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記事No 9788
件名 Re: 役員の任期短縮について
投稿日 : 2011/04/14(Thu) 20:05:00
投稿者 弁護士 浅野晋
参照先
長瀬廣文 さん

1、6月末に任期が終了する役員の任期を5月末とするのは、任期2年の役員の任期を1年11ヶ月にすることになりますから、それが総会の決議であっても定款第16条「役員の任期は、2年とする。」との定めに反することになります。
  従ってA案は採用できません。

2、次にB案ですが、これも定款では役員の任期が「2年」と固定されていますので、総会の決議であってもそれを1年11ヶ月に短縮することはできません。従って、B案も採用できません。

3、そこでどうするかですが、
  ①現在の役員の「全員」が、予め、「5月末日の終了を以て辞任する」旨の辞任届を当該法人宛に提出する。
  ②5月の総会において、 新任の役員の選任は、補欠としての選任ではなく、任期が6月1日から始まる2年の任期の役員としての選出であることを明確にして選任する。
という方法で問題の解決ができます。

4、定款では、「補欠のため……就任した役員の任期」については、前任者の任期の残存期間とされていますが、「補欠」の定めは、役員が複数いる場合にその任期をそろえるために設けられた条項です。従って、「補欠」として選任するのか、補欠ではなく正規の任期(2年)の役員として選任するかは、その総会で自由に決議できます。

5、また、役員全員が任期満了前に辞任したために全員が改選される場合は、後任者について「任期をそろえる」という必要がありませんから、後任者の任期を前任者の残存期間とすることはできないことになります。(昭和36年8月1日民事甲第2016民事局長回答)

6、このような解釈は、会社法制定前の商法時代の株式会社の監査役についてなされておりますが、NPO法人の役員についても同様に考えて良いと思われます。 参考文献としては、稲葉威雄他編「実務相談株式会社法(中)」(商事法務研究会)556頁に詳しく説明されておりますので、図書館でご覧になって下さい。

7、なお、登記手続については、登記所によって取扱が異なることがありますので、 予め登記所か司法書士と相談してください。
             弁護士 浅野晋

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