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記事No 397
件名 Re: NPO法人の中での貸し借りとその処理の仕方について
投稿日 : 2001/05/31(Thu) 15:30:00
投稿者 公認会計士・赤塚和俊
参照先
しんまいさん

 税法上の収益事業について、経理の方法は大きく二つに分けて
考えられます。

 一つは日常的には区分経理を行わず、申告のための決算書は収
益事業に関わる収支だけを抜き出して集計するという方法です。
たぶん、しんまいさんもそうされたのだと思います。
 そこで、わからないのですがこの方法だと損益計算書はすぐに
できるのですが貸借対照表は普通は作れないと思います。税務署
に提出する書類には貸借対照表を添付しない法人もありますし、
それで受け付けてもらえます。
 もちろん、収益事業に関わる資産や負債を抜き出して貸借対照
表を作ることは不可能ではありませんが、その場合は損益と貸借
でつじつまの合わないところがでてきます。しんまいさんの場合
もこのケースでしょうか。処理の仕方については次を参考にして
下さい。

 もう一つの経理方法は、日常的に区分経理をしている場合です。
原則として収益事業とそれ以外の事業について現金や預金も別に
します。
 ところが、そうするとどちらかの会計でお金が足りない時に、
同一法人内でお金の貸し借りが発生します。これ自体は悪いこと
でも何でもありません。この処理の仕方がさらに二つあります。

 一つは借りたものは返すという考え方で借りた方は負債と認識
し貸した方は資産と認識するわけです。ただし、そのまま決算を
迎えたとしても法人全体の決算書では資産も負債も計上しません。
専門用語では内部取引の消去と言います。

 もう一つの考え方は同一法人なのだからいちいち精算はしない
というものです。お金の足りない方(赤字)はいつも決まってい
るという場合(これが普通だと思います)は、このやり方の方が
現実的です。一種の寄付金ないし補助金のようなものです。
 繰入金とか他会計収入(支出)といった科目を使います。この
場合も法人全体の決算書を作る際には相殺して表示しません。

 ここで注意が必要なのは収益事業会計にこの種の収入があって
も課税所得には含まれないということです。逆に支出があっても
経費にはなりません。
 公益法人などでこの支出を経費に認めるというのが「みなし寄
付金」という制度ですが、今回の支援税制でもNPO法人には認
められませんでした。

 最後のご質問ですが、収益事業についての貸借対照表を作った
からといって、収益事業以外の分の貸借対照表も作る必要は別に
ありません。ただし、検算のためには作る意味はあります。

                   公認会計士・赤塚和俊

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