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記事No 429
件名 Re: 収益事業会計について
投稿日 : 2001/06/16(Sat) 07:49:00
投稿者 公認会計士・赤塚和俊
参照先
西村さん

本来事業会計から収益事業会計へ資金を繰入れすることはもちろん
可能です。逆も同じです。

その場合に繰入金等の科目を使って補助金のような処理をしても構
わないし、貸し付け・借り入れとみなしてそれぞれの会計で資産や
負債としても構いません。この質問箱のQ423、A424を参照
して下さい。

本来事業会計から収益事業会計へ資金を繰入れした時に限って借入
金にしなさいというのは間違いです。そんなことはありません。N
PO法上の収益事業と税法上の収益事業の混同があると思います。

NPO法上の収益事業は、本来事業の遂行の資金を得るために本来の
目的とは無縁の営利目的の事業を行っても良いという規定です。で
すから厳密に考えると本来事業から収益事業への資金の繰り入れな
どあり得ないということになります。仮に資金繰り上、一時的な立
て替えがあってもそれは返してもらうはずだということになります。
行政担当者が必ず返済しなさいと言うのはそういう意味だと思われ
ます。

しかし、税法上の収益事業の定義はNPO法上の本来事業と収益事業
の定義とは全く別の規定です。NPO法人の本来事業であっても法人
税法では収益事業となることもあるのです。税法上の収益事業への
資金の繰り入れはあり得るし返済が期待できないことも十分に
あり得るということです。

それから、NPO法上の収益事業だからと言って利益が期待できると
は限らないこともあります。見こみ違い、環境の変化などで収益事
業が欠損となったら本来事業会計から補填せざるを得ません。その
場合も借入金にしてもいいのですが繰入金で処理しても構いません。

もっと言えばNPO法上の本来事業でなくとも最初から収益を度外視
して事業を行うこともあります。法律上本来事業が12種類に限定
されているからです。その場合はNPO法上は「収益事業」ではなく
「その他の事業」ということになります。

最後に総括表を作る場合のことですが、部門ごとの貸借対照表や収
支計算書では繰入金や貸付金、借入金を表示してもいいのですが、
全体の決算では相殺して表示しないのが一般的です。

                   公認会計士・赤塚和俊

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