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記事No 9719
件名 Re: 議事録署名人の理事長が当該総会で辞任 その場合の印鑑は?
投稿日 : 2011/03/15(Tue) 14:59:36
投稿者 弁護士 浅野晋
参照先
ていぬ さん

 議事録に署名人が署名するのは、その議事録の記載の正確性を署名人が証明する趣旨です。

 議事録に署名人の署名を要するか否か、署名人が署名するとしても誰が署名人となるのかについて、法令上は何も定めがありません。したがって、議事録署名人の署名がない議事録も、法令上は何の問題もありません。
 議事録署名人を誰にするか定款で決めているところもありますが、定款にも規則類にも何の定めも無いところもあります。

 定款で定めている場合、例えば、議長とか、出席正会員の内議長が指名する者とか、総会の議決により決めるとか、理事とか様々です。

 議事録ができるのは総会が終了したのちですから、その間に議事録署名人が死亡したりして、署名出来ない場合があります。また、何かの事情で、はじめから定款で定める議事録署名人がいない場合もあり得ます。

 このような場合、議事録に定款通りの署名人が署名していないという事態が生じます。これは、定款違反ではありますが、議事録に署名する趣旨が上述した趣旨によるものですから、定款違反を重大視する必要はありません。

 このような場合どうするかですが、例えば議事録署名人であるはずのAが、総会後に死亡した場合は、議事録署名人欄に「議事録署名人Aは、○年○月○日死亡したので署名できない。」と付記し、その付記の責任の所在を明らかにする趣旨で、付記した人が署名するという方法をとります。
 他の事情の場合も同様にして処理することが出来ます。

 形式的に定款違反の状態が生じたとしても、議事録が実質的に無効となるわけではありません。

 御質問のケースでは、「前理事長」との肩書きを付けて署名すれば問題ないように思われます。
 なお、議事録の署名は個人の立場で署名しますので、捺印する場合は代表者印ではなくその方の私印で捺印します。

 なお、証明書類としては「実印、印鑑証明」というのが確実ではありますが、一般に、議事録の署名にそこまで要求している例は殆どないと思われます(私自身は、その実例を知りません。)
 署名(手書きで自分の名前を書く)と、認め印での捺印で十分だと思われますがいかがでしょうか。

      弁護士 浅野晋


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