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記事No 3050
件名 Re: 法人税法上の収益事業について
投稿日 : 2004/01/17(Sat) 20:15:00
投稿者 公認会計士・赤塚和俊
参照先
伊藤さん

新人さんに対する私の回答が簡単過ぎたようです。論点がいくつか
あるのですが、順番にご説明します。

> 無料の税理士さんの相談会で同じ質問をした所、
> 依頼を受けてサポートし、小額であれど金額をいただいた場合、
> (例え赤字であろうと)収益事業になると言われました。

赤字であれば収益事業に該当しないという点は、人によって解釈が
わかれるところですが、少なくとも実費相当を明示してあれば収益
事業には該当しないと考えていいと思います。経理上も、立替金か
預り金で処理されていれば全く問題ありません。

> 自主的に行うならいいとの事だったのですが・・。
> 相手側に依頼されて行ったかどうかが線引きになるとの事だった
> のですが、

これは33業種に該当するかどうかという問題ですね。「自主的に行
うならいい」という意味が良くわかりませんが、本当に自主的に行
うのであれば、謝礼を払うか払わないか、払うとしていくら払うか、
すべてサービスを受ける側に決定権があるということになります。
もちろんそうであれば「収益事業」ではありません。

そうではなくて、ルールをサービスを提供する側が決めているので
あれば、業態を見る必要があります。仮に33業種に該当するとした
ら、考えられるのは「技芸教授業」か「請負業」です。

このうち「技芸教授業」は「技芸の教授」として限定列挙された中
に「パソコンの操作方法」はありませんので、該当しません。新人
さんに対する私の回答はそのことを指したものです。

相談会での税理士さんの回答は「請負業」を意識されたものと思い
ますが、「請負」とは当事者の一方(請負人)がある仕事を完成し、
相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を与える契約(民
法第632条)です。

つまり依頼者からの注文、指図がなければ請負契約とは言えず、請
負業を拡大解釈してはならないとされています(国税不服審判所裁
決事例「関裁(法)平13第61号」)。注文、指図がなければ「仕事
の完成」という概念も成立しないということです。サポートの依頼
があったというだけでは「請負契約」が成立したとは言えません。

上記の事例は税務署が敗訴した事例です。その言わんとするところ
は、名目を問わず何らかの対価(謝礼)を受ける事業は物品販売を
除けばすべてサービスの提供であり、サービスの提供をすべて請負
業とみなせば33業種を特掲してある意味がないということです。

             公認会計士・赤塚和俊

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