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記事No 486
件名 Re: 任意団体から法人化する場合の財産目録
投稿日 : 2001/08/15(Wed) 09:23:00
投稿者 公認会計士・赤塚和俊
参照先
小川さん
>
> 任意団体の資産をNPO法人が継承する場合、認証申請書類(設立当初の財産目録)の
> 記載方法には、大きく下記の2パターンがあると認識しいます。
> ① 引き継いだ財産全てを設立当初に計上する。
>② 0円で申請する。(設立後に一括して寄付を受けるという考え方)
>
その通りです。

> <①の方法をとる場合>
> (質問1)
>  前身となる任意団体(寄付を行った団体)に贈与税等はかからないのでしょうか?(実
> 質的に財産の継承であれば非課税だと思いたいのですが…)
>  もし、課税対象となる場合、①の場合と②の場合で税額が異なるような事はあるので
> しょうか?

まず、贈与税は寄付をした方ではなく寄付を受けた方に課税されるものです。NPO法人は
原則として非課税です。原則としてというのは、寄付者に経済的利益(見返り)があるよう
な場合は課税されるからです。①の場合と②の場合で税額は変わりません。
なお、引き継いだ資産の中に土地等があれば、寄付を行った任意団体の方にみなし譲渡の課
税が発生する可能性があります。任意団体は登記の名義人になれないため、通常は代表者等
の個人名義で登記してあるからです。これも、団体としてきちんと運営され団体の意思とし
て不動産を所有していたことがはっきりすれば課税されることはありません。

> (質問2)
>  そもそも、団体の活動が連続している(実際に資金や備品等が継続して利用されている)
> のに、設立当初の財産を0円と記載しても本当に良いのでしょうか?
>  前身である任意団体の会計がまだ生きていて、財産はそちらの管理下にあるという考え
> 方なのでしょうか?

その通りです。任意団体と法人は、法的には別の人格となります。設立申請から登記ができ
るまでの間、設立準備委員会のようなもの(これも任意団体です、学校法人を作る場合など
設立準備財団として法人格を持つ場合もあります)があると考えて下さい。
この準備委員会は従来の団体の資産を引き継ぐことを前提として(財産目録に計上して)設
立申請してもいいし、資産ゼロで登記して登記後に資産を受け入れてもいいのです。

> (質問3)
>  任意団体の会計は、どの時点で終了させれば良いのでしょうか?
>  申請時、認証時、登記時、財産を寄付した時点???

少なくとも法人の登記時点までは存続します。その後はいつでもいいのです。団体によって
は活動の一部をNPO法人化して、一部は任意団体として継続することもあります。
収益事業を行っている場合の税務署の取扱いも原則は登記前と登記後で別人格ということに
なりますが、担当者によっても違いますが、設立第1期が中途半端な日数だったら決算期の
到来まで任意団体扱いして2期目から法人とみなしたり、逆に本当の新設だったら登記前の
活動も法人の計算に含めたり、結構柔軟に対応してくれています。

> <設立登記について>
> (質問4)
>  財産額が、認証申請の時から認証時点・登記時点とそれぞれ変動している場合、一般的
> にどの時点の金額で設立登記するのが正しいのでしょうか?

この問題ではみんな(まじめな人ほど)頭を悩ましています。そもそも法令の不備とも言え
るのですが、法令は活動の継続を意識していない(全くゼロから設立することしか想定して
いない)からです。これは、NPO法人だけでなく、財団法人などでも同じことです。
財団法人もNPO法人も法が想定しているのは先に述べた設立準備委員会のようなものが、
設立財産の寄付の約束を取り付け、その財産を申請や登記の予定財産とする考え方です。だ
から、その予定が変動することはないという前提に立っています。
現実には各団体とも申請時点(もしくは申請前の一定時点)の財産をもって申請し、登記まで
同じ財産目録で通しています。その間の変動分は登記後に受け入れる(マイナスであれば負債
を引受ける)という形で処理しています。その極端な例が資産ゼロで設立し、登記後にすべ
て受け入れるという形態です。

                           公認会計士・赤塚和俊

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