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2002年の報告

2007年08月29日 12:12

NPO支援財団税制研究会 第2回シンポジウム

「NPOと助成財団の協働が社会を変える」

 NPO支援財団税制研究会の主催する表記のシンポジウムが、2002年10月18日(金)午後1時から5時まで、東京都千代田区の全日通霞ヶ関ビルにて開催された。

 シーズは後援団体として参加。第三部「NPOと企業・助成財団の協働を進めるのに何が必要か」では、シーズ事務局長・松原明がパネルディスカッションのコーディネーターを務めた。

 会場には、財団、NPO、企業などから約250名の参加者が集い、助成財団とNPOのパートナーシップについての関心の高さをうかがわせた。

 主催のNPO支援財団税制研究会とは、助成財団の資金強化策の検討と、いかにして助成財団とNPOの協働によって社会のニーズに対応していくかを研究することを目的に、財団関係者とシーズの松原を含むNPOの有志で立ち上げた研究会。

 プログラムは、第一部が基調講演、第二部と第三部がパネルディスカッションという構成で進められた。

 総合司会は(社)日本経済団体連合会の長沢恵美子氏。

 まず、(財)キリン福祉財団の金沢俊弘氏が、「NPOの社会的な価値が高まるなか、それを経済的に支援する助成財団はNPOとの協働において、より価値ある存在感を高めていくことを模索している。今日は、各分野からの積極的な議論によって、NPOと助成財団の協働について、参加者の皆様と考えを深めていきたい。」と開会の挨拶をした。

■第一部 基調講演「今なぜNPOと助成財団の協働が必要なのか」

 第一部では、松蔭女子大学教授 雨宮 孝子氏が、以下の基調講演を行った。

助成財団の現状

 13,000余の財団法人のうち、個人や団体が行う研究や事業への資金提供、学生への奨学金の支給、個人や団体の優れた業績の表彰などを行う財団のことを助成財団という。その数は助成財団センターが把握しているところでは、623(年間助成額500万円以上)。

 助成プログラムは、約8割が研究助成で、そのほとんどが自然科学の分野である。文部科学省の科学研究費は昨年度1、700億円を超えており、かつて、700億円程度の時期には、民間の助成財団がほぼ同額を担っていた意義があったが、現状では、自然科学分野は文部科学省に任せて、もっと自由な発想で、別の分野に助成していくのが良いのではないか。

 公益法人であるため、定款に縛られ、新しい分野に助成することが困難ではあるが、定款上の目的や事業を柔軟に解釈すれば可能になる。助成財団として考え直す時期がきていると思う。

NPO法人の現状

 NPO法施行から3年9ヶ月経ち、NPO法人は8000を超え、多様な分野で多彩な工夫をこらして活動を展開しているが、その年間収入規模は、半数が500万円未満である。収入の内訳は、会費、自主事業収入、寄付がほとんどで、助成財団からの助成金は数パーセント程度という現状だが、今後、NPO法人の事業に必要な財源として、助成財団の助成金は大きな意味を持ち得る。

なぜNPOと助成財団の協働が必要なのか

 助成財団は、社会に対する有意義な活動を助成することによって、社会をよりよくしていこうとする。一方、NPO法人は、行政が出来ない社会のニーズに即応するサービスを提供している。この二つが結びつくことで、双方の使命が実現することになる。

 また、NPOが助成金を得るためには、企画力が試され、申請手続きも煩雑だが、その過程で学び、活動を見直す機会にもなる。

■第二部 「NPOと助成財団の協働で社会がどう変わろうとしているのか」

 第二部では、約1時間半にわたり、助成財団関係者とその助成を受けたNPO関係者がパネラーとなって、それぞれの事例を通して、NPOと助成財団の協働についての意見交換を行った。

 コーディネーターは(財)損保ジャパン記念財団顧問 堀内生太郎氏。

 以下は、各パネラーの発言から一部を抜粋したものである。

(財)三菱財団常務理事 石崎 登氏

 三菱財団は、自然科学・人文科学の研究助成、社会福祉事業助成をしており、社会福祉分野では、公的な援助を受け難い、開拓的、実験的な社会福祉を目的とした事業に対して助成している。

 NPO法成立と社会の動向を反映させて、平成11年度より、それまでの大型助成から、一件あたりの助成額を減らして、採択案件を増やすことに転換した。こうしたなかで、ダルクへの助成がなされた。

日本ダルク本部代表 近藤 恒夫氏

 ダルクの取り組んでいる薬物依存症は、医療、司法、教育といった単一分野で解決できないものであり、行政の枠組みを超えている。しかも、全国27ヶ所で組織化せずに活動しているため、資金調達が困難である。昨年度、三菱財団の助成を受けたことによって、薬物依存者の回復支援に関する調査研究、家族への支援プログラムが出来た。単発的ではない継続的な助成を期待している。

(財)ハウジングアンドコミュニティ財団プログラム・オフィサー 中村 裕氏

 民間非営利団体がおこなう街づくりの活動に助成している。福祉対象の助成事業ではないが、自立支援センターふるさとの会に対しては、路上生活者を街の人的資源としてコミュニティづくりを目指していることが助成目的と合致しており、加えて、先駆性を評価して助成した。

NPO法人 自立支援センターふるさとの会代表理事 水田 恵氏

 センター設立当初、山谷地域の路上生活者、簡易宿泊所生活者の休息と相談のための「共同リビングプログラム」立ち上げ資金として、ハウジングアンドコミュニティ財団から助成を受けた。その活動実績によって、東京都地域福祉財団の補助金が継続的に得られるようになった。事業の出発点で助成が受けられたことの意味は大きい。

 事業型NPO法人だが、現行の税制だと収益に課税されるため、自己資金が十分に蓄せないことが活動発展のネックとなっている。また、信用保証がないため融資が受けられず、NPOのための融資機関があればいいと思う。

 助成財団には、資金のみならず、団体運営上のアドバイスなどの提供も望みたい。

(財)損保ジャパン環境財団プログラム・コーディネーター 山中 千花氏

 地球環境保全に資することを目的とした助成事業をしている。特に、環境分野で活躍する人材の育成に力を入れており、環境CSOでの実地体験を希望する大学生・院生に活動の場と活動時間に応じた奨学金を支給する「損保ジャパンCSOラーニング奨学金制度」もそのひとつ(CSO:Civil Society Organization 市民社会組織=NPOと同意語)。

 奨学生にとっては、実地体験を通して環境問題への理解を深めつつ、自分の将来を考える一助になり、CSOにとっては、マンパワーの確保とともに、受け入れ態勢を整えることで、業務分担、指示系統を見直す機会を得るという成果があがっている。財団としても、学生やCSOのネットワークが構築できた。

2000年度CSOラーニング奨学生(東京大学4年) 加形 拓也氏

 インドとインドネシアで井戸建設、植林、職業訓練をおこなう国際協力団体「地球の友と歩む会(LIFE)」の事務局で、主に国内イベント事業に関わった。

 奨学金を得たので、アルバイトから離れて、CSOでの活動に専念でき、財団の活動報告会などを通じて、学生間、CSO間での交流の機会も得られた。

 広告代理店への就職が決まっているが、CSOでの広報活動経験が役立つだろう。社会で、さらに研鑚を積んで、また、CSOの活動に戻りたい。

 最後に、コーディネーターの堀内氏が、「助成財団は一種のベンチャーキャピタル。先駆的な活動、行政が対応できない分野の活動に助成し、活動発展の誘い水になるといい。資金だけでなく、アドバイス等も出来るような力をつけていきたい。資金を増やす努力をして、よりよい社会を作るためにNPOとの協働を続けていきたい。」と述べ、第二部は終了した。

■第三部 「NPOと企業・助成財団の協働を進めるのに何が必要か」

 第三部では、約1時間半にわたり、5人のパネラーによって、助成財団とNPOの協働に何が必要なのか意見交換を行った。

 コーディネーターはシーズ事務局長 松原明。

(財)トヨタ財団常務理事 蟹江 宣雄氏

 70年代に市民活動の萌芽に接したころより、NPOに着目して助成を続けている。プログラムオフィサーは積極的に各方面へのヒアリングを行い、社会的なニーズを探しながら助成事業を展開している。

 応募に際しては、財団の公開している情報にアクセスして、必要なら相談することで、財団のプログラムの主旨を理解してほしい。また、専門的な分野であっても、審査するものにとってわかりやすい表現でアピールして欲しい。

NPO法人 東京シューレ事務局長 中村 国生氏

 不登校児に対する支援を行っているが、子供たちからの提案や夢を実現するための資金として助成金が役立っている。

 応募に際しては、助成財団のミッションを理解することが大切なので、情報を積極的に公開して欲しい。

 通常の活動維持費に窮している現状だが、助成金は新規プロジェクトに対するものが多いので、人件費、事務局費といった活動本体を支える助成も望む。また、NPO側はプロジェクト助成を受けた場合でも、単発的に終わらせるのではなく、新しい事業の立ち上げにつなげていく企画にしていくべきだ。

 ここで、コーディネーターの松原から、下記のコメントがあった。

 NPOが助成を受けた事業を継続的なものに発展させていくことは、ベンチャーキャピタル的に新しい取り組みに助成していく助成財団のミッションと合致する。他方、新しいことをやらねば助成金が取れないことから、次々と新しいことをせざるを得ないNPOの現状もある。

 助成財団とNPOのよりよい協働のためには、継続的なパートナーシップを築いていくことが必要だろう。

ファイザー製薬(株)企業文化部長 田村 和久氏

 ヘルスケアに関するNPOにフォーカスをあてた助成をしている。積極的にNPOを訪問して、重点領域の絞込みを心がけている。

 助成したNPOの活動紹介を雑誌(AERA)に連載することで、NPOの社会的認知度を高めることに努めている。こうした広報活動は、より広い公募告知、社員への啓蒙にも役立っている。

 企業の社会貢献活動には、経営陣の理解が不可欠。そのために、社内広報に力をいれて社員を巻きこみ、また、役員に市民活動団体関係者と接する機会を設けている。

朝日新聞論説委員 高成田 亨氏

 昨今、NPOの活動が新聞記事に頻繁に登場するようになってきたが、それを支援している助成財団や企業の名前はあまり出てこない。マスコミに対して、助成された側がもっと支援者について積極的にアピールしてもよいのではないか。

 助成財団や企業がNPOを支援していくには、寄付行為に対する税制上の優遇制度が必要だろう。

 財団の所轄官庁は、助成財団に対してのチェックシステムとしての役割はあっても、活動を狭めるような干渉となるシステムになってはならない。

法政大学教授 山岡 義典氏

 NPOに必要なのは、NPOがきちんと育つと同時に、それに関わる人材が育つための財源。そのためには、NPOの活動展開のレベル、規模に応じた多様な助成プログラムがあるといい。

 新しいことをしないと助成金が得られないのが現状だが、少額でも継続的な助成事業が望まれる。また、人件費、運営費に対しての助成も必要。

 助成事業には専門性が不可欠なので、専門家のネットワークをつくり、それを助成財団が活用していく仕組みづくりが必要だろう。そのなかで情報を共有して循環させていくことで、志も循環し、それが資金の循環にもつながるのではないか。

 続いて会場から下記のような発言があった。

 まず、ハンガーフリーワールドのスタッフから、「海外で活動していると、お金の使い方について疑問を抱くことがある。財団として、NPOとして説明責任についてどう取り組んでいるか。」という質問が出た。

 それに対して、東京シューレの中村氏は、「無駄な使い方、不正な使い方はしていないが、助成を受けた活動についての報告は不十分になりがち。活動を社会に伝える努力をしていかなくてはならない。」と述べた。

 さらに、日本フィランソロピー協会会長 林雄二郎氏から、「助成財団とNPOの間には垣根があるように感じていたが、こうして一堂に会して協働について意見交換する場があるのは良いことだ。しかし、題目の『社会を変える』という文言は、いかがなものか。社会は、それ自体、刻々と変化しており、財団やNPOはその変化の兆しを見極めて対応していく謙虚さが必要だ。」という発言があった。

 それに対して、コーディネーターの松原は、「今回の題目は、あえて、社会を変えると言い切ることで、心意気と責任感をもって協働を進めていこうという意思を込めた。」と説明し、第三部が終了した。

 最後に、(財)助成財団センター 熊谷康夫氏が、「現在、行政改革にともない、公益法人制度の抜本的な改革が検討されている。このNPO支援財団税制研究会も、内閣官房行政改革推進事務局に対して、民間公益活動を促進させるための意見書を提出した。税制をふくめて、改革が助成財団とNPOの協働に資するものになるよう活動を続けていくので、ご支援頂きたい。」と挨拶し、閉会した。

文責:徳永洋子

2002.11.09

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