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2003年02月07日 10:00

行政 : NPO-SC等公益法人改革に異議

 各地のNPO支援センターの連絡組織であるNPOサポートセンター連絡会は、2月6日、政府の行政改革推進本部に対して「公益法人等の抜本的改革に関する申し入れ」を行った。政府の公益法人制度改革において「原則課税の原則を政府の一片の大綱により変更することは市民社会活動に対する暴挙である」と批判している。

 

 各地のNPO支援センターの連絡組織であるNPOサポートセンター連絡会は、2月6日、政府の行政改革推進本部に対して「公益法人等の抜本的改革に関する申し入れ」を行った。政府の公益法人制度改革において「原則課税の原則を政府の一片の大綱により変更することは市民社会活動に対する暴挙である」と批判している。  この申し入れには、26のNPO支援センターが賛同している。
 とりまとめは、東京にあるNPO法人・NPOサポートセンター。

 現在進められている政府の公益法人改革の検討内容を「抜本性に欠ける」とした上で、「徴税する側の利便性を優先するあまり、原則課税の考えを打ち出したことは、すべての社会的な活動、任意団体の活動にも深刻
な影響を及ぼす。NPO法人を含めた公益法人等と人格なき社団に関しては収益事業にのみ課税するというのが確立された法理であり、(中略)こうした確立された原則を政府の一片の大綱により変更することは市民社会活動に対する暴挙である」と批判している。

 その上で、以下の3点を要望している。

1.大綱策定を急がず、結論にむけて議論する時間を十分に確保すること
2.NPOに携わる市民が広く議論に参加できる体制をつくること
3.課税原則を変更する場合には、実態に基づき、広く意見を検討すること

 申し入れの全文は以下の通り。


2003年2月6日

行政改革・規制改革担当国務大臣 石原伸晃 殿
NPOサポートセンター連絡会 
事務局:(特活)NPOサポートセンター

公益法人等の抜本的改革に関する申し入れ

 日本は今、かつての経済偏重社会から成熟した市民社会へのシステムチェンジを図ろうとしている。市民、行政、企業の三セクターが自己改革を行いながら、自主的な市民活動を支援し、脆弱な市民セクター拡大の方向性を模索するようになった。その問題解決のツールとして、日本社会はNPOを選択した。

 NPO法(特定非営利活動促進法)が1998年12月に施行されてから約1万のNPO法人が誕生し、福祉、環境、まちづくり、生涯学習などの分野の社会的活動を通じて雇用創出の場としての経済
的役割も果たしてきた。2002年12月には、NPO税制の改正とならんで、特定非営利活動の種類も12分野から17分野に改正され、法的な基盤整備も進んでいるところである。

 一方で政府は公益法人制度等改革大綱の内容を決定したと報道されている。もしそれが伝えられるように、公益法人、NPO法人、中間法人の一本化で、全事業への原則課税ということであれば、公益法人のみならず、NPO法人や任意団体の活動にまで大きな影響を及ぼすものとして見過ごすことはできない。

 この結論は、「論点整理」(2002年8月2日)へのパブリックコメントの多数の意見や、公益法人制度の抜本的改革に関する懇談会の議論の大勢とも異なり、あらかじめ政府が結論を用意しての強引な合意形成の感を免れない。そもそもパブリックコメントの周知はおざなりで、期間も短く、公益法人関係者以外への情報
伝達は無視されがちだった。

 伝えられる「大綱」の内容は、抜本的改革や法人設立の準則主義への移行などを掲げながら、公益法人の不祥事対策、徴税の強化、天下り防止といった一連の後ろ向きな対策の域を出ておらず、非営利的法人、公益法人等全体の見取り図は示されず、公益性の認定と 政府の関係、市民による公益活動の促進など本来原則を示
すべき点についてはほとんど触れられていない。標題と異なって抜本性に欠ける内容となっている。法人制度は社会の公器であり、市民活動全体にとって、このような姿勢はきわめて問題だと言わざるを得ない。

 徴税する側の利便性を優先するあまり、原則課税の考えを打ち出したことは、すべての社会的な活動、任意団体の活動にも深刻な影響を及ぼす。NPO法人を含めた公益法人等と人格なき社団に関しては収益事業にのみ課税するというのが確立された法理であり、実際の市民社会活動の原資はその原則によって相当部分が生
みだされている。こうした確立された原則を政府の一片の大綱により変更することは市民社会活動に対する暴挙である。また、市民による公益活動に課税することは官民の役割分担を見直し構造改革を進めるという小泉内閣のスローガンとも矛盾をきたしている。

 大綱の策定までにはさらなる議論が必要であり、法人制度の形式の簡素化を急ぐあまり活動の実態を軽視すべきでない。行政の関与の原則を徹底的に議論し、大綱策定後も法案作成にもこれまでのような法制審議会方式でなく、広く参加を可能とする方法をとるべきである。

ここに、下記の三点を強く要求するものである。

1.大綱策定を急がず、結論にむけて議論する時間を十分に確保すること
2.NPOに携わる市民が広く議論に参加できる体制をつくること
3.課税原則を変更する場合には、実態に基づき、広く意見を検討すること

NPO法人をはじめ、種々の特別法に基づく諸法人の議論への参加を呼びかける。

本申し入れは、2003年1月22日に開催のNPOサポートセンター連絡会の全国会議での協議結果をふまえ、NPOサポートセンター連絡会から提出するものである。

<NPOサポートセンター連絡会>

  • NPOサポートセンター 理事長 山岸秀雄
  • 北海道NPOサポートセンター 事務局長 小林董信 
  • NPO推進北海道会議 事務局長 佐藤 隆
  • NPO推進オホーツク・プラットフォーム 理事 平賀貴幸
  • 旭川NPOサポートセンター 事務局長 森田裕子
  • あおもりNPOサポートセンター 理事長 有谷昭男
  • NPO推進青森会議 理事長 中村年春
  • NPO事業化支援研修センター 事務局長 平塚 力 
  • 山形創造NPO支援ネットワーク 理事 須藤路子
  • 市民立NPOカレッジ 事務局長  小林善紀
  • NPO支援センターちば 代表理事 渋澤温之
  • さいたまNPOセンター 事務局長 西川 正
  • 越谷NPOセンター 代表 村田恵子
  • NPO・えん 代表 本間 恵
  • アリスセンター 理事長 饗庭 伸
  • 長野県NPOセンター 事務局長 市川博美
  • 市民フォーラム21・NPOセンター 代表理事 後 房雄
  • パートナーシップ・サポートセンター 代表理事 岸田眞代
  • 浜松NPOネットワークセンター 代表 山口祐子
  • きょうとNPOセンター  事務局長 深尾昌峰
  • 大阪NPOセンター 事務局長 山田裕子
  • 市民活動センター神戸 専務理事・事務局長 実吉 威
  • ひろしまNPOセンター 代表理事 安藤周治
  • NPOふくおか 事務局長 加留部貴行
  • 宮崎文化本舗 理事 井上 優
  • NPOサポートセンター鹿児島 代表 松村一芳
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