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記事No 9721
件名 Re: 議事録署名人の理事長が当該総会で辞任 その場合の印鑑は?
投稿日 : 2011/03/16(Wed) 16:17:46
投稿者 弁護士 浅野晋
参照先
田舎の事務局長 さん


1、田舎の事務局長さん、ご指摘ありがとうございました。
  理事の選任その他登記事項の変更を伴う総会の議決に係る議事録について、説明が不十分でしたので補足します。

2、NPO法人の登記についての根拠法令は「組合等登記令」(政令)ですが、この組合等登記令25条は商業登記法148条を準用しています。
 この商業登記法148条は、「この法律に定めるもののほか、……、登記申請書の様式及び添付書面その他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。」と定めております。
 ここに言う「法務省令」というのは「商業登記規則」のことですが、この商業登記規則61条2項、4項は、取締役等の就任の登記等をする場合の添付書類等について定めています。すなわち、NPO法人の理事の登記についても、この商業登記規則61条が適用され、そこに記載されている添付書類が必要とされるわけです。

3、この商業登記規則61条2項、4項を、NPO法人の場合についてリライトすると、次のようになります。

「第61条 1 (略)
  2  設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時理事が就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない。理事の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき理事が就任を承諾したことを証する書面の印鑑についても、同様とする。
3 (略)
4  理事の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の理事が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一  社員総会の決議によつて理事を定めた場合 
       議長及び出席した理事が社員総会の議事録に押印した印鑑
二 、三 (略) 」

4、すなわち、こういうことになります。
 ①まず、総会の議事録については、先にした説明の通りです。すなわち、法令上決まった署名人というのはありませんし、実印で押捺する必要もありません。
 ②次に、理事の選任など登記を要する事項についての議事録は、商業登記規則61条の定めに従った議事録を提出しなければなりません。
 ③この商業登記規則61条によれば、総会の議事録には、「議長及び出席した理事」の実印での捺印、印鑑証明書の提出が必要ということになります。
 ④なお、その議事録署名人の一人が、すでに法務局に、代表者印を登録しているときは、その登録印の押捺があれば、他の署名人は認印の押印で足ります。
⑤以上の次第で、議事録署名人の一人には、法務局に代表者印を登録している理事(多くは代表理事)になってもらえば、他の署名人の印鑑証明書提出の手間が省けるということになるわけです。

以上補足します。
弁護士 浅野晋

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