記事No |
: 547 |
件名 |
: Re: NPO活動に伴う債務保証と弁済義務について。 |
投稿日 |
: 2001/09/21(Fri) 19:27:00 |
投稿者 |
: シーズ・轟木 洋子 |
参照先 |
: |
大川さん、ご投稿ありがとうございます。
さて、理事会で正式に議決された事柄が、その法人の「目的」の範囲内であったならば、
その活動の結果、第三者に金銭的な損害を与えた時に、その法人の構成員が「個人とし
て」返済義務を負うことはありません。
また、損失金額が多く、NPO法人の資産を超えた場合、つまり経済的に破綻して支払
い不能の状態になった時には、破産手続きによって、破産宣告を受け、破産管財人によ
る採算業務を受けることになります。この場合、理事等が個人として負債を背負い込む、
ということはありません。
前提となるのは、その法人が団体の定款に書かれた「目的」の範囲内で活動して破産し
た場合です。もし、定款にも定めがなく、総会などでも決議されなかった事柄において
負債を負った場合は、法人ではなく、その執行に関係した理事、会員(つまり社員など)、
その他関係者が連帯して賠償責任を負うことになります。
(NPO法の準用法文である民法第43条、44条をご参照ください)
また、「NPO法コンメンタール」(日本評論社発行)は理事の責任について、次のよ
うに述べています。
「(理事は)受任者として『善良な管理者の注意』義務をもって、その職務を遂行する
義務を負う(民法644条)。理事が、この善管注意義務に違反して法人に損害を与えた
場合は、賠償責任を負う」
つまり、理事は、法人が行う活動における過失や事故などに対して、通常期待されてい
る程度の抽象的・一般的注意義務を要求されているのです。このことから、定款に書か
れた「目的」内の活動においても、事故などが発生した場合には、理事は責任を問われ
る可能性が出てきます。
最近、医療法人内で起きた医療ミスが裁判で争われる、というニュースがありましたが、
医療法人内で医療を行うのは目的に合った行為ですが、医療法人だけではなく、院長の
責任が裁判で問われる、ということもある訳です。
このように、法人になっていれば、理事個人の責任は全く問われない、ということには
なりません。
では、また質問がございましたら、ご投稿ください。
シーズ事務局・轟木 洋子