だと思います。

示された定款の範囲内だけを見ると、定款変更、解散・合併、監事の選任などについ
て議決する必要がない総会の場合、何も議決することがなくなってしまいます。総会
は、NPO法人の最高意志決定機関ですから、報告を受けるのみではなく、何かを議
決するところです。また、事業報告と決算については総会で議決しなければならない
という、伝統的見解(!)が定着しているという事実があります。
シーズの「定款作成マニュアル」の理事会主導型の定款例でも、第28条で「本会の事
業報告書、収支計算書、財産目録および貸借対照表は、理事長が事業年度終了後に遅
滞なくこれを作成し、監事の監査を経た上、当該事業年度終了後の通常総会の承認を
得なければならない」としています。

お尋ね(B)の「理事長主導型」の定款については、私は知識がありません。もし、
「理事会主導型」定款の事例ということであれば、たとえば、ヘリテイジ・トラスト
というNPO法人が理事会主導型の定款で内閣府の認証を受けています。ただ、東京
都認証のNPO法人のなかには、理事会主導型は少ないように感じています。

ところで、お尋ねになっていることを超えていますが、少し以下を追加させていただ
きます。

ご存知のように、NPO法人になるには所轄庁の「認証」を必要とするのですが、こ
れはひとつの「認可」の形態です。

NPO法第12条は、「所轄庁は、(中略)認証の申請が次の各号に適合すると認め
るときは、その設立を認証しなければならない」と規定しています。

NPO法は、できるだけ役所の裁量権を排除し、要件が揃えば認証を受けられるよう
にしている法律ですが、それでもこの第12条は「(略)適合すると認めるときは、
その設立を認証しなければならない」という表現で、「(略)適合するときは、その
設立を認証しなければならない」という表現と微妙に異なっています。

つまり、適合すると認めるか認めないかの最終判断は、所轄庁が行う、という内容に
なっているのです。
(もちろん、所轄庁が認めないで不認証となった場合に、裁判などで闘うことはできます)
このため、残念なことですが、所轄庁によって判断が異なってしまっていたりします。

ただ、現在の状況を見ていると、私には不要な助言(指導)をしている所轄庁が結構
あるように思えます。もちろん、定款案のなかに矛盾があったりする場合には、その
助言を受け入れれば良いのですが、法律に則っている定款やその他の書類について、
要らない助言を受けて窮屈な定款にしてしまうと、後が大変になることもあります。

シーズブックレットNO.8の「理事会主導型」定款例を、あまり気に入っていない
所轄庁もあるようです。所轄庁が示している定款例は「総会主導型」であり、これと
かなり違いがあるからです。しかし、シーズブックレットNO.8の「理事会主導型」
は、法律に違反しておらず、日本がまっとうな法治国家ならば、所轄庁は不認証には
できないはずです。

シーズ事務局・轟木 洋子

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