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記事No 3063
件名 Re: 源泉を行わない謝礼
投稿日 : 2004/01/17(Sat) 13:00:00
投稿者 公認会計士・赤塚和俊
参照先
伊藤さん

> ですが、例えば半日時間拘束をしてアンケートを書いてもらい、謝金
> 8000円というと、時給としての労働の対価とみなされないでしょうか?
> 事前に時給としてのものではないと一筆必要でしょうか?

労働の対価(雇用関係)かどうかという点については、この質問箱でも
何度か話題になっているのですが、意外に定義が難しいものです。しか
し、次の点については間違いないと言っていいと思います。

すなわち、時間で拘束されて、かつ、雇用主の指揮監督の下に業務を行
うものが雇用関係(労働の対価)です。伊藤さんのケースは前者は該当
するかも知れませんが、後者は該当しない、すなわち指揮監督の下に業
務を行うものではないと考えられます。

> それとも一筆あっても、著しく金額が多いものはだめでしょうか?

金額の多寡は関係ありませんし、一筆の有無も関係ありません。あくま
でも実態で判断します。

> だって・・悪用できそうですよね・・・。
> 例えば報酬の業務に値しないということで謝金で個人の方に年間合計
> 30万も支払いをして、処理できるなら、大変な事だと思います・・。

それを言うならば自営業者は弁護士や税理士などの一部の例外を除けば
みんなそうです。源泉徴収されずに収入を得ています。本人が自主的に
申告納税するわけです。不審な点があれば税務署が調査します。

> どこかで謝金にもチェックが入るものでしょうか・・?(素朴な疑問
> ですいません)

謝金を支払う側も同じことです。経費性があるかどうか(不当な経済的
利益の供与ではないか)は、まず自主的に判断します。その上で不審な
点があれば税務署が調査するわけです。

悪用できるではないかと言われればその通りです。税務署の網にかから
ない限りは悪用できます。それでは源泉徴収すれば悪用が防げるかとい
うとそれも期待できません。

極端な例かもしれませんが、たとえばコンビニで買い物をするたびに1
割の源泉徴収をして買い物をしたあなたが税務署に納税する義務がある
として、不正を防止できると思いますか。

完璧に不正を防止しようと思ったら納税者背番号制を導入するしかあり
ません。これも極端な例かもしれませんが、コンビニで買い物をするた
めには身分証明書(住民基本台帳カード)を提示する必要があるわけで
す。そんな社会が望ましいと思いますか。私はいやです。

話はそれますが(既にそれていますが)私は仮に労働の対価であっても
源泉徴収制度は不要(有害)だと思っています。甲欄適用であれば扶養
家族についても雇用主に申告するわけです。たとえば老年者だとか障害
者だとか、これはプライバシーの侵害です。雇用関係を結ぶかどうかに
ついて雇用主が全く知る必要のないことです。

              公認会計士・赤塚和俊

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