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記事No 9635
件名 Re: 定款の事務所表示
投稿日 : 2011/01/28(Fri) 10:27:29
投稿者 弁護士 浅野晋
参照先
Nとも さん

 これはけっこう難問です。学説・判例等調べましたが、参考になるようなものは見つかりませんでした。
 そこで、自分で考えるしかありませんが、次のような結論になりました。

 法令用語としては、主たる事務所(とか本店)の「所在地」と「所在場所」という用語は、明確に使い分けされています。
 「所在地」との用語の場合は、最小行政区画を指すとされており、「所在場所」という場合は、番地や住居表示まで記載する住所としての記載を指すとされています。

 ところで、定款に、主たる事務所の「所在地」を記載するときに、最小行政区画(例えば東京都武蔵野市」だけでなく、「所在場所」(例えば東京都武蔵野市○町○丁目○番○号)という記載をすしている場合があります。

 このような場合、「所在地」として「最小行政区画」以外の記載もなされていますが、特に違法とはされず、そのまま適法な記載として許容されています。

 これは、最小行政区画以外の記載が、最小行政区画と矛盾しない記載であるので、「無害的記載」として許容されていると解されます。

 ところで、御質問の「△△市○○校区内」という記載ですが、この「校区」というのが学校の学区であるとしたら、この校区は最小行政区画を越えて、他の最小行政区画とまたがっている可能性がありますし、現時点でまたがっていなくても、校区の変更により将来またがる可能性があります。

 事務所や会社の本店の「所在地」というのは、登記管轄や、裁判の管轄などを決める要素となっていますので、その「校区」が複数の最小行政区画にまたがっているときは、登記管轄や、裁判の管轄が複数あるということになり、混乱します。

 すなわち、事務所の「所在地」としての「校区」の記載は、「有害的記載」となる可能性をはらんでいます。

 このような理由から、私としては、御質問の記載は違法であり利許容できないと解します。
                 弁護士 浅野晋

              

 

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