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記事No 2818
件名 Re: 暴力団によるNPO乗っ取りについて
投稿日 : 2003/10/30(Thu) 17:57:00
投稿者 シーズ・轟木 洋子
参照先
さとうさん、

お尋ねについて、シーズの運営委員で弁護士の浅野さんにもアドバイスをもらい、
以下をお返事いたします。

暴力団体によるNPO乗っ取りというケースについて、シーズではまだ情報を得た
ことはありません。しかし、浅野弁護士も、NPOが不動産を所有したりして資産
を持ってくると、そういう危険もあるかもしれないとは言っておられました。
さとうさんが、暴力団による乗っ取りについて詳細情報を入手可能でしたら、教え
ていただければ幸いです。

ただ、ご質問に「負債の無限責任を団体設立時の役員に負わせる」という部分があ
りますが、浅野弁護士によれば、NPOの役員も社員も、NPO法人の負債につい
て、個人として何らの責任も負わないということです。ですから、NPO法人の役
員・社員が無限責任を負うということはないし、かつ有限での責任さえもないとい
うことです。役員や社員が「私の責任です。私が弁償します」とでも言わないかぎ
りは、ご心配のようなことは起こらないということです。

ちなみに、暴力団への規制は、今年5月に改正されたNPO法でも強化されてはい
ます。
そもそも暴力団の構成員等は、NPO法において役員にはなれません。役員に就任
する人は、NPO法第20条、第21条に違反しない旨を誓約し、それを所轄庁に
提出しなければなりませんが、この第20条に、暴力団関係者の排除の規定があり
ます。かつ、所轄庁は認証時だけではなく、その後もこうした法令にNPO法人が
違反していないか監督しなければならず、第43条の2、また第43条の3におい
て、もし所轄庁が暴力団に関係する疑いがあると認める時には、警察庁長官または
警察本部長に意見を聴くことができ、警察も情報を所轄庁に提供しなければなりま
せん。

しかしながら、そうは言っても法律はあってもうまく機能しないことはよくあるこ
となので、まったくNPO乗っ取りがあり得ないともいえません。

確かにNPO法では、会員の資格の得喪に府等な条件を付してはならないことにな
っていますが、これは逆に言えば、不当でない条件は付して良いということです。
浅野弁護士からは、次のようなアドバイスをもらっています。

「定款に、会員資格の取得について『本会の目的に賛同し、本会の目的達成に協力
すると認める者』という要件を付しておくことをお薦めします。この文言は、『当
たり前』のことですので所轄庁も『不当な条件』とはいわないでしょうし、目的の
達成に協力すると認めるかどうかは、当該NPOの裁量ということになります。そ
の裁量があまりに不当なときは裁判に訴えられるという可能性はありますが、裁判
というのは訴える方もなかなか大変ですから、そんなことをする人は殆どないと思
われます。暴力団対策ということではなく、意図的な乗っ取りという危険への対抗
策として、上述の文言を定款に盛り込んだ方がいいと思います」。

以上、参考になれば幸いです。

シーズ事務局・轟木 洋子

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