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2003年の報告

2007年08月29日 13:53

NPO法人税務セミナー(東京)

 2003年4月8日(火)、午後6時半より中野サンプラザ(東京都中野区)にて、シーズ主催の学習会「NPO法人税務セミナー」が開催された。

 講師は公認会計士・税理士の赤塚和俊氏。

 赤塚氏は、シーズホームページの「NPOなんでも質問箱」の回答者も務めている。

 年度末を終えたNPO法人は2ヶ月以内に確定申告の手続きを行う。3月決算の法人が多いと予想されることから、確定申告を前にしたセミナーとして4月に開催している。2001年からはじめて今回は3回目。

 セミナーの副題は、「法人税申告書の書き方を学ぶ」。内容はNPOの会計担当者向きで、NPOに関わっていても、会計に関連した業務をしていない方には高度なものだったかもしれない。

 赤塚氏は「一人で確定申告できるように」を目標に、もりだくさんのレジュメ・資料を駆使し、約1時間半にわたり猛スピードで説明、その後質問に答えるスタイルをとった。参加者のアンケートからは、内容が濃かったのでついていくのが精一杯だったとの感想もあったが、概ね分かりやすかったと好評だった。

 参加者の大半は初めてシーズのイベントに参加する方々で、今回がはじめての確定申告である方も多かった。一方、昨年もこのセミナーに参加した方は少なく、赤塚氏は「来年には、消費税の免税点が3000万円から1000万円に引き下げられるなど、NPOにも大きく影響するであろう改正が予定されている。このように、税法は毎年変わるし、年に1回の業務なので細かいところまでは忘れてしまうことも。ぜひ、毎年セミナーに参加してほしい」と話した。

 申告書の書き方については割愛するが、税務申告のポイントは、以下のような点である。

(1)収支計算書を「発生主義」にすること。

 現金主義で作成した収支計算書を発生主義に作成し直す。そのことで、その年度に実際にあった収入やかかった経費がわかり、税務申告に必要な課税所得額が確定する。

 発生主義に直すときの注意点は、a) 収益事業の収入とならない会費は未収金にあげても回収できるかわからないから、現金主義のままでよい。b) 借入金収入は発生主義では収入に含めない。c) 給与の未払い金は発生主義では支出に入れる。e) 家賃は普通次の月の分を前月には支払っているから、発生主義では前払い金になる。d) 敷金は、収支計算書上の支出として発生させるのではなく、貸借対照表上の資産の部に記載する。などである。

 現金主義で作成した収支計算書の次年度繰越金は貸借対照表上の資産の部の「現金と預金の合計」と一致する。また、発生主義で作成した収支計算書の次年度繰越金は貸借対照表上の負債・資本の部の「正味財産」と一致する。作成し直したときの検算に利用すると良いというアドバイスがあった。

(2)按分計算書を作成するときは、合理的な率で按分する。

 発生主義に直した収支計算書から、按分計算書を作成する。設例では収入割合により按分の率を決めたが、率は、従事時間でも、面積割合でも、合理的な方法によって出された数であれば良い。経費科目によって使う基準を変えても良い。

 収入割合の分母に、寄付をいれるかどうかは、寄付を集めるのに経費がかかっているかどうかによる。寄付を集めるためにDMを送付するなど、コストがかかっている場合は分母にいれるべきだろう。自然と集まってくるのであれば、分母に含める必要はない。

(3)減価償却資産について

 購入した物品が高価なものの場合、購入した年の一度の経費とすることはできず、減価償却しなければならない。減価償却の必要なものの耐用年数、減価償却率などは、一般書店で解説書がある。

 この額が従来は「20万円以上」であったが、平成10年度の改正のときに、「10万円以上」に引き下げられた。

 ややこしいのは、この改正がなされたときに、「10万円以上20万円未満」の資産については、3年間で均等償却する、という「一括償却制度」が創設されたので、そのような処理をしてきたかと思う。しかし、平成15年度の税制改正で、中小企業に限っては、さきの「10万円以上」という基準が「30万円以上」に引き上げられることが決まった。

 NPOは中小企業と同じ扱いになるので、2003年4月以降に取得した30万円未満の資産については、全額その年の損金としてもよいことになる。取得した日によって、償却の方法がちがってくるので注意してほしい。

(4)物品販売をしている場合は期末在庫金額から、売上原価を割り出す。

 その年度に売れた商品の原価は、期首在庫金額に当期の仕入金額を足したものから期末在庫金額を引いた金額である。

 主な質疑は以下の通り。

Q.この4月からはじまる支援費はどのような扱いになるのか。

A.もう制度がはじまっているのに、まだ税法上の扱いが決まっていない。これは大きな問題だが、介護保険サービスがはじまったときも、制度がはじまった2ヶ月後に国税庁の見解が発表された経緯があるので、今回もこのようなことになるかもしれない。シーズも含めて各方面から問い合わせが入っているのに、国税庁は「まだ、厚生労働省からの照会がない」という理由で回答を保留しているようだ。これもおかしな話だ。

 もし、支援費が収益事業になるということであれば、今まで収益事業を行っていなかったNPOが支援費制度を利用してサービス提供をする場合、「収益事業開始届出書」をださなくてはならない、という問題がすでに発生している。いずれにしろ、このままだと1年後の確定申告時には大混乱になることが予想される。

 今、専門家の間では次のような議論になっている。

 おそらく、収益事業であるということになるであろうが、その際、「医療保健業」にあたるとされれば、医師の判断でランク付けされる介護保険サービスに比べて、「生活支援」や「自立支援」を主目的とする障害者支援事業には、この分類はなじまないのではないか。一方で、「請負業」とされる場合は、「医療保健業」のみ非課税とされている社会福祉法人から大きな抵抗を受ける可能性がある。

 どのような結論になるかは予断を許さない状況だが、理論的には苦しいものになるのではないだろうか。

Q.総会にだす決算報告書と税務署にだす決算書はちがうものなのか。

A.総会は、社員に対するNPOの活動全体の報告の場であるから、全体の収支報告書をだす。税務署には、税法上の「収益事業」にかかる損益計算書のみでよい。

 ちなみに、所轄庁に対しては、「収支計算書」と「貸借対照表」と「財産目録」を提出することになるが、この「収支計算書」は現金主義、発生主義のどちらでもよく、「収支計算書」という名前がついていればよい。

 注意しなくてはならないのは、「確定申告」が年度終了後2ヶ月以内にしなければならないことになっていることに対して、NPO法上「総会」は、年度終了後3ケ月以内に行えばいいことになっていることだ。「総会で承認」されてはじめて決算が確定することになるわけだから、どうしても年度終了後2ケ月以内に総会を開催することができない場合は申告期限の延長の届出を出す。この届出をだせば、申告期限を延長できる。

 ただし、税額が発生したときに、延滞税も一緒に支払わなければならない。これを避けるためには、「見込納付」という制度を利用する。赤字になるときなどは、年度終了後2ケ月以内に地方税均等割の7万円(地域によっては8万円)だけ払っておけば、あとは延滞税を払わなくてもすむ、という利点がある。

Q.所轄庁は東京都なのだが、全国に7ケ所連絡所のようなものがあり、それぞれに経費が発生している。

A.どの程度の規模であれば、従たる事務所として位置づけ、それに伴って所轄庁が内閣府になるのか、という明確な基準はない。東京都の認証団体だからといって、活動を東京都内でしなければならない、ということもない。

 いずれにせよ、全体でひとつの決算書をつくり、所轄税務署に届出ればよい。内閣府所轄で複数の都道府県に事務所を登記した場合も、税務署は主たる事務所の所轄税務署に全体の決算で申告をする。しかし、地方税については登記した事務所の所在する自治体すべてに申告しなければならない。

Q.中古車の場合の減価償却の方法は?

A.中古車の場合、残存耐用年数+経過年数×0.2(小数点未満切捨て)。計算結果が2年未満のときは、2年としなければならない。

Q.任意団体の活動の途中で認証を受けた。どこからをNPO法人としての活動としたらよいのか。

A.よく誤解されるテーマなのだが、任意団体とNPO法人が平行して活動を続けていても問題はない。どこかで、任意団体の活動をNPO法人に引継ぎ、解散するのであれば、それば任意団体の方で決めればよい話。

 NPO法人が10月に認証されたからといって、任意団体の事業が12月でキリがつくのであれば、NPO法人の方に来年1月から事業を引き継ぐ、ということがあってもよい。それまで、NPOが何も活動をしていない、ということがあってもよいわけだ。

 一方で、まったくゼロからNPO法人をたちあげる場合、認証される前に発生した経費は、設立後のNPO法人の経費にしてもかまわない。

Q.昨年9月に収益事業なしとしてスタート。収入は会費収入のみ。どこかに申告しなければならないのか。

A.結論からいうと、申告する必要はない。しかし、地方税の均等割の減免申請だけはしておいた方がよい。

 収益事業開始届出は、税法上の収益事業をするときにだせばいいもの。しかし、都道府県によっては、法人設立届出書と収益事業開始届出書が一つの用紙になっていることもあって、「収益事業をする」として提出してしまう人もいる。繰り返すが、税法上の収益事業をしない場合は収益事業開始届出はしなくてもよい。

 それでは、均等割の減免申請とは何か、という話しになるのだが、以下のような基本的なことについておさえておく必要がある。

<法人の所得に対する税>

国税(手続きは税務署) 法人税 収益事業を行っている場合に課税
地方税 都道府県税

(手続きは都道

府県税事務所)
事業税    〃
法人住民税法人税割    〃
法人住民税均等割 2万円
市町村税

(手続きは

市町村役場)
法人住民税法人税割 収益事業を行っている場合に課税
法人住民税均等割 5万円から6万円

※ 東京都23区内の法人は、都の特例として、市町村民税相当分も併せて都民税として都税事務所に納めることになっているので、都税事務所に7万円を納付する。

 国に申告する法人税や地方税の事業税、法人税割は、収益事業をして黒字になった場合、支払うものであるが、法人がその都道府県や市町村に存在していることに対してかかる均等割という税金がある(都道府県と市町村をあわせて7万円から8万円)。これについては、収益事業をしているかどうかには関係なくかかってくる。

 しかし、多くの自治体が、収益事業をしていない、などという条件つきで減免している場合があるので、最大限、減免措置を利用すべきだ。

 都道府県の均等割については、すべての都道府県において収益事業をしていないNPOに対し減免措置が講じられている。市町村もいくつかは実施している場合があるので、ぜひ利用してほしい。ほとんどの政令指定都市は実施しているはずだ。なかには、収益事業をしていても開始以降3年以内なら減免する、などという独自の減免措置を講じている市町村もあるので、ぜひ、所轄の市町村民税窓口に問い合わせてみてほしい。

 この均等割の減免申請は毎年しなければならない。その時期がちょうどこの4月になる(自治体によって多少異なる)ので、ぜひ申請してほしい。

 説明を終えて赤塚氏は「今日の説明は駆け足だったので、よく復習してください」と話し、また、「国税庁の税務相談室やホームページを利用したり、シーズホームページの「NPOなんでも質問箱」に質問を入れてください」と言って、締めくくった。

報告:安部嘉江

2003.04.17

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