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記事No 308
件名 Re: 設立総会の議事録について
投稿日 : 2001/03/30(Fri) 06:43:00
投稿者 公認会計士・赤塚和俊
参照先
斎藤さん

資産を任意団体や個人からNPO法人へ移転する際の税金の
問題には二つの側面があります。受け入れるNPO法人側の
課税の問題と、譲渡する任意団体や個人側の問題です。

受け入れるNPO法人側には、その資産を受け入れたことで
法人税や贈与税が課税されることはありません。その資産が
土地や建物だった場合に、不動産取得税等の課税の可能性が
あるだけです。

一方、譲渡する任意団体や個人の側には、無償で譲渡(寄付)
した場合でも、時価で譲渡したとみなして所得税が課税され
る可能性があります。任意団体に課税されるのは、実質的に
団体としての所有ではなかった(個人の責任で事業を行って
いた)と判断される場合ですから、実際に課税されるのはそ
の事業の代表者か、不動産の名義人であった個人です。

個人ではなく実質的に団体として活動、所有していたことが
明らかであれば課税されることはありません。この事実を証
明するためには、NPO法人の設立総会で「これこれの財産
はNPO法人を取得するまで便宜的に分散して管理していた
ものとみなす」と決議するだけでは十分ではありません。

任意団体当時の規約や会議議事録などで、団体の運営が個人
の意思で行われたものではなく、不動産の所有についても団
体の意思で行い、団体の資金で購入、維持されていたことを
証明する必要があります。

おっしゃるように、通信販売や農業を個人事業として経営さ
れていたのであれば、団体としての継続、一貫性は認められ
ません。ただし、課税されるのは時価と取得価額の差額(譲
渡益)ですから、時価が取得価額を上回っていなければ(値
上がりしていなければ)、実質的には課税されません。

設立総会議事録に記載する事項については、この投書箱のQ
161に対するA166、Q71に対するA73などを参考
にして下さい。

団体としての継続性を議事録で残すことは補強証拠にはなり
ますが、任意団体の運営が個人事業ではなく、団体として組
織的に行われていたことの証明にはなりません。

            公認会計士・赤塚和俊

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