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特別連載コーナー

2007年08月23日 17:22

寄附・会員集めのABC(2)「コンビニの会」 大川美智子さん

コーナーのご紹介:

このシリーズでは、上手に寄附や支援的な会費を集めておられる日本のNPOをインタビューし、少しゆっくりめのペースで6回ほどご紹介していきます。シリーズのなかには、寄附をくださる企業側の方のお話も入れる予定です。どうぞ、ご期待ください。

なお、このシリーズをホームページに掲載するにあたっては、「日本オラクル有志の会」よりご支援をいただきました。


第二回「コンビニの会」 大川美智子さん

連載第二回目は、名古屋市内にある「NPO法人コンビニの会」です。
http://homepage2.nifty.com/convini/index2.htm

コンビニの会は、「どんなに重い障害を持っている人でも、住みなれた街であたりまえの生活をしていけるよう、コンビニエンスストアのように24時間いつでも便利なサービスを提供したい」という思いから名づけられたNPO法人です。そして、そのコンビニの会が運営する施設は、コンビニハウスと呼ばれています。

1994年、「重度重複障害者の地域生活を考える会」という名称で勉強会をスタートさせ、地域のニーズを調査し、1996年からレスパイトサービス(本文参照)をコンビニハウスで開始しました。その後、ホームヘルプ事業や通所事業など、事業も広がっています。

2001年には、施設事業を拡大する必要に迫られ、不動産取得のためにNPO法人格も取得しました。

運営は、フルタイム職員が18名、登録ヘルパーが約40名。そしてボランティアは全部で100名を超え、そのうち半分以上が学生です。

今回は、このコンビニの会の創設者で、理事長として毎日大忙しの大川美知子さんにお話を伺いました。


<コンビニの活動>

福祉施設って、普通は「たんぽぽ」とか「ひまわり」とかいう名称がほとんどなのに、私たちの団体はコンビニの会、そして施設名称はコンビニハウスです。

なぜコンビニハウスを作ったのかというと、いつでも24時間便利に使える福祉サービスがどうしても必要だ、と強く感じていたからです。

ここ15年くらいの間に、養護学校とか、授産施設とか、障害者の日昼活動の場は随分と広がってきました。でも、朝の9時から午後4時くらいまでです。公的なショートステイもありますが、その施設は市外で、街の中心から遠く離れているし、手続きも手間がかかったりして緊急事態が起こってすぐに使えるという施設ではなかったのです。

一方で、障害のある人のいる家族は毎日毎日介助を続けなければならない。だから、24時間いつでも電話一本で受け付けてくれる事業が必要だったのです。私たちの重要で中心的な事業は、レスパイト事業といいます。これは、一時的に重い荷物を降ろす、つまり障害を持ったお母さんたちの一時的な休息、休憩などのためのサービスで、いわばなんでも屋です。たとえば、冠婚葬祭にいく、下の子どものピアノの発表会に出る、美容院でパーマをかけたい、などから始まって、本人のつきそいで病院へ行ったり、「ビールが好きなので居酒屋にいっしょに言ってほしい」という依頼に応じたり、パチンコ屋へのつきそいとか、本当にさまざまです。公的な福祉サービスは、入浴介助がいくらいくら、他の介助がいくらいくら、と決められていて、いわば島になっているから、どうしても隙間ができる。この隙間を私たちは埋めていたわけです。

このレスパイト事業が私たちの最初の事業で、1996年に始めました。そのうち「一時的に週2回だけ通わせて欲しい」というような依頼も受けているうちに、結局のところは通所作業所も始めたりして、隙間どころか大河も引き受けてしまった感があります。でも、今でもレスパイトは私たちの中心的な事業です。

大川さんの写真

コンビニハウス内の事務所で仕事をする大川美知子理事長

<役所じゃなく、周囲の人に支援を>

このレスパイト事業は、本当におおはやりでした。右肩上がりに利用時間が増えてきています。

でも、このレスパイト事業には、昨年の支援費制度が始まるまでは、まったく何も補助もありませんでした。私は最初、どこからも補助が出なかったことに怒り狂いました。会費、そして最初は利用料金一時間200円、寝ている時は100円の受益者負担でやっていましたが、行政の方にお願いして、少しでも補助をいただけないかと、実情を話したり、データを出したりしました。でも、ケンモホロロ。「あなた方が勝手に始めたんだから」ということで、役所の窓口の人は、いかに断るかを練習しているんじゃないかと思うくらい。

当時、私は役所に行けば行くほど、どんどんエネルギーが吸い取られて元気が無くなるのが分かりました。役所っていうのは、市民の味方で、話せば分かってくれるだろう、何か知恵を出してくれるんじゃないか、と思っていたんです。「この制度なら、拡大解釈すれば、その範疇に入るかもしれない」なんてね。で、こちらは期待があったから足繁く通ったんですが、向こうはどうやって諦めさせようか、って知恵を絞ってくる。それで、こっちはどんどん元気がなくなってきて・・・。その時にね、ハタと気がついたんです。これはもう、役所の人と話していると、コンビニハウスがダメになっちゃうって。この人と会わないことが今一番大事なんだって。それから一年間は役所には行きませんでした。

その後は、その役所に行って訴えていたエネルギーを、地域の人とのつながりに使おうと思いはじめました。訳の分からん役所の人に頭を下げて事情を説明するよりも、隣近所の奥さんやおじさんやおばさんに「実はね」って話していると、結構、これ、手ごたえがあるんですよ。

私、居酒屋で職員と二人でヒレ酒を飲んでいて、たまたま隣に座ったおじさんに話をして、1万円の寄附をもらったこともあります。会報を渡して話をしたら「あんたはえらい!」って言ってね。その時は酔っ払ってましたけど。こっちも「おじさん、私ね、明日の日本をひらこうと努力してるのよ」って。そしたらポケットからサイフ出して「ともかく1万円寄附する」って。その方は今でも、酔いが覚めても、継続して運営資金協力会費を送ってきてくれています。

だから、やっぱり頼るべきは理解者だって、本当に思います。それからは、寝ても覚めても、我が家から一歩でたら、誰の顔を見てもそういう人に見えて、すぐにコンビニハウスの話をしています。相手が聞きたがってないかもしれないのに、なんかのきっかけを作ってね。

<問題がないところでは人は出会えない>

コンビニハウスの運営は本当に大変でした。福祉サービスは気軽に使えてこそ価値があるんで、料金もそんなに上げられませんから。

でも、その苦しかった当時、毎日新聞の記者をやっておられた方が、「人と人とは、問題がないところでは出会えない。問題を解決するためにより深くつながる」って、うちの会報に書いてくださいました。この言葉は、人と深くつながることのヒントになりました。確信を持って、人と深くつながれるように。

今は、人間関係が希薄になっていて、孤独な人が多いと思います。でもそういう人も、本当はいろんなところで人とつながりたいって感じていると思うんです。

コンビニハウスは、もう山のような問題を抱えている。どこを取っても問題で、問題には事欠かないんです。問題の宝庫。だから、この人にはこの問題を話してみよう、とか、あの人には、この問題をなげかけてみよう、とか考えながら話をします。そうすると、解決に力を貸してくださる方も多いのです。

私たちは、問題が多いんですが、そのことが実は宝物なんです。

<8300万円の施設を買う>

私たちは最初、一軒家を5年間無償で貸してくださる方がいて、大喜びでお借りしてレスパイト事業を始めました。お話したように大繁盛で、泊まりが多い日は、縁側の淵にまで寝なけりゃいけない程になってしまいました。たとえば、通所作業所だったら、作業がテーマですからグループで活動します。職員も、一人で何人かを担当するんです。でも、レスパイトというのは、それぞれ居酒屋に行ったり、本を読んだり、外食したり、個々自由でさまざまな活動なんです。ということは、障害者一人について、介助者も一人です。だから、7人の障害者が泊まると、介助者を入れると14人が泊まることになるんですね。で、それなりの大掛かりな設備が必要なんだな、って分かってきました。

それで、現在の第二施設を買おう、ということになりました。

3階建ての建物と、もうひとつ、1階が駐車場で2階に40坪くらいの部屋がある建物、2棟が一つの敷地内に建っているものです。最初は1臆円で広告が出ていたのですが、東海豪雨で浸水したために値段が下がって、それをさらに値切って7100万円にまでなりましたが、その購入に必要なお金を全部含めると結局8300万円が必要でした。

自己資金としては、それまでに大口でいただいた寄附などは一般会計とは別に積み立てていて、それが1300万円ありました。でも、それで8300万円のローンは組めません。なので、1500万円を寄附で集め、2500万円は100万円ずつ貸してくださる個人を25人募り、残りの3000万円を銀行から融資してもらう計画を立てました。そして、募金のための目立つパンフを作って、会報に挟み込んだりして配布を始めました。

そうしたら、なんと100万円を貸してくださる個人の方が38人も申し出てくださったんです。なので、あわてて銀行には3000万じゃなくて、2000万でいいって言いに行きました。

この100万円を貸してくださるとおっしゃった38人のうち、18人は障害を持つ利用者の親でしたが、あとの20人は掃除ボランティアや、それまでもいろいろとご支援をいただいていた方、それと、そうした方々自身が発信をして呼びかけてくださった方々でした。これが私は、本当に嬉しかったですね。私は、この時期、毎週木曜日に近況報告として、「今いくらになりました、まだいくら足りません」っていう情報発信をしていました。寄附をくださった方や、こうした方々は「今いくらになった?」ってしょっちゅう聞いてくださって、人ごとではなくて、単なる協力者じゃなくて、自分のことのように思って奔走してくださいました。

銀行ローンだって、NPOだと普通はなかなか貸してくれません。私たちも、なかなか貸すか貸さないかの返事をもらえなかったのです。でも、その時に力になったのが、支援者の名簿でした。会報の送付先の名簿ですが、もう相当な数ですし、厚さ3センチくらいの束です。渡すわけにはいかないので、銀行の方の目の前でパラパラめくって、これだけの人が支援をしてくださっている団体ですって言ったんです。そうしたら、翌日「融資しましょう」って。今よりもNPOへの理解がなかった時だったのに。支援者が信用の担保になったんですね。

でも、実はもう今、銀行に借金はありません。最初は、借りたお金をこつこつと返していたんですが、ある時、掃除ボランティアさんたちが仕事が終えられて、いっしょに雑談をしていた時、「毎月金利だけで6万5千円くらいあって・・」と話したんです。そうしたら、「こんなにお金のない施設から、なんで銀行は6万円以上もお金を取るんだ」って、皆さん怒り出してしまったんです。折りしも、銀行に公的資金が投入されて、銀行が随分悪く言われていた時だったんですね。

で、ボランティアさんたちは、「もう一度、100万円ずつ貸してくださる個人を募りましょう」って言ってくださったんです。私は「でも、なかなかそんな風には・・・」って言ったんですが、「前に出そうかと思って、迷って出さなかった人もいると思うし、私ももう一回出すから、やってみましょう」って言ってくださったんです。そうしたら、たった1週間でしたね。残りの1800万円はすぐに集まりました。

それで、銀行とはバイバイになりました。銀行の方は、「え、どうしてですか。もっと借りていてくださいよ。金利ならご相談にのりますよ」っておっしゃってくださいましたが、もう1800万円は振り込むだけになっていました。でも、銀行には丁寧にお礼を言いました。「お宅の銀行だけが助けてくださいました。本当にありがたかったし、また困った時にはお助けください」って。そうしたら「こちらこそ、よろしくお願いします」って。だから、「よし、これでまた何か困ったら、あそこに頼めばいい」って思ってます。

だから、本当に思うのは、人と人とのつながりを地道につくることの大切さです。そのためには、こちらからきちんと発信をすることが大事なのです。

コンビニハウス内の写真

コンビニハウス内の一室。普通の家のようで、くつろげる空間となっている。

<会報はチラシ>

情報発信として気をつけているのは、会報をしっかりと定期的に発行することです。当たり前のことなんですけど、これがなかなかできてない団体は結構あります。「今年も新しい職員が増えました」って記事が入っている4月号が夏暑い時に届くんですよ。そうすると、やっぱり活動をうたがってしまう。忙しかったとか、いろんな理由はあったでしょうが、会報はビビッドな情報を載せないと意味がないんです。

それから、ちゃんと読んでもらうためには、きれいな印刷じゃないといけないって思っています。たまに、手書きの方が心がこもっているからと、そういうのを送ってくる団体もありますが、そんなの自己満足。読んでくれる人にサービスするつもりで、私たちは写真もきれいに入るように、印刷屋に出しています。それに、会報を2つ折とか、3つ折とかにして封筒で送ってくる団体もありますが、あれもシワがついていて読みにくいです。折らないで、すっと入る封筒で送る方がずっときれいですし、封筒を開けてすっと抜けるものなら、忙しくても読んでくださる方もあると思うのです。

たとえば、1年半ぶりにばったりどこかで会った人が、コンビニの会の近況をよく知っていて、いろいろと話してこられる。どうして、この方はこんなにご存知なのかな、って思うけど、これは会報の力です。めったに会わなくても、会報を読んでくださっているから、コンビニとの距離はとっても近いのですね。

だから、一応は会報購読料を1000円で募ってはいますが、そして、会報自体は赤字なんですが、これは大事にしています。そして、たとえ会員じゃなくても、一度でもいくらでも寄附をくださった方とか、一回だけでもお手伝いくださった方とかには、住所と名前をいただいて、会報を送ります。「会報のお金を払わない人には、会報を送らない」なんて、ケチなことはしません。だって、これはチラシですから。スーパーのチラシと同じで、こちらが頼んで読んでもらいたいって思っているものです。だから、その中から少しお気持ちのある方は、1000円の会報料でご支援くださいっていうことです。

だから、会員になったり会報の購読を申し込みをされた訳でもないのにお送りするときには、初回には「先日は、○○の催しでご寄附をいただいてありがとうございました。今号から会報を送らせていただきますので、今後もご支援をお願いします」っていう風に、なぜ会報を送るのかを、3行でも4行でもいいから付けて送るように職員に言っています。そうすると、「あ、あそこの会か」と思って、すっと入ってきていただけますから。

それから、心がけていることは、一人一人を個別評価することです。会報が発行されてから1週間くらいは、その裏表紙を1週間くらい机の前に張っておきます。そこに寄附者や運営資金協力会員、ボランティアの方々の名前を載せているからです。もちろん、寄付者や運営資金協力会費をくださった方々には事務局から礼状を出すのですが、私からも個別に手紙を出すように努力しています。形式的なものとは違って、そういう手紙は人とのつながりを深くすると思うのです。

パーっと広報するのが上手なところは多いと思いますが、私は大事なのは後片付けだと思います。たとえば、イベントをする時にチケットを周りに売ってくださった方があれば、「チケットをたくさん売ってくださってありがとう」ってちゃんと伝えないといけないと思います。これって、案外見逃すんです。でも、これをやっておくと、必ず次につながるのです。撒くことよりも、片付けることの方がよっぽど難しくて大事なんですね。

寄附でいただいたものの写真

「こういったものも、ほとんど全て寄附でいただいたものです」と説明する大川さん

<これから>

私たちは、100万円ずつお金を貸してくださった方々には毎年10万円ずつ返済をしています。これは10月にお返しするのですが、近所の方だったらご自宅に直接持っていきます。そして、「今年は2回目の返済です。ありがとうございました」って、お礼は2千円の商品券です。遠方の方なら、お手紙を書いてお送りします。ただ、銀行に振り込むのではなくて、こういうことが大事だと思っています。

なかには、お返しにあがりますっていったら、据え置きでいいからっていう方もいらっしゃいます。実は、この「据え置き」って方も結構いらっしゃるんですよ。

とはいっても、年間500万円以上の返済をしていかなければならず、このほとんどは寄附で集めています。事業はカツカツですから、絶対がんばって600万円は毎日奔走して集めなくてはいけないんで、へたばってはいられません。

でも、コンビニハウスは、相談をすればそこから広がりを作ってくれる人がたくさんいる。つまり、代理店をたくさんもっているんですね。これが私たちの宝です。

実は、こんなに大変なんですが、隣まちに土地の提供が出たんですね。今はそこに新しい施設をつくりたいと考えています。単なる障害者の授産施設じゃなくて、複合施設にしたいと考えています。ふれあいサロンとか、週1回持ち寄りの市を開くような。そのためにも、まだまだ今後もがんばらないといけないと思っています。


「コンビニの会」では、常時寄附を募集しています。寄附は、次の郵便振替口座までお願いいたします。

  • 郵便振替番号 00800-4-55015
  • 振替口座名義 コンビニの会

大川美知子さん プロフィール

1965年より愛知県に在住。1971年長女を出産。障害児であると診断が下る。子育ての中で長女が学齢期の時には教育問題に取り組み、卒業後は障害者通所作業所立ち上げの活動に参加。1992年長女が自立して一人暮らしを始めたため日々の介助から解放され、ボランティア活動に専念して3年余りを過ごす。その後障害者の家族(特に母親)が子どもの日々の介助に追われ疲れている姿に心を痛め、重度障害者の地域生活を考える会(後のコンビニの会)を発足。1996年に中部地方では初のレスパイトサービス「コンビニハウス」を設立。2001年特定非営利活動法人を取得。設立総会にて同法人の理事に就任。現在に至る。

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