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記事No 55
件名 Re: 法人の事務所
投稿日 : 2000/02/09(Wed) 14:05:00
投稿者 シーズ事務局(轟木)
参照先
木村さん、ご投稿ありがとうございました。
こちらからの返事が遅くなり、すみませんでした。

さて、まず「事務所とは何か」から考えてみましょう。
我妻栄氏の「民法総則」(岩波書店)によれば、次のように書かれています。

「事務所とは、事業活動の中心である一定の場所をいう。一般的に、法人の代表権を有する者、
少なくともある範囲の独立の決定権を有する責任者の所在する場所であり、かつ、その場所で断
続的に業務が行われることを必要とすると考えられる。そして、このような事務所のうち、最高
首脳部が存し、中枢となる事務所が主たる事務所であるといわれる」

しかし、NPO法でいう「事務所」については、日本評論社の「NPO法コンメンタール」(著者:
浅野晋、雨宮孝子、濱口博史、松原明、堀田力)に、次のように著されています。

「しかし、本法人になろうとするものによっては、理事が常勤でなく、また、理事会も適宜場所
を定めて開催する団体など、最高首脳部が常勤せず、『存する』とはいえない場合もあり、また、
事務を処理する場所あるいは連絡の中心しか有しない場合も多い。したがって、このような実態
からして、本法人が設立認証の申請をした団体が、事務所として定款で定めたところを事務所と
見ざるをえない。そして、そのなかで中心となる事務所を『主たる事務所』と見ざるをえないで
あろう。なお、上述のとおり、主たる事務所には事業報告書などを備置しなければならないので、
主たる事務所といえるには、そのような物的設備が存しうる必要があろう」

このことから、事業報告書や財産目録など(特定非営利活動促進法【NPO法】第28条参照)を
備え置くことができる場所であれば、事務所とできると考えられます。また、その事務所に職員
(有給・無給にかかわらず)が毎日いなくても大丈夫です。よって、一般家庭であっても、この
備え置きができれば、法人の事務所とすることも可能です。

自治体の公共施設を間借りする場合ですが、これはその自治体との契約関係の問題で、NPO法に
直接かかわることではないと思います。調べてみましたら、実際に自治体のスペースに机を置い
て活動しているNPO法人もあるようです。この場合、賃貸契約ではなく、使用契約的なものを結
んでいて、NPO法人が使用料を払ったりしているところがあるようです。

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