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記事No 9704
件名 Re: ファックスでの委任状の提出
投稿日 : 2011/03/08(Tue) 17:57:34
投稿者 弁護士 浅野晋
参照先
ていぬ さん

1、まず、FAXが「書面」に該当するかどうかの議論はおいておきます。

2、ところで、社員の表決権に関する定めについては、当初の特定非営利活動促進 法は民法65条を準用していました。その民法第65条2項はは、次のように定 めていました。
「2 総会ニ出席セサル社員ハ書面ヲ以テ表決ヲ為シ又ハ代理人ヲ出タスコトヲ得」
この条文を読むとお分かりになるように、「書面」が要求されているのはいわゆる「書面をもってする表決」だけであって、代理人の選任を書面でしなければならないとは定めていません。

3、すなわち、代理権の証明(委任状)は、書面でする必要はないということになりますので、FAXが「書面」に該当するか否かにかかわらず、FAXの委任状は有効ということになります。この点についての内閣府の見解は誤りです。

4、そもそも代理権の授与は、一般的には委任状という表題の書面で行いますが、 口頭でもメールでも代理権を付与することは可能です。委任状は、代理権の存在 を証明する手段にしかすぎません。

5、現在の特定非営利活動促進法は改正され、社員の表決権については同法第14 条の7が次のように定めています。
(社員の表決権)
第14条の7  各社員の表決権は、平等とする。
2  社員総会に出席しない社員は、書面で、又は代理人によって表決をすることができる。
3  社員は、定款で定めるところにより、前項の規定に基づく書面による表決に代えて、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって内閣府令で定めるものをいう。)により表決をすることができる。
4  前三項の規定は、定款に別段の定めがある場合には、適用しない。

6、 第2項の「書面で……表決」というのは、例えば「第○号議案については賛成。第△号議案については反対。」という書面を総会に提出する方法で表決に参加する方法をいいます。

7、そして第3項は、その書面表決に代えて「電磁的方法」(インターネットのメール等)によって表決する方法を採用することもできるということを定めています。

            弁護士 浅野晋

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